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Passive House Planning Package

PHPP(Passive House Planning Package)は1997年に独パッシブハウス研究所(以下PHI)によってリリースされた建築物のエネルギー収支計算ツールです。エクセルベースのこのツールは、住宅・非住宅、または新築・改築を問わず、設計段階で建物のエネルギー収支(冷暖房、換気、給湯、照明、その他補助電力)を予測するために開発されました。建設地の外気温湿度や日射量に関するデータを取り込むことで、建物の外皮性能や日射取得状況を加味した詳細計算を行うことが可能となり、入居後の実際のエネルギー消費量(実測値)が、設計段階での予測値を上回らないことで世界的に定評を受けています。

建築物のエネルギー収支を予測するツールは国内でも数多く存在していますが、PHPPは入力が非常に細かく、例えば窓の入力を例に挙げると、窓枠のU値、ガラスのU値、日射取得率、ガラスと窓枠のヒートブリッジ係数、窓枠と躯体(外壁)間のヒートブリッジ係数の入力が求められます。また、熱損失計算には換気(漏気を含む)回数や夏季の窓開けの影響も考慮されるため、高温多湿なアジアにおいては、夏季の窓開けが除湿負荷の増になる点に関しても考慮されています。また日射取得量の算出にあたり、近隣建物の影の影響や、庭木等の樹木の遮蔽効果も考慮されるため、より現実的な予測を行うことも特徴です。 また建築物の内部発熱量に関しては、住宅の場合は固定値を使用しますが、非住宅の場合は建物内の滞在人数や利用時間、OA機器等からの放熱分も考慮して計算を行うため、ありとあらゆる用途の建築物を対象としています。また当然ながら、その詳細な負荷計算を元に、再生可能エネルギーを搭載した場合に建物全体でゼロエネ、もしくはプラスエネルギーになるか否かの検討にも活用が可能なツールとなります。

PHPPのベリフィケーションシートには建物の年間暖房需要(kWh/m2)や年間冷房需要(kWh/m2a)、年間総一次エネルギー消費量(kWh/m2) が計算値として表示され、所定の基準を満たすことでパッシブハウス認定を申請することが出来ます。認定には気密試験の実測値や1種換気の風量調整レポートも提示が必要で、気密性能に関しては50パスカル減圧/加圧時に0.6回/h以下(C値換算で0.2~0.4c㎡/㎡)の値を実測で証明しなければなりません。

現在PHPPは複数の言語に翻訳され、寒冷なヨーロッパのみならず、南半球を含む温暖な地域でも活用されており、PHIのデータベースで確認できるだけでも5300棟(実際には集合住宅の認定も多く、住戸数で言うと3万戸)以上のプロジェクトが実際にこのツールを使用してパッシブハウス認定を受けています。日本では2011年にパッシブハウス・ジャパンの監修の元、(株)シーピーユーより、PHPPが3次元CADと連携する「建もの燃費ナビ」がリリースされ、CAD入力した建物の外皮面積や窓の方位等が自動判別されエネルギー計算が行われるようになりました(※建もの燃費ナビのライセンスを購入された場合は、自動的にPHPPのライセンスの所有者となります)。また2019年以降は3DモデリングソフトのSketchUpの拡張機能としてdesignPHがPHIよりリリースされ、より効率よく建物の周辺状況の影の影響を数値化出来るようになりました。

英語版を購入希望の方はPHIのオンラインショップから購入頂けます:

日本語版を購入希望の方は、PHJのPHPP集中講座にお申込みください。
※PHPP集中講座は省エネ建築診断士を対象としたセミナーとなります。