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ニュースレター 2022年2月号コラム

2022.02.16

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竹内  昌義

パッシブハウス・ジャパン理事

建築物省エネ法の改正案をめぐって 

みなさま、こんにちは。今国会で提出されるはずだった適合基準の義務化の法案が、国会提出を 目前に検討中になっているという話題です。断熱等級は最高等級が4だったものが、パブコメな どの意見を受けて、決まっていた5だけでなく、HEAT20-G1、G2が等級6、7に引き上げられ ること決まり、そういう矢先の出来事でした。まあ、普通に言ってありえない状態です。

理由は参議院選があるから、国会をスムーズに難なく終わらせるために、法案の数を減らせと いう指示のもと、まあ、25年の義務化だから、これは急がなくても良いとか言われております。 温暖化に向けて、2030年までの10年(もう8年)が勝負と言っていたり、温暖化対策は重要な政 策と言っている総理大臣の言葉の割には、何も具体的なことが決まっていない状態で、呆れても のも言えません。なんで、見送ったのかという質問には、見送ったのではない。検討中になって いるとか、秋の臨時国会で通せば良い。などという返答が返ってくる始末。実際に、緊急性のな い法案が通った試しはなく、検討中が審議することになったという法案もありません。なんか、 無意味な言葉遊びに終始しているのも時間の無駄だと思いながら、去年あれだけ頑張った再エネ タスクフォースやあり方検討会の議論ややり取り、そして改心した国交省の努力も、スムーズな国 会運営にやられてしまうとはなんとダメな国なのだろうと思っています。正直、等級4の義務化な んて、脱炭素にあまり意味がないレベルなのはみなさん理解されているとおりのことです。

一方、去年から気がついていることですが、ZEHとかの言葉の使い方が雑すぎていけません。 経産省の言ってたロードマップに載っているZEHはゼロエネルギーハウスのことのようですが、 国交省の外皮の性能を指し示すZEH基準はなんと、義務化される適合基準の20%引き(ただし、 再生可能エネルギーではなくて)というとんでもない代物です。誇大広告とかグリーンウォッシュ を取り締まる団体に訴えたいぐらいです。何しろ、世界に向けて恥ずかしい。日本人は、テニス の大坂なおみにしても、大リーガーの大谷翔平にしても、サッカーの久保建英にしても、グローバ ルな基準で普通に戦えるというのに、全然、エネルギーを減らしていないZEHをZEHと呼ぶなん てと思います。

今まではそういう状況に異論を唱えていれば良かったのですが、でも、少し違うなと思い始め ました。簡単にいうと、こういう状況を使ってしまった責任の一端を感じています。なんでこんな 世の中なんだ?と若者が言うのはわかりますが、ぼくぐらいの歳になって、誰かのせいにするの はちょっと違うと思い始めています。今までの国の色々決めているものはわかりにくすぎて、理解 しようとも思いませんでした。でも、それを放置したからこの状況になってしまったと思ってい います。一般の人にわかりやすく丁寧に話さなきゃいけないと反省しています。

こんな状況ですが、希望もあります。温暖化対策のことをやっている気候団体の方、あと若者。意識を持って活動している人が実はいっぱいいます。なかなかこれが繋がれてなかったのです が、最近ではゼロ・エミッションを実現する会の人だったり、気候変動のブロガーだったりしま す。彼らと一緒に、長野県の二酸化炭素削減率2050年までに、60%削減に(国は46%)引き上 げる時や等級6、7のパブコメにも多くのコメントを出していました。とても、心強い存在です。 なので、ものすごくわかりやすく、建物の省エネのことを話しています。

最後になんでこれを一生懸命やっているかと言うと単純に次世代のためです。そう大きくは変わ らないかもしれないが、何もやらなかったらもっと悪くなっていた。それを私たちのせいにされ たくないと真剣に思っています。「沈黙は是なり」といいますが、本当にそうです。できるだけの ことはやりたいと思っていて、とうとうネットの署名での発起人になっています。 ぜひ、ご協力のほど、お願いいたします。

建築物省エネ法を国会に提出してください。

https://www.change.org/Kenchiku-sho-ene