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ニュースレター 2022年6月号コラム

2022.06.09

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竹内  昌義

パッシブハウス・ジャパン理事

国が無策でも嘆いてばかりはいられない 

そろそろ国会で建築物省エネ法が成立します。

この法案は自治体が先導的な基準を条例化するのに、必要な法案です。等級4レベルを義務化しても大して役に立たないと思いますが、まずは最初の1歩を踏み出さないと次の手が打てないと思い、一生懸命成立に向けてやってきました。その過程で色々な人に助けていただいたり、励ましてもらって続けてきました。一方、よく思わない人も多くいることがわかりました。

モチベーションのもととなっているのが、次世代に少しでもまともな国を伝えたいという思いです。
それ以上でもそれ以下でもありません。

さて、今日本はいろんな意味で、今までのシステムがうまくいかなくなり、綻びを見せています。もっとちゃんとした国だったのに、、、と思いたいところですが、十分にひどい。でも、それは私たち一人ひとりもその社会をつくることに一役買っているということです。
「なんてひどい社会を作ったんだ。誰のせいだ。」と怒ってみたところで、巡り巡って「その矛先は私自身に向けられています。」まるでブーメランです。

少しでもより良い社会を作るために、今回の色々でも感じたことは、連帯がすごく大事だということです。気候変動に対する運動をしている人たちと色々話をしました。彼らが署名を手伝ってくれました。大同小異があれど、大きな目的は一緒であることを確認できました。また、色々なマスコミにも取り上げていただきました。かなり正確に書いてもらっていて、議論したりする上でのちゃんとしたやりとりのコミュニケーションはとても大事だと思いました。

私は社会が変わっていく段階で何らかの技術革新=イノベーションが必要だと思っています。パッシブハウスの技術はそのものズバリだと思っています。さて、それはどこに向けられるべきか?というのが今の私の問いです。もちろん、クライアントに対してその技術を遺憾無く発揮することは当然のことではありますが、それだけで終わらせてしまうのはいささか勿体無い気がします。

パッシブハウスの手法は住宅だけではなく、私たちの暮らしのベースとなっている社会全体に作用できるものだと思っています。ウクライナ侵攻に始まったロシアの暴挙はエネルギーの高騰化という今までにないレベルで燃料費、あるいは電気代を想像以上のスピードで上げています。また、G7の中での立場は強固になったようにグリーン政策もどんどん進める必要があります。でも、残念ながら、行政はなかなか動いてくれない印象があります。動いてくれないというよりは動く能力に乏しい状態だと思います。何もしなくても社会は変わりますが、今ならいろんな意味でコミットすることができるように思います。大きいところから言えば、「脱炭素社会」「地方における先行地域」「等級を高くする」「一種換気」「エコタウン」「学校の断熱改修」「ストックの利活用」「パッシブハウスの集合住宅」等々、いろいろです。明確なビジョンがないのであまり深掘りはされていませんが国に期待しても何も出てきません。なぜなら、全く新しいビジョンが必要で、もうすぐ引退する人が考え出せるはずがありません。 その点、若者を巻き込まなければいけない。そうして新しい社会を作るつもりで動かないとダメなんだろうと思います。

今日のキーワードは「連帯」です。
こういういろんな運動はまだ、メジャーになっておらず、できるだけ「明るく」「楽しく」やることが求められていると考えます。その中で生き延びていきながら、社会全体に対しても意見を言うことが大事だと思います。一人ひとりの声が届いて、やっと社会は変わり始めるのだと思います。