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森みわ
パッシブハウス・ジャパン代表理事
パリは燃え、ネパールは洪水に見舞われ、AIを悪用したサイバー攻撃が私たちの日常を脅かす。気候変動ひとつ取っても地球も人々も悲鳴を上げているというのに、人間同士の殺し合いや領土の奪い合いは留まるところを知りません。国際社会のルールはどこへやら、まるで弱肉強食の世界です。
そんな世の中に業を煮やしたのか、プリツカー賞受賞建築家の山本理顕さんが、81歳にして去る横浜市長選への立候補を表明しました。「誰もが快適な住宅に住めるようにする。それを任期中に実現する」と。確かに建築家が首長になる行政を、一度見てみたいかもと思ったのは私だけでしょうか。もっとも、政治家の言葉が本当に実現するかどうかは、私たち有権者がしかと見届けなければなりませんが・・。
AIの飛躍的な進化によって、世界中の情報が瞬時に手に入る一方、その情報が本当なのかどうか、ますます見極めが難しくなっています。便利になればなるほど、何を信じればよいのかわからない。そんな時代だからこそ、自ら足を運び、自分の目で確かめ、筋の通った人と直接言葉を交わすことの価値が、ますます高まっているように思います。
という訳で、11月13日(金)~15日(日)は毎年恒例の国際パッシブハウス・デーを日本国内でも開催いたします! 今年も全国各地で、実際に人が暮らすパッシブハウスが一般公開されます。快適性は数字や写真だけでは伝わりませんので、ぜひ現地に足を運び、ご自身の五感で確かめてみてください。住まい手さんの生の声を聞ける貴重な機会でもありますので家づくりを検討されている方は是非ご活用ください。

さて、先日私にとって嬉しい出来事がありました。熊本県のあめいろ工務店設計&施工の人吉パッシブハウスが、このたび同社にとって初のパッシブハウス認定を無事に取得したのです。実はこの建物、認定申請中の今年7月28日、熊本地震に見舞われています。あめいろ工務店の皆さんも被災し、事務所、店舗、社長のご自宅まで大きな被害を受けました。多くの世帯で電気も水道も止まる中、電気が通っていた人吉パッシブハウスには、一人暮らしの社員さんが避難して宿泊することに。被災当日、坂口社長から直接いただいたお知らせでした。災害時にも人が身を寄せられる場所があること。そして、限られたエネルギーでも快適な室内環境を維持できること。建築が果たすべき役割を改めて考えさせられました。


最後にもう一つ嬉しいお知らせです。同じくパッシブハウス認定を取得したタナカホームの新社屋「ameterrace」が、ビルダーズ主催の「日本エコ建築大賞2026」のグランプリ候補にノミネートされました! 11月19日の最終審査会は設計者の私が5分間のプレゼンテーションに挑みます。また、エコハウス大賞の最終審査会も同日開催で、PHJの野澤工務店によるリノベ作品「継受の家(くまとりパッシブハウス)」がノミネートされています。会場でもオンラインでもご覧いただけますので、ぜひ皆さんの応援をよろしくお願いいたします!!



PHJ設立16年目。世の中はなかなか思うように変わりませんが、少なくとも建築の世界では、確かな変化を感じています。かつては「やりすぎ」「そこまで必要ない」と言われたパッシブハウスが、ようやく特別な存在ではなくなりつつある。
16年かかりましたけどね(笑)。