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ニュースレター 2021年2月号コラム

2021.02.14

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森みわ

パッシブハウス・ジャパン代表理事

バレンタイン特別企画セミナー
「ほろ苦くて茶色い恋人を知る」

木造住宅の基礎断熱(床断熱を含む)に、これほど多くのバリエーションがある国も珍しいのでは無いでしょうか? バリエーションが多すぎて、実務者の悩みも多いのが現状、ということで、去る2月12日(金)、バレンタインデーにちなんで地盤と建物の基礎をテーマとしたPHJ賛助会員限定の無料セミナーをオンライン開催。チョコレート色の地盤をモデリングし、熱解析ソフトでシミュレーションを行うという企画でした。セミナー参加者に対する事前のアンケート調査では、最も採用率が高かったのが床断熱と基礎外断熱という結果に。その次に続いたのがL字型の基礎内断熱でした。そこでこの3パターンに関して、建物とその直下の地盤との間で、どのような熱のやり取りが生じるかを視覚化してみました。土中や基礎コンクリート、そして床下空間の温度を知る事はとても大切で、また具体的に室内側からどれくらいの熱が逃げていくかという数値を追っていくことで、それぞれの工法に対する正しいイメージを持ってもらえたと思います。今回のセミナーは参加者の間で大変好評でしたので、いずれ動画を編集して公開出来ればと思っております。

さて、基礎内断熱が採用される理由は、シロアリは怖いが基礎断熱がしたい、という事に尽きると思いますが、L字のみでは建物中央から熱がどんどんと土中に向かって放熱されるため、床下エアコン採用の際は特に、基礎の断熱材は全面敷き込みがマナーであると言えます。それでも断熱材に隙間があると、水蒸気が入り込んで基礎コンクリートの表面で結露が生じるリスクは大きく、特に土台回りに水を呼ばないための配慮が必須です。冬のエネルギー効率だけに着目すると、床断熱でも気密をきちんと確保する事で、十分な効果が得られると思われますが、夏のエネルギー効率を考えると、床から土中に放熱が見込める基礎断熱の魅力も捨てがたく、夏と冬のせめぎあいの中、地域ごとに、そして物件毎に選択肢が絞りこまれていく様子を、参加者の皆さんと共有出来たと思います。

また、エネルギー効率的にはやはり一番有利と言わざるを得ない基礎外断熱に関して、防蟻に関する質問も多く寄せられ、施工時の注意点などが議論出来ました。過去8年の外断熱施工実績の中で全く被害が出ていない西日本の施工者からの報告もありましたし、12年前から防蟻処理された断熱材に銅板による蟻返しを標準採用している私の設計案件においても、これまでなんの被害報告もありませんが、それでも少しでも多くの方が安心して外断熱工法に移行できるようにと、長年声を大にして要望していたリサイクル発泡ガラスボードの国内販売が今年始まることになり、本当に安堵しています。水にも火にも強く、白蟻に食われないリサイクル建材が、基礎周りに使用できるようになれば、日本の住宅の省エネ化にとって本当に素晴らしい事です。建物の耐久性は、自らの命や資産を守るためには絶対に必要な事です。しかし徹底した省エネルギー性能も、私達が一生涯出会う事の無いであろう他人の命と人権を守るために絶対に必要なのです。この考え方に賛同頂ける方は、家づくりの相談の際に是非PHJのメンバーを訪ねて頂ければと思います。

余談ですが、数年前にシロアリの研究者を訪ねた際、実はシロアリがとても美味であるという事を教えて頂きました(笑)。今、まさに先進国に暮らす私達の過剰な肉食が、気候変動や食糧危機に加担しています。無印良品も今年遂にコオロギせんべいを発売しましたが、今世界の最先端は昆虫食。もしも私達の大切な家に侵入を試みるシロアリが居るならば、片っ端から生け捕りしてたんぱく源とさせて頂きたいところです。昨年はミドリムシがバイオジェット燃料の国際規格を取得しました。微生物が飛行機を飛ばす時代がやってきたのですから、ホワイトデーは、シロアリクッキーなんていう新しい常識も、あっという間に定着するかも知れません?!