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ニュースレター 2023年8月号コラム~私の換気戦略:健康、快適さとエネルギー効率の両立を目指して~

2023.08.09

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高橋 慎吾

高橋建築株式会社 代表取締役
PHJ理事

私の換気戦略:健康、快適さとエネルギー効率の両立を目指して

私は換気に関して専門家ではありませんが、換気について考えてみたいと思います。
内容に誤りがあるかもしれませんが、ご了承ください。

換気の計画には主に二つの側面があります。
一つは健全な空気質を保つための換気、
もう一つは温度と湿度の管理です。

健全な空気質を保つためには、体臭などの匂いを除去するCO2の希釈などの必要があります。通常、30m3/人以上の換気が推奨されます。私は寝室には1人あたり2人、個室には1人という基準を考えています。換気量が多いほど匂いはより効果的に除去されるでしょう。また、建材などから発生する化学物質(VOC)の希釈も重要です。建築基準法ではACH0.5回が指定されていますが、これも換気量が多い方がより効果的でしょう。さらに、ウィルスの除去にも換気量が影響するとされています。

一方、温度と湿度の管理には注意が必要です。換気によって暖房した室内の空気が排出され、冷たい外気が入ってくるため、熱損失が生じます。断熱性能の高いパッシブハウスでは換気による熱損失が大きな要因となります。このため、換気量をできるだけ抑えることが望ましいです。また、適切な換気経路を設けることで、部屋間の温度ムラを少なくすることができます。部屋ごとの循環換気量も多い方が良いでしょう。

パッシブハウスを目指す場合、換気による熱負荷を減らすために換気風量を下げる傾向があります。しかし、最低限の健康面を考慮すると30m3/人の基準を使用することが一般的です。これにより、建築基準法の0.5回の基準を満たすことが難しくなることがありますが、法律を守るためには工夫が必要です。また、ウィルス対策にはACH2回以上またはそれ以上の換気が必要といわれてますが、これを実現すると熱損失が増え、パッシブハウスの目標を達成するのが難しくなります。ウィルスの除去に特化した換気システムを特別に設けるなどの対策が検討されます。

私たちの会社では循環換気を活用しています。部屋ごとの負荷によって風量が調整され、室内の温湿度を安定させることが可能です。しかし、大きな風量による騒音や気流感の問題もクリアする必要があります。

換気の本来の目的では、多ければ多いほど良いと言えますが、それではエネルギー消費が増え、パッシブハウスの理念に反するかもしれません。そこで、外部との換気を最小限にし、室内の空気を清浄に保つための空気清浄機を活用して循環換気を行う方法が考えられます。また、ウィルスが多い部屋には除去装置を置き、他の部屋では循環換気量を増やすことで対応することも検討できます。部屋ごとの吹き出し口や吸込み口の位置なども考慮し、効果的な換気システムを構築することが重要です。

コロナ流行により、換気に関する問題が複雑化していますが、エネルギー効率を損なわずに快適な室内環境を維持するために、より効果的な換気戦略を追求していくことが必要です。