パッシブハウス・ジャパンでは月に一度ニュースレターを発行しております。
高岡文紀
有限会社アーキテクト工房 Pure 代表取締役
PHJ理事
四国支部リーダー
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『我が家の本領発揮に脱帽』
2023年も、あっという間に3月に入り年度末でバタバタとされている方も多いのではないでしょうか?
昨年末から今年にかけて四国地方のも大寒波が訪れ私の事務所のある愛媛県松山市でも1月の大寒波では少しだけ降った雪が数時間で凍り付いてしまい一部のエリアでは大パニックになっていました。(ほぼ冬用タイヤ無しですが)
また、昨年のクリスマスには松山市より車で1時間程度の所に久万高原町という町があり地域区分では4地域になりますが1979年観測開始以降最大の大雪が降り一晩で76㎝も積りました。大雪で1200戸が停電となり、愛媛県が自衛隊に災害派遣要請をし救助活動が行われました。
その停電が起きているエリアの中に、今回紹介させて頂くO様邸も含まれていました。
停電になり一昼夜を過ごし電気が復旧した翌日に、一通のメッセージが会社のSNSに届きました。
そこに書かれていたのは『我が家の本領発揮に脱帽でした』の文字。
O様邸建物スペック
基礎土間下 | EPS100㎜ |
基礎外周部 | 防蟻EPS100㎜ |
壁充填断熱 | ロックウール密度60㎏100㎜ |
付加断熱 | ロックウール密度60㎏100㎜(板張り) EPSラムダボード100㎜(左官塗り壁) |
屋根断熱 | ロックウール密度60㎏100㎜×3層 300㎜ |
サッシ | 木製トリプルアルミクラッド(UNILUX) 樹脂トリプルサッシ(UNILUX) |
C値(減圧法) | 0.2㎝/㎡ |
C値(加圧法) | 0.1㎝/㎡ |
換気設備(全館空調) | トルネックス+熱交換換気(DOMEO)+アメニテーエアコン |
Ua値 | 0.23W/㎡・K |
暖房負荷 | 42.93kwh/㎡・年(地域久万高原町) (同じ仕様でエリアが松山市の場合 暖房負荷19.87kwh/㎡・年) |
停電になり不安倍増
O様邸は全館空調で普段はエアコンを24時間連続運転されており、お家の中で暑い寒いについては全く考えることも無くストレスフリーで快適に過ごされていました。
しかし今回の大雪と停電により、暖房も使えない、いくら断熱性能が良いと言っても温度が下がり寒くなるのでは…と心配になり、その上、夕方から停電になったことで一夜を過ごさないといけない…と更に不安になったそうです。
普段、寝具は冬でも一年中夏用で過ごされているため、冬用の布団も無く、仕方なく重ね着をされ一夜を過ごされたそうです。が、朝起きてびっくり!リビングの温度計を見ると19℃あり、昨晩の温度より1~2℃程度しか下がっていなかったことに驚かれたそうです。
また、日中は太陽が出て室内温度は24~25℃を越していたとのこと。
ご自宅のすぐ近くにある、最近オール電化住宅で建築されたお知り合いのお家も同様に停電になっており、暖房器具は全く使えず室温が2~3℃になっていたようで実家にあった石油ストーブを貸されたそうです。
私たちはいろんな方の話を聞いていたり実際にデータを取ったりしていますので、一気に室温が下がることが無いのは解っていますが一般の方にとっては暖房器具が使えないとなると不安になると思いますね。
そこで驚かれて『我が家の本領発揮に脱帽でした』のメッセージでした。
断熱材はメンテナンスの要らない暖房器具
よく森代表理事が言われている
‟断熱材はメンテナンスの要らない暖房器具“
この言葉がピッタリと納まりましたね(^^♪
昨年より光熱費も高くなりを圧迫しているとよく聞きます。
G2グレードはコスパが良いのでG2グレードで十分と言われていた方も、光熱費高騰によりG2.5ないしG3グレードの方が良いと以前と言うことが変わった方などもいらっしゃいますね。
太陽に素直な設計で卓上での計算では、いくら性能が高くても実際の施工が伴わなければ絵に描いた餅にしかなりません。隅々まで断熱材をキッチリと施工し、熱橋部を減らし、計画換気が機能するようにしっかりと気密の取れたパッシブハウスや高性能な建物で、大寒波や光熱費におびえることなく安心して暮らしていけるのが当たり前になる事を願いたいですね!!