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森みわ
パッシブハウス・ジャパン代表理事
出不精はエコなのか?
久しぶりにマスクフリーな夏休み、皆様如何お過ごしでしたでしょうか?
折角家族や友人と外でレジャーを楽しみたいのに、あまりにも暑くて気が失せた、しんどかったと感じる方も多いのでは無いでしょうか? 私もリモートで済ませられる仕事は出来るだけそのようにして、必要最小限の屋外活動で乗り切ってしまいましたが、怠け者と言われると反論出来ないので、「おそらく巡り巡ってこれがエコであろう」と自分に言い聞かせておりました。長時間屋外作業をしなければならない全国の現場関係者の皆様には本当に申し訳ない気持ちで一杯です。
コロナ禍の不幸中の幸いとして、一部の方を除き、無駄に移動しなくても仕事が廻るようになった、という事が一番に挙げられるかと思います。PHI主催のセミナーや会議も大方オンライン対応となり、コロナが明けたとて、交通分野でのCO2削減の観点から、出不精なメンバーも増えてきました。もちろん、オンラインによるコミュニケーションが全てのリアルなコミュニケーションを台頭するとは思いませんが、居場所が自由であることの恩恵は特に子育て中の女性に大きいと感じています。今月はPHIによるCertifier’s meeting(認定者会議)、そしてPHPP Expert講座にオンラインで参加いたしましたが、ここで悩ましいのが各国の時差です。参加者は大きく分けてヨーロッパ圏、北米、日本と台湾なのですが、全員に都合の良い時間は当然無い訳でして、私は丁度夕食の支度の時間から、真夜中まで集中力を維持しないといけない日々でしたが、それでも長時間のフライトで失われる時間と体力(とお金!)を想えば、圧倒的にお気楽であるのは疑いの余地の無いことで・・。
ということで今月印象的だったニュースとして、戸建て住宅の認定プロセスを簡易化する方向でPHIが調整しているという報告でした。PHIがターゲットにしている建物はやはり年々大規模化しており、designPHの進化と共に、どんなにぶっ飛んだ意匠の高層建築であっても、エネルギー計算が掛けられる状況になっているため、これまでかれらが25年以上守り続けてきた厳密な認定審査を、戸建て住宅のみ例外とし、そのプロセスを簡易化するという非常に勇気ある決断があったようです。来年以降、PHPPバージョン10にeasyPHという新たなシートが追加になる予定で、いくつかの条件をクリアした場合にその使用が認められるとのことです。認定者向けのβ版配布は1月予定とのことですが、遅くとも来年4月の国際パッシブハウス・カンファレンスではその詳細が皆さんに明かされると思いますので、大きな期待を寄せたいと思います。ちなみに来年の国際カンファレンスですが、4月5~6日でオーストリアのインスブルク開催が確定しております。この街には大規模なパッシブハウスが沢山ありますので、翌日のオプショナルツアーも楽しみです。
さて、日本でも今年は開口部のガラスに関して選択肢が大きく増えるという画期的な動きがあり、サンゴバン社のECLAZ相当のガラスを使用した国産の樹脂窓がパッシブハウス・プロジェクトで採用しやすくなるため、パッシブハウス性能に届く物件が全国で大幅に増えていくことが見込まれます。また、PHIによる戸建て住宅の認定申請での大幅な簡易化を受け、PHJとしても国内での認定をよりスムーズにしていくべく、様々な進化を模索する中で、ヒートブリッジ解析をもっと身近なものにしたいという私の長年の思いがようやっと具現化しつつあります。具体的には、今年11月の16日~17日で開催されるPHJ全国大会において、フリーソフトウェア「THERM」を使ったヒートブリッジ解析を習得するための分科会が行われます。もう一つの分科会はパッシブハウス認定の「いろは」がテーマ。そして本大会では昨年発足した実測部門からの途中報告や、パッシブハウス・オーナーによる座談会も予定しており、皆さんの幅広い関心に応えられるよう、事務局および支部リーダーを中心に準備中ですので、どうぞお楽しみに・・。
その他告知:
▶10月の診断士セミナー
▶11月のPHオープンデー(告知準備中です♪)
▶11月の全国大会(翌日のツアーと分科会の案内も!、告知準備中です♪)
▶1月のPHPP集中講座
▶2月のオープンウィークス?
▶4月の国際カンファレンス