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【ニュースレター 2024年9月号コラム】 パッシブハウスはみんな平等

2024.09.28

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高岡文紀

有限会社アーキテクト工房 Pure 代表取締役
PHJ理事
四国支部リーダー

パッシブハウスはみんな平等

今年の愛媛は暑かったですね、雨も少なく毎日、毎日35°~37°の外気温でした。基礎屋さんとこんな話を。

高岡)毎日暑いですね。これからもっと熱くなり40℃近くになることもあるそうですよ。
基礎屋)今でもたまらないのにそんなにも気温が上がったら仕事にならないので夏季休暇にして休ませます。

と、まじめな返答がきました。

まさに地球沸騰時代に突入しているのでしょうか?

他の業者さんから‟他の工務店さんの話ですが、全館空調が効かないとお客様からのクレームがとても多いみたいです“
一般の方からしたら空調機の能力が足らないので効かないのでは?と思われる方が多いかもしれませんが、私は建物の断熱性能が低すぎる、日射遮蔽が出来ていないからではないかと考えました。

皆さんはどの様に考えますか?

そんな毎日の猛暑日ではありましたが、私はパッシブハウスの事務所からパッシブハウスの自宅との往復で毎日暑くてたまらないという感じではないのですが。
現場打合せなどで外に出ると、職人の方は こんな暑い中で仕事してもらっているんだと申し訳ない気持ちにもなります。

一方、断熱施工を終えた現場では大工さんがすべての窓を閉めてスポットクーラーと扇風機で作業を行っています。外部足場の養生シートが日射遮蔽の役割をして断熱がしっかり効いていると窓を開けて通風している方が暑かったりしますね!!

本題の “パッシブハウスはみんな平等”

この言葉は パッシブハウスに興味を持って頂くためにお客様との会話の中でよく出てくる言葉です。

日本の省エネ基準Ua値とパッシブハウス性能の考え方の違いを判って頂く為に話をします。
Ua値(外皮平均熱還流率)とは 森代表理事が言われてる魔法瓶性能の事です。

愛媛は、2025年省エネ基準は等級4でUa値0.87W/(㎡・k)で義務化されます。
パッシブハウスにした時のUa値は最近(2022年~)では0.18 W//(㎡・k)前後が多くなりましたが、
以前は0.25 W//(㎡・k)前後でした。

以前と比べて最近は 気象データが変わったのか、プランの違いなのか、断熱材の厚みが増してきています。お客様との会話の中でお伝えする私の自邸(パッシブハウス)のUa値は0.25 W//(㎡・k)です。

自邸は真南を向いていますが、もしロケーションが西側の方が良くて、そのまま45度西に建物の向きを変えてもUa値は同じです。愛媛でUa値0.25 W//(㎡・k)の家を、同じ間取り、同じ仕様で北海道にそのまま建ててもUa値は0.25 W//(㎡・k)となります。

魔法瓶性能は何処にどの向きで建てても、地域が変わっても、同じですが
住み心地(冷暖房エネルギー)は同じだと思いますか?
と質問をさせて頂くと、

「向きを変えても家の冷暖房エネルギーはあまり変わらないと思うが、
北海道の方に建てると暖房のエネルギーは高くなる」
と言われる方が多くいらっしゃいます。

では、パッシブハウスの性能の考え方は

どの地域に(世界各国)建てようと、どの方位に向いて建てようと、

年間暖房負荷(需要)20℃15kwh/㎡
年間冷房負荷(需要)25℃15kWh/㎡+潜熱需要分(地域によって異なる)
気密性能0.6回以下 (C値約0.2㎝/㎡以上)
一次エネルギー(旧)120kwh/㎡
PASSIVEHOUSE 性能基準4項目

上記の4条件を満たせば どの国に建っていようとどの方位を向いていようとパッシブハウスとなります。
当然断熱材の厚さや窓の種類や大きさは地域により異なりますが、
同じ床面積でエネルギーの購入価格がもし同じであればどの国に建っているパッシブハウスも
全て同じエネルギーで生活でき、購入費用も同じ、地球環境に与える影響もすべて同じでみんな平等となります

この様な話をよくさせて頂いています。

断熱改修によるパッシブハウス認定を目指す

次に、PHJ賛助会員さんの会社で断熱改修によるパッシブハウス認定を目指されている施主様の話になります。

この施主様とは12年前に環境視察ツアーでご一緒させていただきました。業界に関わっていない一般の参加者の方です。ドイツのフライブルグにあるヴォーバン地区に建っているパッシブハウスを視察された時のことがきっかけで現在、断熱改修でパッシブハウス認定を目指して工事をされておられます。
改修工事についても弊社にご連絡を頂いたのですがエリアが違うため、近くのPHJ賛助会員さんをご紹介し、工事に着手されておられます。

工事途中の現場を視察した際に、お施主様もいらっしゃって、
改修工事でパッシブハウス認定を希望された理由をお聞きすると

ヴォーバン地区に建っているパッシブハウスで ‟この建物に住まれている方は年収の違いで家賃こそ違うがパッシブハウスと建物に住むことでみんな温熱環境は平等“と説明を受けたことがとても印象に残っており、今回改修でパッシブハウスに住みたいと思いました。

とお話して頂きました。
世界各国の方みなさんがパッシブハウスに住むことで同じ温熱環境の中で平等に生活し、地球環境に与える影響もみんな同じだと思うと、パッシブハウスをもっともっと日本にも広めていかないといけないなと改めて感じました。

是非、賛助会員の皆さんもパッシブハウスにチャレンジして頂き住まわれる皆さんが平等な温熱環境の中で生活して頂きたいですね!!