パッシブハウス・ジャパンでは月に一度ニュースレターを発行しております。理事のコラムを先に読むことができる他、セミナー開催等のお知らせは主にニュースレターで発信しております。購読ご希望の方は、ページ下部のフォームよりご登録ください。
三原 正義
パッシブハウス・ジャパン理事(2024年4月 理事に就任)
エコモ株式会社 代表取締役
札幌にて独立後、群馬へ移転し住宅設備会社を経営。鎌倉パッシブハウス以降たくさんのパッシブハウス案件の換気設計・施工を多く行う換気のスペシャリスト。
今月、初めての理事コラム担当となりました、新理事の三原と申します。よろしくお願いします。
今回のテーマは気密測定の話です。
気密測定 JISとISOの違い
5月に森代表と韓国へ、「HVAC KOREA 2024」と「SAREKフォーラム」に行ってきました。
その時のお話はこちらをご覧ください。【ニュースレター 2024年6月号コラム】HVAC KOREA 2024とSAREKフォーラム参加のご報告 (passivehouse-japan.org)
現地でPHIからの衝撃のメールを見せていただきました。
とーっても簡単に言うと、”日本の気密測定おかしくないですか?”といった内容です。
いろいろと(本当に様々なことを)確認してみると、日本のJISとISOでは記載項目数に大きな差がありました。
そもそもJIS、ISOってなんぞやというと…
JISとは | 日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)。日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のこと。(引用元:日本規格協会グループ) |
ISOとは | スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関 International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称です。ISOの主な活動は国際的に通用する規格を制定することであり、ISOが制定した規格をISO規格といいます。ISO規格は、国際的な取引をスムーズにするために、何らかの製品やサービスに関して「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」という国際的な基準。(引用元:一般財団法人日本品質保証機構) |
確認してみたことをまとめると…
ISOでは、その測定が適正な条件下で測定されたものか、そして導き出された数値の根拠となるべく数値もしっかり記載する、というようになっていました。日本の測定器では自動計算されている部分が多く、出力されるシートには未記載のものが多かったのです。
特に今回指摘されたのは、測定前後の内外気圧差の記入についてでした。
JISでは | 測定前の圧力差をゼロ調整して測定 測定前後の圧力差が1pa以上の場合は再測定 測定値の圧力差を計算に使用 |
ISOでは | 気密測定前後の内外圧力差を測定数値に反映させなければならない 正圧・負圧で平均5pa以上の場合は再測定 測定前後の平均値を測定値の圧力差へ加減し、計算値に使用する とあります。 |
現状と今後
これは現状、日本製の気密測定器では対応不可です。今後、パッシブハウス認定に必要な気密測定では微差圧計(0.1pa単位で測定可能なもの)で一定時間、内外気圧差を測定し記録できる物を用意しなくてはなりません。
現在、PHJ用の新気密測定マニュアルを作成中ですので、近日中に公開予定です。
今後は、このマニュアルに基づき測定していただき、測定時に機器を設置した開口部を図面上に図示、および測定時の写真を添付しての資料提出になりますので、皆様ご対応、ご協力をお願い申し上げます。特に海外製のドア部で測定する専用機器以外のもので、ドアや掃き出し窓等の大開口部で測定している方は正しい気密測定とは言えませんのでご注意下さい。
改めて考えさせられたこと
今回、改めて考えさせられたのがJISとISOの比較において、JISのガラパゴス化です。
(わが国では一般的では無いため省略)等の理由でISOの基準から除外、変更したものが多々あり、現状の国内気密測定器で測定できるように独自解釈で都合よくまとめた感じがします。海外製の気密測定器はもちろんISOベースですが、これも導入した場合、機器の校正の問題が出てきます。機器問題含め、課題は多いですが、皆さんが努力して世界基準の家づくりをしても、その性能を証明する試験方法が時代遅れでは世界からは認められません。世界が認める家づくりの日本トップの団体として先ずは皆さんと共にISO基準の気密測定を始めたいと思いました。
半分業務連絡のような文章ではございますが、こんな感じで今回のコラムをとさせていただきます。
担当は文章能力小学生レベルの新米理事!三原でした。