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【ニュースレター 2026 年6月号コラム】パッシブハウスにおける換気設計の基本の「き」その1

2026.06.15

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三原 正義

パッシブハウス・ジャパン理事(2024年4月 理事に就任)
エコモ株式会社 代表取締役  

札幌にて独立後、群馬へ移転し住宅設備会社を経営。鎌倉パッシブハウス以降たくさんのパッシブハウス案件の換気設計・施工を多く行う換気のスペシャリスト。

パッシブハウス認定物件において換気で躓く方は多いようです。
そこで、今回は普段私がどのように考えているか?少しだけ愚痴込みでお話しします(笑)。

話しの前提として私のところに平面図、矩計図などの図面が送られてきて換気計画はこれからと言う条件とします。換気装置の設置場所は指定されているものとします。今回は換気の話しなので全館空調か否かは別とします。

① 気積を出す

換気設計の第一段階はこの気積を出す作業から始まります。ここで出した数字はそのまま確認申請に使う数字となりますので、可能であれば設計者から、気積のデーターを貰うのが正解。
ただし、確認申請の気積とPH認定の気積は違うのでご注意ください。

② 当たり前ですが、気積から24時間換気の対象部分に対し、建築基準法を守るため0.5回換気の換気量を出します

③ 換気量からその設置、換気量等の条件満たす、換気装置をピックアップします

(実際の設計では、使いたい換気装置は指定されていることの方が多いです)
ここが、最初の落とし穴です。換気装置には必ず離隔スペースなるものがあります。
これは、日頃のメンテナンス、修理点検、換気装置が正常に運転、機能するために必要なスペースとなります。

例 )LWZ280JE:本体寸法H997/W690/D534
離隔距離:左右≧50・上部≧400・下部≧400・全面≧700

これを本体寸法と合わせるとH997+400+400=1797/W690+50+50=790/D534+700=1234となり、LWZ280JEの設置には仕上がり面からH1797/W790/D1234(この場合装置前面に扉等がある場合はそれを開放した状態での寸法が必要となります。
離隔寸法が確保されていない設置の場合、先に述べたお客様の日頃のメンテナンスに支支障をきたしたり、メーカーの正規の修理・点検を受けられなかったり、割増料金を請求されたりなど不都合が生じるばかりか本体の交換等が将来的に生じた場合装置が取り外せず壁や天井などを壊すケースもありますので十分に注意しましょう。

換気装置は機械である以上、必ず壊れます。そのことを念頭において換気装置の設置場所は離隔距離を十分に確保して決めることが必要です。寸法的厳しい場合は、または不安な場合は必ずメーカーまたは技術者に確認しアドバイスを求めることをお勧めします。

この写真は、他社施工の物件の修理に行った時の設置状況。一見メンテナンスできそうですが、全面パネルすら外せないため、修理を断念した現場写真。

④ 次に平面図上にクリーンゾーン(SA給気をすべき部屋)とダーティーゾーン(排気をすべき部屋)を分けそれぞれにグリルを配置します

その際、換気設計に不慣れな場合はとりあえずSAとRAを同数になるように考えてみると良いでしょう。(とりあえず。ですからね!)

⑤ 次に先ほど計算した換気量をグリルの数で割ります

例1:120㎥/hでグリル数8 ならグリル1つあたり15㎥/hとなります。これがベースになります。
当然、部屋・室の目的により15㎥/hという1グリルあたりの換気量に対し風量の過不足が生じます。寝室には最低20㎥・hほしいとかトイレには最低25㎥/hほしいとかです。

ん?もう少し詳しく知りたいかな?

例えばトイレなんかはトイレの使用頻度によって変わります。使用頻度を考慮して5~15回/hの範囲で考えると良いです。

例2:1.67×2.4≒4㎥のトイレ なら4×5=20㎥/hが最低限必要な換気量。最大で4×15=60㎥/hとなります。現実的な数値としては20~30㎥/h位を意識すると良いでしょう。

先ほどの例1に戻ると、等分配した場合グリル1つあたり15㎥/hでしたので最低限必要な風量20㎥/hから5㎥不足しております。さてこの不足分をどこから持ってくるかという話になります。解決策は2択で全体の換気量に不足分を足す。またはどこか換気の優先度の低いとこから持ってくる。(15-5=10㎥の経路を作る。またはグリルの数を減らすなど)寝室に15㎥/hだが実際には20㎥/h欲しいなどの場合でも同様の作業になります。

➅さて、ここからパッシブハウス的換気の考えになりますが

なぜか広く浸透している0.3回換気問題。現在なぜか誤った解釈で浸透しているパッシブハウスは0.3回換気でOK。0.5回は過換気という考え方。これは正解でもあり不正解でもあります。
何故ならば全体的な建物の容積をその建物で生活する家族数が大きく関わってくるからです。家族数4人で考えた場合まず優先すべきは人数に対する換気量、それから部屋の使用目的、使用人数などから導かれる換気量こそが優先される事項です。
建物の容積から導かれる換気回数だと人数に対して容積の大きな物件は0.3回換気でも十分な換気量を確保でき、逆に小さな物件では0.5回換気でも換気量が不足するということになります。

さて、今回のお話はここまでとなります。良いところで止めないでとの声が聞こえてきそうですが、続きを知りたい方は6月30日PHJ関東支部主催の換気設計セミナーに是非ご参加ください。パッシブハウスでも採用事例の多い日本スティーベルとローヤル電機の両社から換気設計の実務者による換気設計講習会となります。

メーカーの営業担当ではなく普段お話しする機会の少ない設計実務者のお話しを“2社同時に”聞く貴重な機会でもございます。皆様の参加を心よりお待ち申し上げます。