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三原 正義
パッシブハウス・ジャパン理事(2024年4月 理事に就任)
エコモ株式会社 代表取締役
札幌にて独立後、群馬へ移転し住宅設備会社を経営。鎌倉パッシブハウス以降たくさんのパッシブハウス案件の換気設計・施工を多く行う換気のスペシャリスト。
三原イチオシのイベント『ISH展2025』
来年2025年3月17日から21日間にドイツのフランクフルトにてISH展が開催されます。2年に一度の開催で世界最大規模の設備系の展示会になります。冷暖房・空調設備・衛生設備など世界の最先端を知ることが出来るとても素晴らしい展示会です。
ISH2025のテーマは
Solutions for a sustainable future「持続可能な未来のためのソリューション」
となっており、現在抱える課題への解決策や、今後の方向性など様々分野において展示されます。
これらの中には、単に設備機器的なものばかりではなく、流通や作業効率など実務的な提案もすべて含まれます。
あまりの展示規模の大きさに、このコラムですべてをご紹介することは出来ませんので詳しくは公式サイトからご覧ください。
この展示会を経験することにより今後の世界の方向性が見えてきます。どのメーカーがどのような商品に力を入れているか?それぞれの企業や団体、識者がどのような世界を思い描いているか?それらの中で、どの様なものを日本で活用出来るか?そんな事を考えるとワクワクします。
持続可能な未来のためには、経済との両立は欠かせない問題なので企業と各国の方向性を知ることはとても重要になってきます。理想的なシステムや機器の理論があっても、商業的メリットが無いと企業は動いてくれません。それらには経済の他に地域性や国策も絡んでくるため、欧州の識者による「Conferences & Talks」イベントにも興味が尽きません。
11月22日に行われた、エコハウスアワードの公開審査会ではエントリーされた物件は甲乙つけがたい非常にハイレベルなものとなっており、各審査員頭を悩ませる状況でしたが、全体的に窓や断熱材、設備の構成などパターン化されたものとなっており、特に新しさを感じることはありませんでした。その後に行われた審査員による食事会でも「やや頭打ちかな?」などの会話もありました。これは、パッシブハウスレベルの住宅を建てる際、部材や設備等の選択肢が極めて少ない事を意味しているのではないかと感じました。
今後パッシブハウスを進めていく上で、設計者やオーナーの選択肢を増やす事が課題になってくるかもしれません。先に述べましたように、ISHは世界最大級の設備展示会ですので、見学される方はきっと世界の最先端から新しい刺激を受けること間違い無し。目から鱗の出会いがあるかもしれません。
見学の際の注意点
見学の際の注意点ですが、各ブースで説明等を聞きながら見学すると、1日ではとても回り切れません。見学される方は事前に回りたいブースの情報を確認し、計画的に行動することをお勧めします。
可能ならば語学力が堪能な方の同行が望ましいです。その場合建設や設備的用語を的確に通訳される方がベストです。適任者に一人心当たりがありますが(笑)
また欧州を中心に世界各地から人が集まりますので、宿泊や移動手段の確保等早めに計画されることをお勧めします。
ISH期間中に開催される各種イベントも盛りだくさんで、「Conferences & Talks」では以下内容が予定されています。(参加申し込みが締め切られているものもあります。)
■水の持続可能性の未来が形作られる Value of Water Conference
「水の価値会議」には、衛生、不動産、住宅業界の専門家、政治的意思決定者、地方自治体の代表者、国際代表団が参加します。 非政府組織と開発機関が集まります。彼らは一緒に、この目標の実現を加速するために、建物内および建物周辺の水管理と衛生における世界的なイノベーションとベストプラクティスについて話し合います。
■Building Future Conference(未来構築会議)
(政治や地方自治体、不動産・住宅業界、エネルギー供給業者、プランナー、建築家、プロジェクト開発者の専門家が集う場所です。この会議の目的は、持続可能な建物とエネルギーの概念を促進し、気候保護と資源保護に大きく貢献する戦略を共同で開発することです。)
■デザインプラザ
ISH2025でのインテリアデザイン、現在のトレンド、および衛生業界の将来の見通し
■エネルギー議会下院(ドイツ語のみ)
「変革の鍵-デジタル化、インフラストラクチャ、熟練労働者」というタイトルで開催されます。
それぞれが、どのような内容の話しになるか注目です。建物と設備は密接な関係にあるものなので、皆様も畑違いと思わずに、機会があれば是非見に行くことをお勧めします。
三原イチオシのイベントです。PHJでツアーを組んでも良いかもしれませんね。
皆さんからPHJ事務局に「ツアーを組んでほしい!」とプレッシャー掛けてください(笑)