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ニュースレター 2019年1月号コラム

2019.01.07

パッシブハウス・ジャパンでは月に一度ニュースレターを発行しております。

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森みわ

パッシブハウス・ジャパン代表理事

平成最後の年が明けました。

平成30年の暮れに私達を一番失望させたニュースは、国交省の小規模建築に対する2020年省エネ基準適合義務化見送りの方向性だったかと思います。今回義務化予定であった基準というものは、省エネという目的のためには余りにもお粗末であり、どちらかというと、国民の安全な暮らしを保証する程度のものでした。しかしそれすら予定通り実行出来ないとは、役所のリーダーシップ放棄も甚だしいですね・・・。

PHJでは去る1月5日、国交省の2020年省エネ基準適合義務化見送りに関するパブコメを複数の省エネ推進団体の皆様と共同声明として提出することが叶いました。また最終日の5日だけでも、1000名以上の方がパブコメをウェブサイトから投稿してくださいました。各方面で投稿を促してくださった複数団体の皆さんのご協力に感謝しつつ、皆さんの誠意ある声が、届きますことを心から願っております。

リンク設定要

共同声明はPHJのウェブサ住宅向け省エネ義務化見送りへのパブコメ投稿のお願いイトでご覧いただけます

さて、PHJでは例年、年賀状募金と称しまして、メルマガ購読者数x100円を恵まれない子供達への支援を行っている団体に寄付しております。

昨年度はお恥ずかしながらPHJの財政難により、実現が出来ませんでしたが、今年はなんとか決行いたしました。しかも2年前に比べてメルマガ購読者数が2000人以上増えており、現在6718人の方が毎月PHJメールマガジンを受け取って下さっています。

従いまして、671、800円を日本ユニセフ協会に寄付させて頂きました。元PHJ理事でおられた飯田哲成氏の「1% for祝島」プロジェクトの事を私はいつも目標に据えており、日々の決して楽ではない法人経営の中で、売り上げ(活動資金)の1%を困っている人たちの支援に提供できればと考えております。この活動に理解を示してくださっているPHJの賛助会員の皆様に、この場を借りてお礼もうしあげます。

最後に、独パッシブハウス研究所との同意により、2019年から国内のパッシブハウス物件をPHJが審査、認定を下すことが決まりました。これを受け、現在PHJサブリーダーによるパッシブハウス物件のコンサルティングチームを準備中です。この新しいスキームの詳細に関しましては、3月20日のPHJ9周年記念大会@福岡にてご案内いたしますので、どうぞお楽しみに!


松尾 和也

パッシブハウス・ジャパン理事

2019年は元号だけではなくエネルギーに関しても変革の年になりそうです。

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。平成も残すところ5カ月となり、30年ぶりの元号変更となる記念すべき年です。しかし、それは元号に限ったことではありません。エネルギー分野においても大変革の年であると言えるのです。その理由を説明したいと思います。

まずは固定価格買い取り制度が終わる方の第一号が現れ始めるということです。2009年に太陽光発電を始めた方は48円/kWhというとんでもなく高い金額で買い取ってもらうことができました。

ところが、今年この高額買取期間が終了し、買取価格が5円から10円程度に下がると言われています。これを見越してすでに、多くの蓄電池業者が動き始めているのはご存知かと思います。それどころか、カーポートの上に太陽光を増設して10kW以上にすることで20年まで引き延ばしを図るという業者すら現れてきています。

もう一つ大事なポイントがあります。余剰電力の買い取り価格が条件にもよりますが26円程度まで下がるということです。26円と言うと市場で購入する普通の電気の価格とほとんど変わりない金額です。これまでは昼間発電しているときにできるだけ電気を使わないようにし、売電量を増やすことが有利というおかしな状況がありました。今年の買取金額ですと、売電しようが、自家消費しようが結果はほぼ同じであるという状況になってきます。

さらに関西電力のエリアで顕著なのが4月1日以降の深夜電力の単価の1.4倍程度の引き上げです。これまでは無条件にエコキュートによる深夜電力利用が圧倒的に有利な状況にありました。4月以降もやはり有利であることに変わりはありませんが、圧倒的という言葉までは言えないようになります。

こうなると重要になってくるのが自家消費率をいかに高めるのか?ということです。メジャーな方法としてはEVと蓄電池ですが、どちらも値が張ります。そこでもう少し簡単な方法として注目されているのがエコキュートと太陽光発電の連携による余剰電力によるエコキュートの沸き上げ機能です。現在、コロナとパナソニックのエコキュートが対応していますが、コロナの対応製品は高額製品しかなく、パナソニックのほうが実質的には圧倒的に費用対効果が高いと言えます。

このように、今年からの省エネ住宅づくりは今までの踏襲が良いとは限らない項目がいろいろと出てきています。私自身今現在研究中で答えを出し切れていない状況にありますが、皆さん勉強していく中で最適解が見えてくることと思っています。


竹内  昌義

パッシブハウス・ジャパン理事

あけましておめでとうございます。

2019年、いろいろな考え方の大きな転換点になる年だと考えています。

年頭にあたり、幾つか考えていることをお話しします。

昨年は、アジアとヨーロッパに行ってきました。アジアはパッシブハウスのアジア大会です。 韓国、中国、台湾、日本とʼ事情は違えど、パッシブハウスの考えかたはものすごい勢いで広がっ ています。中国などは国の後押しもあり、倍々ゲームのような印象です。(もっとかもしれない。) 驚いたことに、その大会の後に中国チームがすぐに日本に来たことです。変化に対する嗅覚、そ れを実践する力、学ぶ姿勢、日本も負けて入られません。日本もそこから多くを学ぶべきと思い ました。来年のパッシブハウスの世界大会は中国とのこと。世界が中国の変化に刺激を受けるの は間違いなしです。それを実際に見たいと思いました。

さて、ヨーロッパは、2008年、2014年、2016年についで、4回目です。意外と少ないと反省 していますが、2008年はバイオマスの様々とフォアアールベルグ地方の建築、2014年はPHJの 企画するツアー(棟晶の早坂さんや池田工務店や西方さん、夏見さん、YKKの方達もいたあのツ アーです。)についで、3回目です。2008年は、いろんなものが木でできていることに感動し、 こういうのやりたいなあと言って、エコハウスを本格的に始めたのでした。2014年はペレットス トーブやボイラ、ゼロエネルギーのビルに感動しました。2016年は、建築というよりFIT後のエ ネルギー政策の学びでした。折しもそれから10年。きちんと取材をした今回はヨーロッパはさら に進化し続けているという実感を持ちました。それまでは、建築単体を見ていたのですが、今回 はそのバックにある社会情勢などもよく見えました。追々お話しできれば思いますが、まずは2 点、ご紹介したいと思います。

1つ目は、木造の高層ビルが商業的な現実問題として、様々な試行錯誤がされ、実用時代に入っ ていることを実感しました。

2つ目は1000人規模の村の中心に、まちづくりの手法として、ヘルマンカウフマンが関わった高性能木造建築群があることです。日本でも、高性能住宅はこのよう にまちづくりのキラーコンテンツになると考えていたことが、直接民主主義に近いオーストリアの 町で、すでに実践されていたことが分かったのでした。これ、日本に即応用可能な事例なんです。

これから、地域の設計者や工務店は、クライアントワークとしての住宅だけではなく、個別の 地域のまちづくりや林業などの産業にもコミットせざるを得ない時代がやってくると思います。 景気の良し悪しに影響されるのはなく、私たちの次世代にものの考え方などをどう残していくか、 そういうことを問われています。夢も大きく工務店自体の可能性も考えていきましょう。