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ニュースレター 2021年10月号コラム

2021.10.12

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高橋 慎吾

高橋建築株式会社 代表取締役
PHJ理事

パッシブハウス認定を目指そう!
~「秩父パッシブハウス2020」を例に計算手法の簡単なご紹介(後編)~

窓ごとの影の影響。
隣家の影や庇の影。さらにはサッシの枠の影響まで考慮します。この例だと日が低い冬期に隣家の上を太陽が通り夏期にはバルコニーが庇代わりになっているのがわかります。
さらにShadingシートではブラインドなど日射遮蔽の効果なども考えます。

換気のシートでは 気密性能や熱交換換気システムの性能、レンジフードなどの換気扇の使用頻度などから換気による熱損失を見ます。気密性能は特に大切です。

今回の住宅はC=0.17c㎡/㎡。パッシブハウスでは国際的に用いられている50Pa時の換気回数で0.6回/h以下が必要です。減圧法と加圧法の平均で0.49でしたのでクリアーしました。換気システムは、日本の大半の地域において、熱交換式の換気システムが有効となります。やはりこれも高断熱になればなるほど換気での熱ロスが無視できなくなって来るからです。換気の影響はものすごいです。外気の影響が無視できるレベルと言うことは、まだまだ断熱が足りないのかもしれません。

こちらはPHPPで表示された、この住宅の年間暖房需要の棒グラフです。左側が熱の逃げ。右側が熱の取得ですね。黄色が窓の影響です。左側の窓からの熱の逃げが17.7kWh/㎡年 右側の窓からの日射熱取得が36.4kWh/㎡年です。窓から熱が逃げる量のおよそ倍の量の日射熱を取得しているのがわかります。上手に窓を選び、窓をつけると、とても有利なのです。赤いところが暖房をしなくてはならないエネルギーです。これを減らすためにあらゆる努力をするのです。

大まかなところを説明しました。まだまだ細かいところもありますし、窓開けや家電、給湯、再生可能エネルギー、冷暖房機器の効率などの項目もあります。

冬はほぼ暖房いらず。

最後に「パッシブハウスのオーナー様の声」をご紹介しましょう。

奥様
冬は2月頃に朝少しエアコンをつけるだけであとは日中天気が悪くて肌寒いかな?って言う時に少しつけただけであとはほとんど使いませんでした。
暖房はずっとつけておくと逆に暑くなってしまうので1時間位つけてあとは消してしまえば家の中はしばらく暖かくいられました。
しかも1番寒い朝、無暖房なのに布団から出ても寒い🥶と言う感じは全くなくて本当にビックリしました!
旦那は冬場家の中ではほぼTシャツでいました!!
ちなみにこたつは出しませんでした!
コタツもストーブも無くてとても快適に過ごせます!

旦那様
本当に快適過ぎです!
冬場友達が遊びに来て、この家暖房ついてないのにどうしてこんなに暖かいの?とビックリしてました🤣
もし高橋さん以外で建ててたらと思うとゾッとしますね!笑

同時期に建てたお友達がとても悔しがるともお話ししていました。

この緻密な計算の結果が「建築主の期待を裏切らない。」
とても大切なことですね。

今年も、続々パッシブハウスが計画されています。
パッシブハウスの生みの親 ファイスト博士が作り始めてから30年。
パッシブハウスジャパン代表理事の森みわさんが日本で初めて建ててから10数年。
日本でもようやくパッシブハウス建築のムーブメントが起ころうとしています。
世界では当たり前になりつつあるこの技術。

「私はパッシブハウスを作っている。」「パッシブハウスに住んでいる」というのが世界で共通の言葉として通じます。
世界で認められる高性能住宅の称号「PASSIVE HOUSE」
皆さんも目指してみませんか?

我々の手で日本でも広げていきましょう。