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ニュースレター 2023年2月号コラム~パッシブハウスを広めるということ~

2023.02.09

竹内  昌義

パッシブハウス・ジャパン理事

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パッシブハウスを広めるということ

寒い日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。まるで季節のあいさつのようですが、寒い家が続いている日本では、季節以上に寒い状況が続いています。

さて、まず、今日お知らせするのは「3省合同補助金」のお知らせ(https://www.ykkap.co.jp/consumer_business/satellite/law/subsidy2023/)

こちらは、国土交通省、経済産業省、環境省合同の補助金です。
窓に関しては、Uw<1.9 の内窓、あるいはカバー工法などにも手厚く補助が出ます。また、1軒の家で最高200万円までというのも魅力です。地球温暖化対策として、有効な一歩だと思います。ぜひ、みなさま、ご活用ください。

今日、書きたいのはもう少し大きい話。

気候変動とか断熱とかの話がなぜちゃんと広まらないのかという点です。
COP26などの会議で決まったこともちゃんと情報として入ってこない。
なぜなのか。
私のレクチャーで冒頭、5分くらいかけて、隣の人同士で「脱炭素社会がくるかどうか」あるいは「再生可能エネルギー100%になるかどうか」を話し合ってもらっています。そこでの答えの水準は様々です。

ちなみに「脱炭素社会到来」と「再生可能エネルギー100%」は全く同義語です。
そこでのよくある答えはこんな感じ。
「そんなことしたら、生活が江戸時代に戻ってしまうので、まるで無理」
「ごく一部ではできるかもしれないが、日本全体では難しい」
「ガソリン車が好きだな。ぼくの他にも好きな人がいっぱいいるので、今の車がなくなるとは思えない。」
「コストがかかりそうだが、そのお金がないから無理」
「技術的にはできるけど、意識が変わらないから無理」
などなど。

皆さんなら、どう答えるでしょうか。

私が答えるのは
「電気自動車の電費は一般のガソリン車よりもはるかにいい。」
「パッシブハウスに住んで、太陽光発電を5kW載せれば、電気代はかからない。」
「つまり、ランニングコストが掛からなくなり、回収以降はすべて安価になるので、みんながこのこと気がつけば時代があっという間に移行する。」
と答えます。

先日、PHJの全国大会で、江守正多さんが、「人の意識はあっという間に変わる。たとえば、『タバコは昔はどこでも吸えたが、今ではどこも吸えない』これは意識があっという間に変わるということを示している。」とおっしゃってましたが、本当にそうだと思います。昔の映画とかみているとみんないつもタバコを吸っています。なかなか、今となってはありえない情景です。

これと同じように、「脱炭素社会がくる」というのもあっという間に意識が変わるものの一つのように思います。時々、心配になるのですが、口では言っていても、無意識のうちに脱炭素社会なんて来ないんじゃないかって思っている自分に気がついたりもします。実際、電気自動車に乗っている人は、わざわざ燃費のかかるガソリン車に乗り換えようとは思いません。パッシブハウスに一度住んだら、やっぱりやめられないでしょう。単純に「脱炭素社会が来るのは必然だと言えるのではないでしょうか。」

問題はそこに至る前の速さです。どのくらいかかるのか。あるいはどのくらいかけていいのか。

正直、そんなに残されている時間はないように思います。一方で、この日本社会は気候変動問題はまだ、自分ごととして捉えられていません。
このギャップはなんなのでしょうか。マスコミは政府に忖度し、都合の悪いことをできるだけ流さないようにしているように思えます。例えは、反原発の国会前のデモ(毎週金曜)がテレビで放送されなかったり、夫婦別姓問題で「そんなことをしたら社会が変わる」と総理大臣が言っても、なかなか詰め寄る記者がいなかったりします。マスコミをマスゴミと言っても状況が変わるわけでありません。

この状況を変えるには、どうしたら良いでしょうか。

最近私は市民運動に期待しています。「建築物省エネ法」の国会提出のための署名に関しても、学生や若い人の協力があってこそのものでした。彼らに法律の内容を解説して、理解してもらうことで、どんどん広めてもらい署名が一定数集まったことが一つの要因でした。
この成功体験はとても大きかったと思います。
そういった経験を踏まえて、断熱などの省エネルギーの解説を一般人にするためにVoicyを始めました。(https://voicy.jp/channel/2817


断熱の話を毎日15分程度放送しています。自分でも感心するのですが、意外と続いています。今のところ、無料での放送を続けるつもりですので、ぜひ聞いてみてください。そして、一般の人に薦めていただけるとありがたいです。
また、できる限りサポートしていますが、小学校の断熱改修が様々なところで行われるようになりました。断熱の内容は最上階の屋根に200mmのグラスウール、壁ネオマフォーム50mm、内窓は木製、ポリカーボネイド3mmの2枚という至って簡単なものです。でも、今まではあまりに何も対策されていないので、結構な効果があります。これも一般の人を巻き込みながらできるムーブメントとしては効果が高いと思っています。

ぜひ、皆様にも、一般の人とのチャンネルを持っていただき、なんらかの発信をお願いします。底辺が広がれば広がるほど、山は高くできると思います。その山のてっぺんにあるのがパッシブハウスです。パッシブハウスは単純に、そのもの一つがそのためにあるのではなく、社会の変化の目標(みちしるべ)としての意味があると思うのです。