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ニュースレター 2020年11月号コラム

2020.11.17

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森みわ

パッシブハウス・ジャパン代表理事

プレーヤー不在からの脱却を目指して

去る11月12日、PHJ10周年記念イベントをオンラインで無事執り行う事が出来ました。エコハウスアワードの審査員を務めて頂いた皆様、そしてエントリーしてくださった全ての皆様にお礼申し上げます。審査員も日々進化中の現役プレーヤーであり、皆さんの良きライバルでありたいと願っています。今回の受賞の是非に一喜一憂し過ぎることなく、来年も自信作のエントリーをお願い致します。

PHJの活動は今から10年程前に始まりました。2009年9月に竣工した鎌倉パッシブハウスへの反響は意外に大きく、主に北海道や東北地方から沢山の実務者が視察に訪れて下さいました。鎌田先生や西方先生の姿もありました。一方、私やパッシブハウスのブランドを独占しようとするビジネス・オファーも多くありましたが、坂本雄三先生に「パッシブハウスは森さんが不自由無く暮らしていける程度に普及したら良いと思うよ」と言われていたことで、私の中の反骨精神が駆り立てられたこともあり(笑)、ドイツのパッシブハウス研究所の想いを組んで、望めば誰もが取り組める、オープン・ソースを貫こうと決意したものでした。非営利型一般社団法人で行く方針は、鎌倉パッシブハウスのオーナーの強い意思でもありました。とはいえ、日本に拠点を移して間もなかった私でしたので、2009年の暮れに自ら企画した欧州省エネ建築視察ツアーに参加してくれた松尾和也さんに声をかけ、2020年2月にPHJの活動が始まります。

振り返ってみると、自ら組織を率いたいけれどもその活動の「核」が見つからないというケースは多いようですが、日本に拠点を移した当時の私には、“省エネ建築デザイン”という「核」があっても組織を率いることに興味がありませんでした。にも拘わらず看板をあげる展開となり、松尾さんには広告塔として助けて貰いました。自ら設計事務所を立ち上げながらのPHJの運営に加え、家事・育児との両立に悩みながら、沢山の方々にサポートして頂いて歩んだ10年でした。私なりに、どうしたら自発的、同時多発的に、雨後の筍の様に省エネ建築が全土を埋め尽くし、社会の新しい常識として定着するかを考え、自分一人が目立つのではなく、少しでも多くの人が持論を獲得し、やがてインフルエンサーとなり、最終的にリーダーシップを発揮できるようなスキームに拘っていました。今PHJには、沢山のインフルエンサーが居り、それぞれが「核」を大切にして活動しています。これは本当に素晴らしい事だと思います。

どんな時代も強いカリスマ性とリーダーシップが求められ、好まれるのは常ですが、それは裏を返せば“長いものに巻かれたい”という人の多さの象徴ではないでしょうか? 日本人に関しては特に、自ら考え、持論を形成する訓練が十分になされていないように見受けられ、自分が正しいと信じる方向に道を切り開くことよりも、権力者への忖度によって自分側に便宜を図ってもらう事にエネルギーを費やしている人が、民主主義の先進国の中では異常と言える程に多いように私は感じています。

先日アメリカの熱狂的な大統領選挙を外から眺めながら、多くの市民が政治に関心があるという土壌がそもそも羨ましいと思う反面、これからはメディアやカリスマに洗脳されやすい人を増やすためではなく、持論を持って主体的に行動する人を増やすためのリーダーシップ即ち、誰もがアウトプットに躊躇することなく、そして心置きなく議論が出来る社会の実現を目指すことの必要性を強く感じました。

実務者の皆さんにおいては、建築の省エネ化一つ取ってみても、「国が定めたから」とか、「補助金が出るから」とか、「施主がこれを望んだから」とか、主観を挟まないアドバイス、ついつい口癖になっていませんか? あなたがプレーヤーとしてどのように問題意識を持ち、行動に繋げているかをアウトプットする事で、きっとあなたの周りに何らかの変化をもたらすはずです。長文にお付き合い頂きありがとうございました。