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ニュースレター 2020年3月号コラム

2020.03.13

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松尾 和也

パッシブハウス・ジャパン理事

エコハウスアワード2020の一次審査通過作品のご紹介

業界には他にも色々とエコハウス系のコンテストはあるのですが、断熱性能の平均レベルは間違いなくこのアワードが一番高いです。そして新たな断熱工法、素材、空調方式への挑戦がほぼ全てのエントリー作品で見受けられました。皆さんかなりのリサーチ能力があり、また大きな情熱に突き動かされたチャレンジ精神をもって挑んだことが伝わってきました。それだけ見ると性能だけに振っているように聞こえるかもしれませんが、そういうわけではありません。「他で類例を見たことがないデザイン、設計手法」というのに出会うと個人的には「おっ!」と感じます。今回の作品の中にはそのように感じる作品がいくつかありました。作品数は17と決して多くはありませんが、いずれの作品からもこれからのエコハウスに対する何らかのヒントを見つけられることが多いと感じました。

作品数の割に用途が多用途化してきた傾向も見受けられます。保育園もあり、社屋併用型住宅、カフェ併設、アトリエ兼用とバリエーション豊かでした。これだけバリエーションが増えてきたことは超高断熱住宅の裾野が広がってきたことの証拠といえます。またこのように住まい手だけでなく利用者が多い建築物はその建物の良さを体感していただける人数も桁違いに多くなります。その結果、より普及拡散のスピードに加速がつく点も見逃せません。

全体的に見ていて冷暖房方式はほとんどの作品がエアコンベースですが、壁掛けエアコン方式もあればダクトエアコン方式、給気冷暖房方式とバリエーションは多岐に渡りました。給湯はエアコンに比べると多少ばらつきがありますが、それでもエコキュートの利用が最も多く見受けられました。他の給湯器に比べると生産台数が圧倒的に多いことによる実勢価格の低下がこの傾向を生み出しているものと感じました。

上記の2項目に比べるとバリエーションの幅が特に広いと感じたのは換気でした。全てが一種換気なのですが、いろんなシステムが使われており、各応募者のこだわる部分の相違が現れたように感じました。また断熱に関してもPHJの特性が現れていました。全物件かなりの高断熱なのですが使われている断熱材の種類は本当にバラバラです。「性能を満たしてさえいればやり方は強制しない」この方針が見事に現れていると感じました。PHJ設立10年が経過する中で小さな工務店の技術レベルがかなり上ってきた手応えを感じさせられました。4月24日(金)の最終審査の結果を是非お楽しみに!