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ニュースレター 2024年2月号コラム ~ パッシブハウスの普及 工務店目線から~

2024.02.21

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高橋 慎吾

高橋建築株式会社 代表取締役
PHJ理事

パッシブハウスの普及 工務店目線から

パッシブハウスの素晴らしさや、必要性を今更説明する必要も無いと思いますので、そこは割愛させていただきますが、なぜ、未だパッシブハウスを目指さない工務店や設計者さんが多いのかが疑問です。

2050年には、カーボンニュートラル。今作る建物はそのときにまだ残っているはずですから、それがパッシブハウスレベルの建物で無くて良いわけが無いと思っているのですが思い違いでしょうか?

どうして、パッシブハウスを目指さないのか? 

様々な意見がありそうです。私には言い訳に聞こえますが。

  • お客様が望まない
  • コストがかかる
  • パッシブハウスの内容に疑問がある
  • 技術的に対応出来ない

他にもいろいろありそうですね。

・お客様が望まない

▶ お客様の勉強不足や我々のPR不足でしょう。パッシブハウスの住み心地の良さや、消費エネルギーの少なさなどきちんと説明出来れば納得してもらえます。私たち供給側が、パッシブハウスの良さを十分理解出来ていない場合はダメですね。実際に建ててみてはいかがでしょうか?
まず我々が、勉強することが大切ですね。

・コストがかかる

▶ それはかかります。ZEHレベルの倍は断熱が必要ですから。ですが、将来の光熱費などのランニングコストなども加味したらどうでしょうか? 
▶ 冷暖房設備なども最小限で住みますし、それらのメンテナンス、更新のコストも少なくて済みますね。
▶ ですが、断熱材の値段は建物価格の中ではたいしたことないですね。意外にそれほど違わないでパッシブハウスが作れて驚いていたと言う話も聞いたこともあります。

・パッシブハウスの内容に疑問がある

▶ きちんとパッシブハウス理解してますか?ここで疑問のある方は、食わず嫌いなのかも知れません。パッシブハウスについてきちんと学ぶことをおすすめします。知らないことはもったいないです。
勉強されていてパッシブハウス以上の内容で計画をしている人なら、とても良いと思います。素晴らしいと思います。そういう方はパッシブハウスの批判は決してしませんね。お互いをリスペクト出来る状態になるはずです。パッシブハウスを作らなくても素晴らしい建物を計画されている人たちをたくさん知っています。その人たちからパッシブハウスの悪口を聞いたことはないですね。
作ったこともなく、内容も知らないで批判する人がいるのは悲しいです。

・技術的に対応出来ない

▶ まだまだそういう方は多いかと思います。私たちと一緒に学びましょう。
パッシブハウスジャパンはフランチャイズとかそう言うのではなくて、皆で学んで技術を高めパッシブハウスを広げていこうという団体です。様々な形で勉強していただけると思います。
メンバーの中には、我々先駆者をしのぐ方が続出しています。素晴らし建物が増えています。これから益々良い建物が増えそうです。そういう人たちは貪欲に学んでいますね。

パッシブハウスの増加

最初の10年くらいは、日本全国にもポツポツとパッシブハウスが作られるだけでした。しかし、ここ2,3年は、だいぶ増えてきました。毎年、全国で10~20棟レベルで増えるようになってきました。
地域の工務店さんで取り組むところが増えてきたのと、一般のかたへの認知が広まってきたおかげではないかと思っています。

パッシブハウスの計算をする勉強会、【PHPP集中講座】の参加者もとても多くなってきています。素地はできつつありますから、今後数年で爆発的に増えるのかも知れません。

今後一気に増える下地ができはじめてきました。ハイブリッド車やスマホまでにはならないと思いますが、想像以上に爆発的に増えるときが来る可能性がありますね。

これまでのパッシブハウス

これまでのパッシブハウスは、割と手探りの状態で建てられていたのでは無いかと思います。勉強熱心でレベルの高い、設計事務所や工務店が様々な工夫やチャレンジをしながら作ってきました。素晴らしいパッシブハウスがたくさん作られてきました。

そのため、どうしてもコスト高になり、“パッシブハウス”=“高級”のようなイメージがあったようにも思います。パッシブハウスの見学会など行われて見せていただいても、素晴らしすぎてとても手に入りそうもない印象をもたれた方も多いかも知れません。

工務店の役割

近年では、地域の住宅産業を担う工務店さんが、パッシブハウスを作るケースが増えてきました。

パッシブハウスは、作り方に制約はありません。エネルギーの基準はありますが、それを満たせば良いのです。どんな構法でも良いですし、断熱材も何でも良いのです。工務店の特色を生かし、工夫をすることができます。

今後 パッシブハウスを増やして行くには、工務店の力が必要です。コストダウンもだいぶ進んできました。工務店それぞれが工夫をして、ブラッシュアップしています。見よう見まね、手探りの段階からいよいよ、型を作り、規格を作り、商品としてパッシブハウスを安く、数多く作れるようになってきています。

地域の工務店が作るパッシブハウスには安心感もあります。同じようなパッシブハウスを作り続けているわけですから、不具合なども少なくなりますし、いざというときには、近くにあるのですぐ駆けつけてもらえます。お客様や設計事務所さんも、こういった工務店に任せることが安心だと考えてパッシブハウスを作れる工務店が益々必要とされていくでしょう。

高橋建築では、2日間で70名以上の参加があったPASSIVEHOUSEOPENWEEKS2024。バーベキュー、ピザ作り、フライドポテトや社長カレーなどをふるまう。

工務店のパッシブハウスへの対応

工務店経営も大変です。
価格帯はどこを狙うか?
より良いものを求めるお金のあるお客様。
デザイン優先のお客様。
コスパ重視のお客様。

経営的にどこを狙うかはそれぞれですし、各社の持ち味を生かしそのエリアで活躍していけばいいわけですから、現在と同じです。

技術は進歩して、いずれはそれが標準になっていきます。シングルガラスがペアガラス以上になりました。今作る建物でシングルガラスはないのではないでしょうか?耐震基準も自然と等級2、等級3が当たり前になってきました。エアコンや、換気システムもそうですね。太陽光発電設備もどんどん増えてきて当たり前になってきています。太陽光発電、蓄電池などは跡からでも増やせます。

しかし、パッシブハウスの性能は後付けは難しいです。

そのことをきちんと一般の方に説明出来ているでしょうか?数年後、お客様ががっかりしてしまうようなことがないようにしてあげたいですね。「あのときパッシブハウスを進めて貰っていたら良かったのに。」そう思われてしまったら悲しいですね。

大手の量産ビルダーがパッシブハウス作り始めたらどうでしょう?
可能性は考えられないですか?大手には優秀な人も揃ってますし、差別化を戦略的にしてきます。

等級6標準→等級7標準→パッシブハウス標準。
そういった流れは来ないでしょうか?抜け駆けする大手がすぐにでも出てきそうですね。それは、我々には脅威ですが、一般のかたにはとても良いことです。比較検討しやすくなりますし、価格競争も進みそうです。

私は今後の流れとして、パッシブハウスが当たり前に建てられる世の中になっていくと思ってます。そのときの主たるプレーヤーが、工務店になるのか、大手のビルダーになるのか?

パッシブハウスを建てるには、知識がとても必要です。大手のビルダーは人財も抱負ですので、すぐにでも対応出来ると思います。私たち工務店はどうしていくべきなのでしょうか?パッシブハウスを設計出来る設計事務所と組むのか?自社でパッシブハウスの設計から工事まで完結出来る体制を整えていくのか?それぞれのポジションで対応の仕方が変わっていきます。

パッシブハウスを作るには時間がかかります。

早めに計画、勉強を始めることが大切です。 私たちパッシブハウスジャパンは、パッシブハウスを普及させるお手伝いをしています。是非我々と一緒に学びましょう。

PASSIVEHOUSE OPENWEEKS2024。ホームオーナーさんからは喜びの声ばかり。それを聞いて職人さんたち励みとなる。