省エネ性能が確約されていることによって、光熱費が安い=家計に優しいのは当然なのですが、特筆すべきはその快適性、すなわち「みんなにとって楽な家」ということです。「楽」とか「快適」とかいうお話をすると、なんだか贅沢なことのように思う日本人はまだまだ多いのですが、私達は皆さんにもっと楽になって頂きたいのです。
パッシブハウスは省エネで地球とお財布に優しいということは何となくわかったよ。でも、正直なところ住み心地ってそんな変わらないんじゃないのー?(パッシブハウスは楽っていうけど、今の家でも充分住めるし・・・)
そういうと思ったから、パッシブハウスで暮らすとどんな感じになるのか具体的に説明していくよ!
1, 温度が良い感じ
パッシブハウスのメソッドで家を設計することにより、ほんの少しのエネルギーで家中が快適な体感温度になります。体感温度は部屋の空気の温度(室温)だけでは決まらないのですが、断熱強化により、屋根・壁・窓・床といった建物の外皮の室内側の表面温度が整ってしまうことで、今までよりも緩和された室温設定でも体が楽です。
具体的には、これまで断熱性能の乏しい家で、冬に室温24度設定でないと我慢できなかった人が、パッシブハウスでは21度設定で十分快適という現象が起きます。居室と非居室(お風呂場や脱衣室など)の温度差が殆ど無く、家事をする人にも、高齢者にも安全で楽な暮らしが実現します。特に高齢者は家の中での活動量が増す傾向があります。ヒートショックとも無縁ですので、健康寿命を延ばす家といっても過言ではありません。また、筋肉量の少ない女性は基礎代謝も少なく、寒がりな傾向がありますが、パッシブハウスに住んでから冷え性が改善したという声は多いです。
2,湿度も良い感じ
温度ムラが無くなるということは、過剰な寒さ・暑さからの決別だけでなく、極端な高湿度・低湿度からの決別も実現してしまいます。窓際で結露しているとか、押し入れの奥で物がカビているとか、お風呂のタイルの目地がカビるといった、これまでは換気を怠った施主の怠慢や日本の気候が原因のように捉えられてきた物理現象はパッシブハウスでは起きません。
カビや結露に対して神経質にならなくて良いため、内装材の選択肢の幅は広がりますし、ユニットバスのように、浴室を密閉するという発想が無くなります。毎日のお掃除がとても楽になります。また、シックハウスの7割は、カビやカビを餌とするダニに起因すると言われていますが、気密性能が正しく担保された外壁では壁体内結露とは無縁なため、喘息やアレルギー体質が改善したというケースは多いようです。
3,室温VS空気質に終止符を!
室温vs空気質ってどういう意味?
エアコンを稼働する時期、お家の快適な温度を優先したいから換気せずにキレイな空気をあきらめるか、換気して新鮮な空気をとりこみたいから室温が快適な温度ではなくなることをあきらめるか、っていうどっちをとるか問題のことね。
パッシブハウスは気密性能が担保されることによって、エネルギーを効率的に使えるようになるだけでなく、計画換気がきちんと機能する家になります。これまでの住宅で一般的な3種換気と呼ばれる浴室やトイレのファンは、法律で設置が義務付けられているものの、居室のCO2濃度を下げたり、匂いを取ったりという換気の役割をきちんと果たしているケースは稀です。「閉じて暮らす」シーズンにおいて、居室の自然吸気口から不快な外気が取り込まれるのを阻止するべく、吸気口を閉めてしまっているケースも多いです。熱交換換気であれば、快適な温湿度を担保しながら、新鮮空気を供給することが出来るため、室温VS空気質といった対立構図にはなりません。また、パッシブハウス認定物件では、引き渡し前の換気風量調整を義務付けているため、各居室にきちんと設計風量が分配されているか、トイレや脱衣室のようなウェットエリア(匂いや湿気が発生するエリア)からきちんと設計風量が排気されているかを実測しています。
なるほど、室温も空気の質も両方快適にしてくれる熱交換換気というものがあるんだね。
換気については、また詳しく学んでいこう!
4,圧倒的な静けさ
断熱性能の伴わない家において、エアコンが嫌われ、床暖房のような輻射暖房が好まれる理由は、気流感の有無ですね。パッシブハウスでは、冷暖房設備が小さく、吹き出す風量も少ないとなると、エアコンでさえ輻射暖房並みに上質な空調機になってしまいます。断熱気密性能の効果もあり、室内は圧倒的な静けさに包まれます。唯一冷蔵庫の音だけが気になったりも(涙)。大人の在宅ワークも子供の学習も、不快な機械音や雑音の無い空間で効率アップ。夜も大変よく眠れます。
上記の4つの項目を踏まえ、パッシブハウスでの暮らしのメリットは具体的にどれほどかというと、扇風機やこたつ、空気清浄機など、季節ものの家電の出番が殆ど無く、布団は通年を通じて1枚で良かったりなど、暮らしに必要なアイテムがコンパクトになること、そして家人が早く家に帰って来たり(会社に行かなくなったり(笑))して、団らんを楽しむ時間が増えること、日々の掃除が楽な上に活動的になって家事に協力的な人が増えること、ストレスフルな日々であっても家に帰って来さえすれば良質な睡眠でリカバリーできること、寝相の悪い子供が布団を剝いでも風邪をひくことも無く、喘息やアトピーなどの疾患も改善していくこと、女性も冷え性改善して基礎化粧品もシンプルになったりすること、ババシャツとかヒーター付きの袢纏とか、百年の恋も冷めるような防寒グッズと決別出来ること、ストレスが軽減して無駄な言い争いが減ること、これまでの寒い家が時間泥棒だったと気付けること、外の暑さ寒さも逆に楽しめるようになること、省エネなのに皆がウキウキ楽しく暮らせること、歳をとってもピンピン・コロリを目指せること、万が一インフラが止まっても命の危険など全くないこと、などなど、キリがありません。
パッシブハウスの建設コストの増額を、毎月の光熱費の減額で相殺出来るか?と悩んでおられる皆様は、是非一度、上記のメリットがお金に換算できるかどうか考えてみてください。 私達は、これらのライフスタイルへの影響を「プライスレス」だと思っています。