髙橋 慎吾

高橋建築株式会社 代表取締役
エコシステムサービス代表取締役
パッシブハウスジャパン理事

埼玉県秩父郡在住
小山工業高等専門学校卒業(建築)
サイバー大学卒業(ソフトウェアプログラム)
一級建築士
その他建築施工に関する資格多数

2011年秩父パッシブハウスを建築

パッシブハウスの設計・施工・パッシブハウス認定申請と1社ですべてを完結できる、パッシブハウス・ジャパンの中でも数少ないワンストップ工務店を率いる。
秩父を中心に地域に根差したアフォーダブルなパッシブハウスの提供に真摯に取り組み、全棟パッシブハウスをめざすその姿勢は、PHJの中でも一目置かれる存在。参考になる物件や興味のある勉強会はどんなに遠くても意欲的に足を運び、自分の目で確認することで本物を見極め、座学・現場両面で培った知見と忌憚のない発信力で、PHJ会員の目標となっている。

PHJ理事として、パッシブハウス認定サポートの取りまとめ役を務める。

理事挨拶

日本でも住宅の高断熱化が進んでいます。以前は多くの人から「パッシブハウスはやり過ぎ」と言われていましたが、最近は多くの方の目標とされるようになってきました。

省エネな住宅を作るには、外皮の性能ばかりではなく、日射やヒートブリッジなど様々な要素を加えた計算をし、それを数値化して比較し易くすることが必要です。そのためにも国際的に活用されているパッシブハウスの考え方を広めて行くことが大切と感じています。

日本でパッシブハウスが建てられ始めてから10年以上の歳月が経ちましたが、窓や換気装置などの高性能建材も日本で徐々に手に入りやすくなり、パッシブハウスを作ることのハードルが下がってきています。そして実際に、ここ数年で沢山のパッシブハウスが建築されています。

しかし、昨今の環境破壊やエネルギー問題を考えると、パッシブハウスをもっと沢山作れるようにしなくてはなりませんし、残念ながら今のスピードでは遅すぎると感じています。

正直なところ、新しく建てられる建物の過半がパッシブハウスレベルの建物になってほしいと私は思いますし、そのためには技術者の育成や、汎用的な構法の確立、そしてコストダウンが必要です。パッシブハウス・ジャパンでは最先端の技術を学び、会の中で共有しています。多くのセミナーや勉強会などが企画され、会員同士で切磋琢磨しています。日本国内よりも進んだ世界的な技術や計算方法を学び最先端の高断熱住宅を作れる団体です。

今後は誰でも使える汎用的なパッシブハウス・レベルの構法の確立も重要かもしれません。初期のメンバーが行ってきたように一から学び試行錯誤しながら建築するのは大変です。これからは、初めて取り組む場合でも何度かの施工で技術を習得できるようにしなくてはなりません。地域の気候にあったそれぞれのプロトタイプを作り上げていけると良いと思っています。

そして最大の難関はコストです。パッシブハウスの性能をお金持ちだけの建物にしてはいけません。多くの人たちが当たり前に手に入れられるようになるべきでしょう。そのためには私たち実務者も様々な努力が必要です。汎用的な高性能建材が安価に手に入る仕組みづくりや、合理的な構法によるコスト削減も大切です。建材メーカーさんにも理解していただきご協力いただければと思っています。

さらにパッシブハウスが爆発的に増えるためにも設計事務所さんのスキルアップによる工務店のフォロー体制が無くてはなりません。現在もパッシブハウス認定サポートできる設計士さんが増えていますが、まだまだ数が足りません。
また、近年では設計から施工、パッシブハウスの認定資料作りまで社内で行える工務店も出現しています。このような工務店が増えることにより数多くのパッシブハウスが生まれていくでしょう。スピードアップが期待できます。

すぐに時代遅れとなるレベルの建物ではなく、世界的に高性能住宅の標準とされるパッシブハウスを作りましょう。高性能住宅は長持ちします。長持ちする住宅こそが省エネにもつながります。 住宅産業に携わる方もこれから家を建てる人も、未来に先駆けたパッシブハウスを私たちと一緒に作りましょう。

インタビュー