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【ニュースレター 2025年8月号コラム】PHJ中国・四国・近畿支部合同勉強会に参加して

2025.08.22

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高岡文紀

有限会社アーキテクト工房 Pure 代表取締役
PHJ理事

PHJ中国・四国・近畿支部合同勉強会に参加して

先日、岡山県倉敷市で開催された「PHJ中国・四国・近畿3支部合同勉強会」に参加してきました。昨年までは支部リーダーを務めていたこともあり、これまでは運営側として関わってきましたが、今回は一般参加ということで気持ちも楽に臨むことができました。

当日は森代表理事も参加され、約70名が集まる大規模な会となりました。すでにSNS等でも多くの方が発信されている通り、今回の視察先は次の2棟。いずれも倉敷市にある注目のパッシブハウス(認定申請)です。

・竹田建設 株式会社「児島パッシブハウス 見晴らしの家」
・株式会社 親和建設「GMZパッシブハウス」

見晴らしの家(竹田建設 株式会社)

集合場所となったのは竹田建設さんによる「見晴らしの家」。
そとん壁を使った和モダンの外観と、完成した庭との調和が美しい住まいでした。敷地は45度東に振られているのですが、建物を南向きに配置することでパッシブデザイン上の利点を確保。加えて2階リビングからの景観も開け、「見晴らしの家」の名にふさわしい設計になっていました。 視察当日は外気温が35℃を超える真夏日。35人ほどが一斉に建物内に入りましたが、2階リビングでの説明時も室温25℃強・湿度65%程度と快適。パッシブハウス性能とアメニティエアコンによる全館空調の効果を実感できました。室内仕上げも落ち着いた色合いで、長居したくなる心地よさがありました。

GMZパッシブハウス(株式会社 親和建設)

以前は構造の段階で拝見していましたが、完成した姿は想像以上にモダン。黒とグレーを基調にした外観が印象的でした。内部には地産地消の木材・石・粘土といった素材がふんだんに使われており、自然素材とパッシブハウス性能との融合がとても魅力的でした。 空調と一体型の換気設備にはLIXIL社製システムを採用。パッシブハウス級住宅への導入は初めてとのことで、LIXILの担当者による説明もあり、今後の性能評価に期待が高まります。

2社に共通すること

  • 同じ倉敷市に拠点を持つ工務店
  • パッシブハウスへの挑戦を担うのはいずれも二代目
  • PHJ賛助会員「株式会社ヒトモノコト」のブランディング支援を受けている

さらに、ヒトモノコト南氏のご縁から、弊社にも視察に来られるなど、人のつながりが新しいパッシブハウスを次々と生み出しているのを実感しました。

普及に向けて

私が松山で初めてパッシブハウスを完成させたのは約13年前。当時は情報も少なく、まさに手探りでの挑戦でした。しかし現在では、SNSを通じた発信やPHJ賛助会員の実務者も増え、学び合える環境が大きく広がっています。

もし賛助会員の1社1社が年に1棟パッシブハウスを建てれば、年間150棟以上が誕生する計算になり、日本の住宅文化を変える力になるはずです。現実には課題も多いですが、今後ますます若い世代の力に期待したいところです。

まとめ

パッシブハウスは「完成」がゴールではなく、普及と発展が本当のスタートです。今回の合同勉強会を通じて、実際の建物に触れ、賛助会員同士の交流を深められたことは大きな学びとなったと思います。

これからも多くの人にその魅力を伝え、日本の家づくりをより良いものへと変えていきたいですね。