2009年竣工の鎌倉パッシブハウス以降、様々なパッシブハウス・プロジェクトにおいて、換気、冷暖房設備の選定や施工に関するアドバイスを行ってきたエコモの三原正義氏を講師として招き、これからパッシブハウスクラスの性能を有する住宅の設計・施工を手掛ける全ての実務者に向けた内容のセミナーを開催いたします。今回は全国3会場での開催となり、会場ごとにパネルに登壇するメンバーが異なります。
また、セミナー会場では協賛メーカーによる展示ブースがございますので、当日はお早めに会場にお越しください。
先日の盛岡会場に参加された植田優さんから寄せられたコメント
10月21日に盛岡で行われた、「パッシブデザインのための住宅設備を考える」シンポジウムに参加した。
PHJ代表の森みわさんから「夏見邸の事例報告」、設備設計・施工の立場から、三原正義さんの換気・暖房設備に対する考え方、同じく設備設計・施工者の横山直紀さんからは、パッシブハウスの設備設計施工事例発表、そして建築家の西方里見さんを交えた、パネルディスカッションと、内容の濃いシンポジウムであった。
パッシブハウス又はパッシブハウス級の暖・冷房設備の最前線の話は、日本の省エネ基準住宅をクリアする住環境にさえ生活できていない多くの人々と大きく乖離しているが、それでも地道に、「パッシブハウス及びパッシブハウス級の住宅」の啓もう活動に取り組んでゆく必要を改めて感じた。
住宅設計者にとって、暖・冷房・換気・給湯の設備は最後の課題として悩ましい問題である。
「パッシブハウス」の基本的考え方である、「躯体の性能を限りなく良くして、換気・ 暖房・給湯等の設備を極力シンプルにする。」を実践してゆけばよいわけだが、パッシブハウス又は、パッシブハウス級の住宅では、設備の選択肢が広がり、設計者の考え方を建て主に十分説明した上で決定することになる。
私が住んでいる岩手県盛岡市は、本州の県庁所在地の中で、冬季に一番寒くなる都市であるが、最近は地球温暖化の影響もあり、夏季のエアコン等による室内の温度・湿度のコントロールも必要になってきているので、夏季対策も必須である。
私はこれまで、住宅における暖房・換気・給湯を色々試している。熱交換換気・暖房システム、パッシブ換気+深夜電力・蓄熱暖房、薪・ペレット兼用ストーブ暖房、第1種(3種) 換気システム+ふく射パネルヒーター(熱源:灯油、空気熱ヒートポンプ、地中熱ヒートポ ンプ)、第 1 種換気システム+ヒートポンプエアコン、灯油炊きボイラー給湯、空気熱ヒートポンプ式給湯などである。
最近の住宅の設備を考える上でいつも頭にあるのは、10年ほど前に森さんの引率で見学したドイツの「パッシブハウス」で、熱交換換気システムに少しのヒーターを補う事で、全館換気と暖房している事例を体感したことである。給湯は、太陽熱温水器にペレットボイラーを組み合わせたものなどが、印象的であった。
今後もなるべくコストがかからずシンプル且つメンテナンスも容易で、快適性も高い、そんな住宅設備を模索していきたい。
東北支部 植田優