所在地 | 沖縄県名護市 |
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用途 | 戸建(一般) |
建築年 | 2022年 |
一次エネルギー消費量 / 太陽光発電 | 65kWh/(㎡a) / 132 kWh/(㎡a) |
年間暖房需要 | 0kWh/(㎡a) |
年間冷房需要 | 24kWh/(㎡a) |
設計 | アトリエガィィ |
施工 | 全体:株式会社 具志頭工務店 木造部分:グレイン 設備工事:明正電気工事社 |
PH認定コンサルタント | 江藤 眞理子 |
パッシブハウスに挑む
沖縄で初めてのパッシブハウス認定を受けることができ、嬉しく思っています。
長年エコロジー活動に勤しんできた施主夫妻が、自邸を計画するに当たって辿り着いた究極のエコ住宅が、パッシブハウスでした。
「うりずん」は、沖縄の古語で2月末頃から5月の初めまでの、一年を通じて最も快適な時節のこと。そのような住環境になるようにとの思いを込めて、建物名を「うりずんHouse」としました。
沖縄は冬場の暖房負荷がかからないため、温熱環境は簡単にまとめることができると考えていましたが、なかなか簡単にはいかず、様々な課題に直面し、何度もプランの変更とシミュレーションを繰り返しました。
計画を進める中で、パッシブハウスの基準をクリアすることと、この地域(やんばる)の環境モデルとしての汎用性を加味することが大切なように思えました。
これまで培ってきた、沖縄民家の特徴である、開放的な快適さを損なわないようにするために、年間の4分の一、およそ100日程度は自然換気のまま暮らせると想定し、窓を開放して過ごせるように計画。全熱交換器の導入による第一種換気と自然換気が切り替えられる、ハイブリットな換気計画を考えました。
また、北部(やんばる)集落の特徴でもある、高潮の水害を受けやすいという課題を解決するために、高床住宅の要素を組込み、地中温度が一定であることを活用して地中にもぐらせる竪穴式住居の良さを、一階半地下のプライベート空間に応用しました。
越屋根や室内外の格子等を、温熱環境のツールとして、先人たちの知恵を生かせるように細部を構成しています。
パッシブハウスに導いてくれた施主をはじめ、この建築に関わった全ての皆さんの、協力とチャレンジ精神に感謝しています。
異常気象、気候変動による地球環境の異変が懸念され、住環境への意識がこれまで以上に高まろうとしている今、この家が亜熱帯蒸暑地域の住まいの課題に一矢を投じることを願いつつ、これからもパッシブハウスに挑む機会を増やしていきたいと思っています。