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ニュースレター 2020年9月号コラム

2020.09.09

パッシブハウス・ジャパンでは月に一度ニュースレターを発行しております。

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高岡文紀

有限会社アーキテクト工房 Pure 代表取締役
PHJ理事
四国支部リーダー

2012年よりアーキテクト工房Pureはすべての新築住宅をパッシブ・ハウスもしくは高性能住宅(ニアリーパッシブ・ハウス)で建て続けています。

何故そこまでパッシブ・ハウス、高性能住宅にこだわり続けているのか?を書かせていただきます。

パッシブ・ハウスの初めて出会い

私が初めてパッシブ・ハウスと出会ったのは2009年10月某団体の視察ツアーに参加。

フライブルグに建っているパッシブ・ハウスを見たのが初めての出会いでした。

その時案内していただいたのがフライブルク在住の環境ジャーナリスト村上敦さんでした。

初めて目にしたもの

  • トリプルガラスのサッシ
  • 木質系エコボード・EPSなどによる付加断熱

夏冬ともに季節風が山地によりさえぎられるため比較的雨が少なく温暖であるのが特色と言われる〝瀬戸内気候”の四国愛媛では当時アルミ樹脂複合のペアガラスを使っていたらいい方でシングルガラスを使っている建物もあった当時は3枚のトリプルガラスなんて・・・

それと付加断熱、当時は充填断熱もしくは外張り断熱のどちらかで施工しておけば十分と思っていたのですが、私には充填断熱+付加断熱なんてものは全く思いもつかない施工で今でも強烈に記憶に残っています。

翌年2010年にはもう一度パッシブ・ハウスを見たくて地元の旅行会社に頼んで社員研修でベルリンに建っているパッシブ・ハウス視察に行きました。今考えるとその時すでにはまってしまったのですね(笑)

森 みわ氏との出会い

私が森 みわ氏と出会ったのは、当時弊社は某FCに加盟していて毎月の定例会での講演で森さんが講師で来ていただいていたのが初めての出会いでした。

森さんと出会う前にサッシメーカーの営業の方が、『世界基準のいい家を建てる』この本ご存じですか?と本の紹介をしてもらったのですが、たまたま翌月に行われる某FCの定例会での講師が森さんだった事もありすぐに本を購入。森さんと出会うまでに読ませていただきました

本を読んでいるとますますパッシブ・ハウスに興味を持っていく私がいました。

そして初めて森さんの講演を聞いてドイツから帰国して日本にパッシブ・ハウスを普及させる為PASSIVEHOUSEJAPANを立ち上げる森さんのパワーに圧倒され迷うことなく賛助会員として入会、現在に至っています。

パッシブ・ハウスで自社事務所建築

アーキテクト工房Pure設立後モデルを兼ねた自社事務所を建築したいと土地を探していて、土地が見つかり自社事務所計画がスタート、設計はプラン・リーブル高岡氏に依頼。

性能はパッシブ・ハウスで体感宿泊ができ多くの方にパッシブ・ハウスの良さを広めることを目的としました。

プラン・リーブル高岡氏と森さんの事務所を訪ねてコンサルのお願いをしましたが、何故か〝ほったらかしプラン”と言うコンサル契約を結んでいたようです・・・・(笑)

当時日本ではパッシブ・ハウスは工事中も含めて4棟しか建築されておらず、すでに建築されている工務店さん高橋建築・島田材木店さんのHPなどでどのような施工をされているかを調べて手探り状態で工事がスタート。

一番困ったのが木製トリプルサッシアルミクラッドの窓の取り付け方ですね。

ありがたいことに秩父の高橋建築の高橋さんが技術指導の為に大工さん2名を松山まで派遣していただきました。

本当に助かりました〝感謝”しかないですね(^^♪

断熱材はウッドファイバーを使ったのですがこの量がものすごくて社員、職人、納品業者皆がビックリ、この量が本当に壁内外、屋根に全部に施工しないといけないの??

もう、笑うしかなかったですね。

何とか事務所も完成しましたがパッシブ・ハウス認定が認可されるのに5年の年月が掛かりました(笑)

すべての新築住宅を高性能住宅に

快適な事務所で毎日の業務を行っているとやはり一般のお客様にもこの快適な空間で生活してほしいとの思いが強くなり今後すべての新築住宅をパッシブ・ハウス性能に近い高性能な建物しか建てないと宣言しました。

実際は受注が減るのではないかとドキドキでしたがパッシブ・ハウスの快適性や経済性、海外と比べて日本の遅れている住宅性能などの話を聞いてもらい何とか受注が大きく減ることもなく現在に至っています。

現在では高性能な建物を希望してお問い合わせも増えているのが現状で方向性は間違ってなかったと確信。

パッシブ・ハウス、高性能住宅に住んでいただいているお客様の声

弊社はお引渡し1年後のOB様にアンケートをお願いしています

  • 冬の寒さについて
  • 夏の暑さについて
  • 健康面について
  • その他新しいお家で生活してみて感じたこと

上記の内容のアンケートですが

冬の寒さについての回答では

〝家の中が寒い”と言う言葉が一切入ってなく中には
〝12月27日に年賀状を書いていますいまだに暖房は入れていませんがいつ頃から入れたらいいでしょうか?”
〝夏の布団で冬も過ごしている”

夏については

〝玄関入った瞬間から涼しい”
〝夜中に暑くて目が覚めることが無くなった”
〝日射を入れてしまうとなかなか温度が下がらない”

ちょっと夏の方の満足度が低いような回答もありますが

日射遮蔽の必要性と少ないエネルギーで冷房している事の説明を再度行い

日射遮蔽材など設置して快適に過ごしていただいている方も多くいらっしゃいます

健康面についても

〝風邪をひきにくくなった”
〝子供の病院に行く回数が減った”
〝体の芯からあたたまっている”

その他新しいお家で生活してみて感じたこと

〝外の音が聞こえなくてとても静か”
〝いつも素足で過ごしている”
〝光熱費がかからない”

上記の内容の回答が沢山書かれておりパッシブ・ハウス、高性能住宅にとても満足されています

松前パッシブ・ハウス『大間の家』に住んでみて

私の自宅『大間の家』は森さんに基本設計をお願いして2016年冬より住んでいますが、他のOBさんのアンケート内容と全く同じで一年中とても快適な生活が出来ています。

自然素材を使って高性能な建物に住んでいるとおのずと食生活も気にするようになりできるだけオーガニックな食べ物を食べるようになったり、プラスチックのごみをできるだけ出さないよう気を付けるようなったりと環境にも配慮するようになりました。

おそらくOBさんも同じように気にされている方が増えてきているのではないかと思っています。

まとめ

パッシブ・ハウスと出会い多くのパッシブ・ハウス、高性能住宅を建て続けていますが、住み続けることで逆転していくイニシャルコストとランニングコストの差

実際に住んでみての実体感

OB様の健康面、快適性、満足度などの感想を聞いているとやはりパッシブ・ハウス、高性能住宅でなくてはならないと改めて感じています。

ほんの少しの性能UPで快適な生活ができることは間違いありません。

今後も温暖な瀬戸内気候と言われる四国愛媛でパッシブ・ハウス、高性能住宅を作り続けていきたいと考えています。

大間の家(KEY ARCHITECTS設計)。2階のホールからリビング・ダイニングを見下ろす。