OWNER’S VOICES vol.01 軽井沢パッシブハウス

軽井沢パッシブハウスのオーナー ケビンさん&いくえさんご夫妻にお話を聞いてきました。パッシブハウスにまつわる疑問、魅力、住み心地、そしてこれから家を建てたいみなさんへのメッセージも。ぜひご一読ください!

寒くなったらケーキを焼けばいい

――パッシブハウスを知ったきっかけは?

省エネ住宅を建てたいと思って、いろいろウェブなんかでリサーチしてるときに、CNNかBBCのインタビューでスウェーデンのパッシブハウスに住んでるおばあちゃんの話をやっててね、インタビュアーが「外がマイナス20℃で家の中が暖かいってすごいですね、暖房使ってないんですか?」と聞いたら、「たまに使いますよ」っておばあちゃんが答えた。そしてインタビュアーが「でも寒くなって、もし薪ストーブが使えなかったとしたらどうするんですか」と返すと、おばあちゃんは「その時はケーキを焼きますね」と。

その発想がすごいなと思って。エネルギー効率の良さが現れているよね。
ケーキを焼くオーブンの熱で家の暖が取れてしまうんだから。

それでいろんな記事を調べたら、パッシブハウスはNYにもあってインタビューを読むと「二度と他の家には住みたくない。快適性がすごい」と書いてある。どんどん調べていったら日本にも2009年に森さんがつくった鎌倉パッシブハウスの情報を見つけて、森さんの事務所に連絡したんです。そうしたら、森さんの事務所の方に「今は忙しくって難しい」という返答をされてしまった。

それでもどうしてもパッシブハウスに興味があったから一度でも話したいなと思って、私は前は営業やっていたから、無理矢理にどうやって連絡とるかを考えて、パッシブハウスジャパンの事務所に、週末誰かが普通の仕事以外の時間でいるんじゃないかなと思って、日曜日の夕方に電話をかけたら森さん本人が出たんです。「今忙しいけどもし待ってくれれば対応できます」と。それが2011年の2月で、そのあと、震災があって、2011年11月に着工して、2012年8月に出来上がったんですね。

パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

――そもそもどうして省エネ住宅を建てたいと思ったんですか?

もともとはウェブデザインの会社を恵比寿でやっていたんですけど、住まいも恵比寿で、恵比寿で飲んで、お客さんと会ってと、ワークライフバランスが崩れていました。いろんな尊敬している人から1時間~2時間座れる電車に乗ったら、完全に仕事と私生活を分けられるってアドバイスをもらって軽井沢がちょうどいい場所だった。たまたま2010年にこの土地が売りに出ていて、駅から近いからいいな、って。

土地を買ったら、なんとなくエコ系の住宅を作りたいなと思っていて、調べたらスマートハウスとか次世代省エネ住宅とか、そういうところにたどり着いて。世界で極めて厳しい省エネ制度がパッシブハウスだった。「ろうそく数本で家を暖めることができるけど、そこまでやるのはもったいなくないか」という建築家もいたけれど、できるならなんでやらないの?と思ってね。

軽井沢パッシブハウス オーナー ケビンさん

――あっそうなんですか。すごく意外です。奥様はもともとそういう環境とか、省エネとか興味は?

とりあえず住むレイアウトとかそういうことにこだわってたんですけど、細かいところもあったけど、省エネに関してはあまり。金がかからなければとか、そういう感じ。

――なるほど、お2人ともじゃあそういうところから出発したんですね。

そうですね、僕は、オタッキーだから勉強するほどのめり込んで、だからもう、みんなに建築家ですかって聞かれて、そんな全然そういうことじゃないんだけど、やたら詳しくなってて。

決め手は、快適、健康、省エネ。

そうだね、そのインタビューのビデオとかインタビューの文章とかで、いろんなパッシブハウスの施主の話きいたら、凄いなと思った。なんかみんなパッシブハウスに1回住むと他の家に住めないって共通のこと言ってる。

東京にいたときは、その壁が結露しているとか、カビになるんじゃないかとかすごい不安があったんですよ。健康じゃないっていうことに。
あとは、ガンガン暖房かけても部屋が寒いとか、そういうことがいろいろあったんですね。
夏はエアコンずっとつけっ放しじゃないと、まずいっていうことばっかだったし。

パッシブハウスの快適さとか健康さともか徐々にわかってきて「これもうなんでやってないの?」というふうに思ってて、目から鱗っていうか。

布団をはいでも寒くない

――実際に住んでみていかがですか?

軽井沢では冬マイナス15℃平均でなるんですね、夜は。昼間はマイナス5℃とか。それでも暖房、数日間かけなくても、朝起きて布団からひゅっと出て、そのままで起きられる。そういうことが凄く快適ですね。温度も安定しているし、すごくいいですね。友だちも泊まって、朝起きると、暖房入ってるんですか?とか聞くんです。でも、いや、もうなんにも入ってない。外がマイナス10℃だから、みんなビックリするんですよ。

本当に画期的ですね。
最初は冬は我慢できないかもしれないから恵比寿に帰るかもしれないっていう話になってたんだけど、もう恵比寿には帰れない(笑)恵比寿の家は、2000年に買った、わりかし新しくて性能も別に悪いはずがない普通のマンションだったんだけどね。

ただ、やっぱり体験しないと説明しにくいところがあるんですよ。
いつも言っているのは、目が見えない人にオレンジ色は何色って説明できないと同じように、やっぱりこの快適性はなかなか伝わらないんですね。

軽井沢パッシブハウス オーナー ケビンさん
(布団を出られないジェスチャーをするケビンさん)

 

――なるほど。で、快適性というか温度の話なんですけど、僕も森さんから何回も聞いたり、ケビンさんのFacebookで画像アップしているの見たんですけど、外の外気温がマイナス6℃で、室温が20℃みたいな。なんかその、信じられない数字が出るじゃないですか。そんな室温が、毎日暖房つけずに数日間続くって。

そうですね、どれだけ快適かというと、去年2月14日、15日に軽井沢140センチの雪降ったんですよ。太陽が出ていれば、薪ストーブで薪を1束燃やせば、だいたい2日3日もつんですよ。で、あのときは、金土雪降って、日曜日からこういう晴れの日がずっと続いたんですよ、9日間。

土日は、停電になったら大変だからと思って、滅多に使ってない床暖をまわした。24時間時床暖かけて、ここはジワッとあったまるんですけど、充分温まったから床暖は止めて、そのあと9日間は暖房を全く使わなくても良かった。

その時期はだいたい夜はマイナス15℃、昼間はマイナス5℃くらい。毎日ボランティアで雪かきいって外に出てたんですけど、家は全然問題なく、9日間、温度を保っていた。

――さっき薪一束っていったじゃないですか?

このくらい?

――え?で、2-3日?

うん(笑)
魔法瓶みたいなものですよ。魔法瓶にあったかいコーヒー入れたらずーっと熱加えなくていいでしょ?
冷たいのいれればずっと冷たいまま。保温性があるってこと。

IMG_1109 (1)

ついこの間の長野県広域で、停電があって、朝5時くらいから10時くらいまで5時間くらい停電したんですけど、その間は、朝起きて6時半くらいかな。起きて、トイレ行こうとか、全然停電してるという意識がなかったんですよ。

太陽がでたらすぐ明るくなるんで、昼間は、ライトもあまり使わないし。トイレに入って蓋があがらなくって、最初はトイレが壊れているのかと思った。それで、明かりをつけようとしたらつかない、とか、携帯の充電器見たら、充電してない。それでやっと停電だと気がついたんです(笑)

その5時間の間に、他のオール電化の家とかは、寒いのに、暖房つけられない。それでずっと布団に隠れて5時間も避難していたんですよ。で、うちは全く問題ない。ぱっと起きて、普通だっただんですよ。

温度が一定しているんです。寒いところないの。暑いところもない。家の中では、1階、2階、屋根裏部屋、廊下、トイレ、風呂、全部同じ温度ですよ。一番温度差があっても2-3℃ですね。各部屋に。

――お風呂場は北にあるじゃないですか。でも全然寒くなかったですよね。ヒーターもなにもなしで?

もちろん。

――じゃあここのあったまった空気があっち回って?

空気があっち行くじゃなくて、なんていうか、熱交換換気してるんですよ。だからこの壁に付いてる3つの吹き出し口とか、ベッドルームから空気が出てる。で、キッチンの奥と、風呂場とクローゼット、二階の風呂場、トイレ、流しのところが空気を吸い取っちゃうでしょ?

でもその両方が熱交換してるんですよ。だからたとえばここで薪を燃やしたら熱で温かくなった空気がわーってキッチンに流れていって、吸い取られても熱交換器で熱だけまわして、上の方の吹き出し口からでて、だから空気がずっと循環してるんです。空気っていうか熱が。空気はいつも新鮮だから。この部屋で薪を燃やして、ストーブの真ん前は暑いけど、この部屋だけが先に暑くなるとかあまりないんですよ。ていうかないんですね。

軽井沢パッシブハウス オーナー ケビンさん

――へー。日本だと、家の一部しか快適じゃない家多いですよね。温度ムラがすごい…。

ヒートショックで年間だいたい1万7千人が死んでいるでしょ。だからそれは建築家がまあこれは、50年前だったら断熱材の概念わからない、戦後だ、みんな大変だっていう話だったらわかるけど、わかってるくせに、そういう家を建てると、人を殺してるのと一緒ですね。

たとえば、エネルギー代を払えないから、エネルギー貧困がおこっちゃうっていうことがあるけど、日本はエネルギー貧困がすごい多いですね。だって、考えてみてください。普通に一個の部屋しか温まらないでしょ。家を全体を冷暖房できない。でも家は全体使う。エネルギー貧困でしょそれは。

冬もプラスエネルギー

実はパッシブハウス・ジャパンがプロデュースしてる建物燃費ナビの計算でだいたい太陽光パネルを設置したから、余っている自然エネルギーが平米あたりマイナス25kWhくらいの消費の予定だったんですけど、実際に住んでみたらうちはやたらエコ生活している感じしてないんですけど、テレビもないし、マイナス40kWhになったんですね。

うちが一平米あたり、40kWhが年間あまってるんで、6,000kWhが余っているんですね。毎年(40kWh x 150㎡)。多分周りの家はうちの発電分を使って回っているんじゃないかと思うんですね。

夜はマイナス10℃以下、昼間はマイナス5℃以下、で大雪のことだったんですね。
パッシブハウスとは直接関係ないんですけど、屋根に太陽光パネルが屋根には30°の角度があるので、日曜日は雪が降り終わった午後からはちょこっとしか発電しなかったけど、月曜日からフル活動で発電してたんですよ。

この辺に雪がばーっと降るんですけど、あの感じなら雪が溜まっても寒くても薪つかわなくても、9日間暖房使わない生活でも全然問題なかったんですね。

軽井沢パッシブハウス

――あと、月々のランニングコストって結局今、いくらくらいかかってるんですか?

ゼロ以下です。光熱費かからないんですよ。

――電気代は全部発電でまかなっているってことですよね?

電気の消費量が発電の3分の1くらいじゃないかな。確実に半分以下ですよ。それを売って、お金が余ってるし、毎月うちの電気代の年間平均は毎月マイナス1万3~5千円くらい。実際のエネルギーいれると、一次エネルギーが年間一平米あたり40kWhがあまってる。

――すごい(笑)ちなみに調理は何を使っているんですか?

ガス。ガス代はかかっているけど電気代で打ち消しているということですね。
夜の電気を買います。あとはガスは買います。薪は買います。で、電気を売ります。その売って買って。プラスマイナスはゼロ以下です。光熱費がかかってない。

――すごいですね。それでさっきのランニングコストの話になってくる訳ですね。普通の家より安くなってるっていう。

そう、全然安い。だってあの家なんかは(近所の別荘を指差す)35坪くらいですけど、ずっといないんですよ。たまにしか来ない。で、冬に全然来ないんで、でも凍結しないために床暖を一番低い設定にしてるけど、毎月電気代が3万円かかってます。いないのに!多分、一番低い設定は、家の中が2℃とか。
ぎりぎり0℃以上っていう。でも3万でしょ。いたら多分5万~10万ですよ。この家は、その費用を毎月省いてる。夏はほとんどかからないんですけどね。

初期費用は高いはウソ

よく聞かれるのは、家がいくらでしたかっていうことなんですけど、うちは坪単価90万でした。
この同じ設備で高いか安いかっていうのは、いろいろあるけど、今日本の住宅の全国平均は坪単価70万ですね。新聞の広告で「坪30万でできますよ」とか言ってるんですけど、ハウスメーカーでもやっぱりオプションつけてだいたい70万になるのが平均ですね。

うちが90万ですけど、断熱のスペック高いですけど、内装のスペックも凄く高くて、室内も全部西洋漆喰塗ってますし、お風呂も輸入バスタブとかタイルとか、カーペットも私が羊のカーペットが嫌いなので森さんがヤギのカーペットをアイルランドから輸入していたりとか、あと水回りの床は天然リノリウム貼ってますし、そんなところで内装スペックも普通の家とはちょっと違うんですけど。

こういう広い窓とかはふつうの70万の家ではあり得ないこととかをいっぱいやっているんですよ。だからそれがパッシブハウスの認定を取ったから、高いという訳ではないんです。パッシブハウスにすることによって、たとえばエアコンは各部屋にいらないから、コストダウンするところもありますよ。

軽井沢パッシブハウス
(日本のパッシブハウスの特徴である、夏の熱を逃がす北側の高い場所にある窓。西洋漆喰の壁の表情が美しい)

ただよく言われるのは「初期費用かかりますね」って。でもそれはナンセンス。現実的には、建築家とか工務店から見ると、かかります。だけど施主は初期費用がかからない人が99%ですね。というのも、ニコニコ現金払いで家を買う人はほとんどいない訳ですから。みんな住宅ローンですよね。フラット35という素晴らしい今低金利で変動しない、35年間ずーっと毎月住宅ローンは払うことになりますね。するとなにがいいかというと初期費用はないっていうことですね。初期費用は銀行が代わりに払うんですよ。施主は、実際には初期費用は払ってない、毎月の住宅ローン払っているのはランニングコストってことになります。ランニングコストは2種類あって、一つは住宅ローン、もう一つは光熱費という風にも考えられます。

光熱費も住宅ローンの支払いに回せる家

このパッシブハウスを作ったことによって、住宅ローンは月額10%くらいプラスですね。プラスαのコストは。
たとえば住宅ローンが20万のものは、22万になる+2万ですね。でも一般的なハウスメーカーの家を建てると、パッシブハウス建てる以上に建物の燃費にランニングコストつかいますね。そうすると簡単な話ですけど、パッシブハウスは住宅本体に毎月2万円プラスに対して、一般的なハウスメーカーの家は光熱費が毎月いくらになるかわからないんです。

周りの家の人に聞けば、光熱費が下がった分をパッシブハウス本体にかけたうちの方が安く上がってます。一般の建築家とか工務店とかハウスメーカーが進めているのは、ランニングコストの高い家ですよ。光熱費っていうのは、住宅にかかるコストです。馬鹿高いものを提案しているんですよ。

なおかつ建築家とか工務店とかハウスメーカーは、売り上げをあげる責任もあるんですね。たとえばパッシブハウスをやったらプラス10%の建設費がかかるので工務店が儲かるじゃん。でも、そうじゃなくてマイナス10%のためにオール電化にしようとか、断熱材を使わないとか、電気をガンガン使って、ガスもガンガンつかって、化石燃料会社儲けさせているのは、化石燃料会社からバックマージンもらっているんですか?(笑)もらってないと思うんですけど。でも、最近判明したのは、オール電化にすると、一軒あたり12万円の広告協力費用を電力会社が工務店に払ってくれるらしいってこと。

軽井沢パッシブハウス

住むだけでエコな家、住むだけで環境破壊する家

さらに、環境破壊してるじゃないですか。
みなさんは自分の家が凄い素敵だなとか、それがデザイン的に凄いけど環境破壊をどれだけしているかっていうのはみなさん計算していないことが凄いなと思うんですよ。たとえば、みなさんは建物が使っているエネルギーは日本で使っているエネルギーの割合はどれくらいあるんですか?だいたい4割ですよ。一次エネルギー4割は産業分野とか運送分野より遥かに多いんですよ。

みなさん環境に優しいからって燃費の良い車買ったりとか、エアコンやテレビは省エネのやつ選んだりはするけど、それよりはるかに消費しているのは実は「建物」ですね。つまり「家の燃費」はめちゃくちゃ悪いんです。

でも、普通は業界に入って倫理感がある人はお客さん、施主の為に必死でやりますよという話なはずですけど、結局この話がわからない建築家、ようするに3次元のグラフィックデザイナーにちょっと毛が生えたに過ぎない人がほとんどじゃないですか、はっきりいって。

家を建てっぱなしにして、35年で腐って、家からシックハウスになって、それで子どもがアトピーになって、環境破壊にもなって、いろんなことがありますね。一体、何を考えているかな、と、いつも思うんですけど、だから建築家がうちに見学に来て、勉強になればいいけど、いつもなんか本当に勉強になるかなと心配するっていうか、信頼できないことが非常に多いんですね。

軽井沢パッシブハウス オーナー ケビンさん

高断熱の家は夏は暑い、結露だらけはウソ

なぜか日本人は断熱については、すごい無知な発言をすることが多いんですね。たとえばうちの家の壁には28センチの断熱材が入ってて、屋根は60センチ、窓は三重窓ですよ、と説明すると、「えー、冬は暖かいでしょうね。夏は暑いですか?」って聞かれるんです。断熱材の効果をわかっていないんですよ。

断熱=暖房っていうことで考えてしまうので、そうじゃなくて魔法瓶ですよっていう説明をしなきゃいけない。例えば魔法瓶にあったかいコーヒーいれたら一日中あったかい。で、冷たいアイスティーいれたら一日中冷たいじゃないですか。家が魔法瓶だよっていうことを説明するとやっと理解するんですね。

だから断熱材をセーターだと思っちゃってるんですね。
夏にセーターを着込んだら暑いでしょ、と思ってるでしょ。すごい誤解ですね(笑)魔法瓶に冷たいコーヒーいれても熱くならないでしょ。

軽井沢パッシブハウス

――僕も勉強するまでは、断熱を暑くすればする程どんどん息苦しくなったり、カビが生えたり、結露が溜まったりするっていう風に思ってました。

セオリーがわからずやるとカビが生えるって言う場合もあるけどね、それきちんと息させればいいでしょ。湿気の逃げる道を作ったり、空気を循環させるんです。

欧米ではあたりまえの断熱教育

アメリカではお父さん達が、ホームセンターで断熱材のロール買ってきて、まあ毛布かけるというような感覚で平気でがんがん家につけちゃって、それでもすごい効率いいんですよ。あと、窓の周りにプラスチックフィルムをかけたりとか。凄いあたり前なことをなんで日本のみんな知らないのかなって思う。

こんなにみんな知らないとか、アメリカとかヨーロッパではありえない。子供の頃から断熱材とかエネルギー効率について教えるんですよ。だから建築家じゃなくてもあたり前のように理解している。たとえば家に暖房費かかってるから、じゃあ屋根裏の方に断熱材増やそうっていうのとか。
断熱材いっぱいいれると暑くなるんじゃないか、とか、そういう物理学のかなり低レベルな話ですよ。先進国としてはひどい状況ですね。なんで日本やってないのと。だって90%もエネルギー輸入してるのに、なんでその無駄なエネルギー使わしちゃう?のって。

――海外だと、そういうあたり前のことは素人でもわかるんですね。学校で教わるんですか?

そうですよ。あたり前。あとはCMもやるんですよ。だからカウンセラーみたいにパブリックサービスとしてやるんですよ。なんか本当に猿でもわかるような説明するんですよ。なんで日本は教育システムが高いのに教えないのっていう。すごい、なんか電力会社儲けさせるために教えてないのかなと思っちゃうくらい。

――ケビンさんは日本に来て27年と聞きましたが、それまではずっと東京で、軽井沢に住み始めたのはここ3年ですよね。日本の住宅に対しておかしいなって思いながら住んでたってことですか?

そうですね。まあしょうがない。って我慢しながら。

軽井沢パッシブハウス

パッシブハウスを検討中の方へのメッセージ

――ちなみにもっとこうすれば良かったっていう点とかってありますか?

えっとー、キッチンのキャビネットのレイアウト。
いつも不便だなって。扉の開く方を逆にすれば良かったって。

――えっ、それだけですか?嫌なのは。

そうですね。
いやほんとうに、凄い好きですね。
あんまり不満がない。

軽井沢パッシブハウス オーナー ケビンさんとパッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

――素晴らしいですね。これから家作りをする人に何かアドバイスとかありますか?

あのー、家建てるならパッシブハウスにしろ。

――パッシブハウスにしよう?(笑)

しろ!

――しろ?

しろ!

――命令系ですね(笑)

命令ですよ。だってそうしないのは自分のお金を無駄にするし、健康じゃないし、資源も無駄にするし。

――やっぱりみんなパッシブハウスにすると、まずちょっと高くなりそう。って思っているのがハードルですかね。

安いんですよ。ほんとうは。


パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

軽井沢パッシブハウスのポイント

建築家/パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

ケビンさんの家の凄いところは、ただパッシブハウスだって事じゃなくて、太陽光発電への投資で、冬もエネルギープラスなんですね。

普通の家って夏や中間期はあり余った電力を売電してゼロエネなんですけど、この家は冬もプラスなんです。本当の意味でのエネルギー的自活が達成されている。早くオフグリッドにしたいとケビンさんからは言われているので、私も準備を急がないといけないのですが。

なおかつケビンさんが省エネのメリットを独占しないところが素晴らしい。最初は薪は自分で割るって言ってたんですけど結局割ってないんです(笑)買って来るんだけど、その買ってるところが、1番コストの高い、地元の障害者施設で作ってる薪を買って来るんですよ。今、ネットでカナダ産の薪が安いとかあるのに見向きもしない。

もしも家の性能が悪くて今の家の10倍の消費エネルギーだったらこの選択はお財布に痛いんだけど、パッシブハウスなのでそれができるということ。そういう選択をされたということが素晴らしいなって思います。まず自分の快適性とか光熱費とかそういうのが守られて、自分の暮らしや健康だけ、家計だけに良い家だと「エゴハウス」なんですけど、じゃあその後どう行動するかっていうところで、ケビンさんは地域経済や森林資源の循環を支援することでこの家は「エコハウス」になってます。
設備的には、薪ストーブがメインなんですけども、ヒートポンプの床暖もいれてます。それは、わんちゃんの足腰に良くないからフローリングが嫌だということで、一階の床はほぼ全面タイルになっちゃったんで、ケビンさん靴下履かなそうだし(笑)、ちょっとヒヤっとしちゃうかなーっていうのがあって。あと薪切れちゃった時、薪割ってくれなかったらどうしようとか、まあいろんなこともあって、一応ヒートポンプの温水暖房が入っていて、両方使うということは絶対ないんですけど、状況に応じてどっちか使うという感じで。

夏になると、同じヒートポンプが冷水を作ります。冷水は換気装置の中で外気に直接触れてがっつり結露をさせて、外気を除湿するということです。もちろんその時は床暖回路に冷水が回らないように制御がかかってます。私が見てきたドイツでは住宅でも設備設計のプロが入ることで、カスタムメイドの設備コンセプトが実現します。日本は残念ながらメーカーの製品を買ってきて付けるのが一般的だから、工務店が勉強不足ですね。

ケビンさんの所は、一応将来的にエアコンをつけられるように壁の中にスリーブはいれてあるんですけど、今のところ必要ないみたいなので、ホッとしています。

それから、薪を燃やすのは環境負荷がゼロだと思い込んでいる方が多いですが、それは違う。ケビンさんの家ではほとんど薪を使いませんが、それでも薪ストーブは出来るだけ燃焼効率の高いものを選び、貴重なバイオマス資源を無駄にしないように心がけています。
あとはスティーベルの熱交換換気です。

夏の夜間に階段室の天窓をあけられて、夜の間にどんどん熱気を出して、朝になると締めるという感じで過ごされている様子です。

家自体の総額は10-20%くらいアップしますが、住宅ローンも光熱費も同じランニングコスト、ととらえる事で、モノの見方は変わってくると思います。 最後に、健康でストレスの少ない生活って、お金には換算出来ない、プライスレスな価値であることを、業界の人間ももっと堂々と発言していかなければならないと感じます。ペイしますか?とか良く尋ねられますが、即答します。ペイするどころじゃ無いですよって!

PASSIVE HOUSE OWNER'S VOICES vol.02 いばらきパッシブハウス


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