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ニュースレター 2021年6月号コラム

2021.06.15

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森みわ

パッシブハウス・ジャパン代表理事

『求む、現代版太閤検地!?』

先日は竹内昌義理事が委員として参加されている、国交省・経産省・環境省による「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(あり方検討会)に向けた意見書をPHJとして提出させて頂きましたので、今月のメルマガはそれに関して少し補足をさせて頂きたいと思います。総理や大臣の鶴の一声で、一気に流れが変わったかと思いきや、結局ゲームチェンジと呼べるような変化は見受けられませんでしたが、多くの意識の高い実務者が今回の議論を通じて情報交換し、緩やかに連携出来たことは成果だったのかと感じています。省エネ義務化のチャンスに、より高い外皮性能レベル(例えばHeat20のG2レベル)を義務化したいというパッシブデザイン推進派の皆様の働きかけは素晴らしかったと思いますが、同じ主張ばかりでは勿体ない事も踏まえ、私からは今回、肝心な物差しが結構いい加減であること、それを先ずは正すことが優先順位として高い事を問題提起させて頂きました。

あり方検討会へのPHJからの意見書はこちらからご覧いただけます。

いい加減な物差しとは?
勿論それは外皮性能の物差しのいい加減さ(気密性能やヒートブリッジや換気によるロスの考慮が欠落している)、エネルギー効率の物差しのいい加減さ(日射取得や遮蔽による影響の考慮が不十分若しくは欠落している)も指していますが、2次エネルギーから1次エネルギーへの変換係数のいい加減さ(化石燃料を採取した地点からの目減りが考慮されていない、すなわち国際的なルールに則っていない)に関しても、このタイミングで立ち戻って見直しが必要かと思います。

豊臣秀吉が太閤検地を行った一番の主旨は、日本全国の民の公平性(税金を巻き上げるという目的において)を保つ事だったと私は考えているのですが(同じ意図は現在のマイナンバー精度にも感じられる訳で)、現在の地球温暖化対策という枠組みの中で、各国の削減ノルマ、もしくは炭素税の算出に関しても、やはり同じ物差しで測られるべきでは無いでしょうか?1尺が各国で微妙に異なるように、1次エネルギー換算の1kWhが各国で微妙に異なるというのは、許されるべきことでは無いはずです。
皆さんはどのようにお考えでしょうか?