パッシブハウスジャパンニュースレター 047号 2013年2月13日発行
▽持続可能で快適な暮らしの実現に向けて、知識と技術を探求いたします
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パッシブハウスジャパンニュースレター 047号 2013年2月13日発行
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みなさま、こんにちは。
一般社団法人パッシブハウス・ジャパン
http://www.passivehouse-japan.org
メールマガジン第47号です。
私たちは、
世界中のパッシブハウス推進団体とリアルタイムで情報を共有しながら
日本国内における健康で快適なこれからの省エネ住宅作りを推進しています。
本メールマガジンでは、海外の建築最新事情や、実践的な技術解説、
パッシブハウス・ジャパンが開催する各種セミナー・イベント情報を
お伝えいたします。
持続可能な社会の実現のために、エネルギーに依存しないゆとりある暮らしを
みなさんと共に考えていきたいと思います。
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□Contents□
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1)【輻射を侮るべからず! 代表理事 森みわ】
2)【やっぱり最後は料理人(設計者)の腕がものをいう 理事 松尾和也】
3)【パッシブハウスジャパンからのお知らせ】
4)【賛助会員紹介】
登録いただいた企業様を紹介します
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1) 輻射を侮るべからず!(代表理事 森みわ)
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連休が嵐のように過ぎ去りましたが、皆様少しはリフレッシュされましたでし
ょうか?
私はこの連休中、念願の札幌雪まつりを訪れるために家族で札幌に滞在してお
りました。仕事で行くとタクシーでの移動がほとんどで、街を散策する時間も
無いのですが、今回は気温マイナス10度の中、地下鉄を乗り継いで街中を移
動することで、冬の札幌の人々の暮らしを少し垣間見れたような気がいたしま
した。
ところで皆さんご存じのとおり、冬の北海道では室内を積極的に暖房するため、
室内は本州の家よりも暖かいと言われています。体がすっかり冷え切っている
状態では確かにありがたい室温ですが、困った事に今回は、札幌のホテルの室
温23度設定で、私は寒気を感じていました。理由は簡単で、ホテルの部屋と
してはめずらしく、部屋の奥行きが少なく、外壁面が異様に大きな部屋に当た
ってしまったため、外壁の大きな窓に体温を奪われ続けたようです。一方鎌倉
の自宅では、先週木曜の夜に最後に薪ストーブを焚き、金曜の朝から家を出て
いましたが、日曜の夜に札幌から戻ると家の中の室温は16度でした。ほとん
ど人がいない状態で、3日間で室温が3度下がった計算です。
その日は疲労困憊してそのまま暖房無しで寝てしまいましたが、不思議なこ
とに室温23度の札幌のホテルの室内よりもよっぽど体が楽です。私の自宅は
図解エコハウスでも事例として紹介していますが、パッシブハウスの性能には
至っていません。実はパッシブハウスの1.4倍くらいの年間暖房負荷を許容
している家です。しかしながら、旅行先のホテルで不快な思いをする、という
のがこれからの悩みの種になりそうです。どんなにお金を積んで豪華なホテル
を探しても、自宅(といっても借家)のようなバランスの良い輻射環境はなさ
そうです。これって実はとても贅沢な事なのですが!
我が家の省エネ性能に関しては、建もの省エネx健康マップで“大町タウンハ
ウス“をクリックしていただければご覧いただけます。集合住宅に分類される
ため、紫色のドットが目印です。
さて、1月25日に東京で行われたパッシブハウス・ジャパンの3周年記念大
会を持ちまして、念願の燃費証書発行のスキームもスタートをいたしました。
現在全国のいくつかのエリアで、PHJエリアリーダーを中心に証書発行のた
めの燃費計算が行われております。
これに伴いまして、レインボージャパンの協力の元、この度
建もの省エネx健康マップの英語版がオープンいたしました。海外で日本の住
宅の省エネ性能を問われたら、迷わずこちらのリンクを見せてください。
“ハイテク先進国日本“のスマートなイメージが音を立てて崩れていく事でし
ょう・・・。
www.tatemono-nenpi.com/map
日本語サイトの左上に英語版に切り替えるアイコンがございますので、こちら
をクリックしてください。また、日本語版、英語版共に、建設地の市町村が
Google Mapにリンクするようになりましたので、物件の立地が一目でわかるよ
うになりました。あとはどんどんデータを増やしていきたいと思いますので、
マップ掲載をご希望の方は是非一度エリアリーダーにご相談ください。
全国のエリアリーダーはPHJのホームページの賛助会員リストでご確認いた
だけます。
www.passivehouse-japan.org
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2)やっぱり最後は料理人(設計者)の腕がものをいう (理事 松尾和也)
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先日、私の講演を聞いた某不動産屋さんが家を設計してほしいと依頼して下さ
いました。と、同時に自社で手がけるニュータウンに建てる家も、省エネ化、
高断熱化し始めたとのこと、そこでそれに関しても図面等を見せてもらい、い
ろいろと相談に乗りました。その中でいろいろと気づくことがあり、また説明
する中で非常にしっくりとくる言い方を思いついたのでそのあたりをお話した
いと思います。
今その会社では100戸以上の住宅を分譲しようとしています。3kwの太陽
光を載せ、エネファームまでついている。4地域ですがQ値は2.1程度で樹
脂サッシを利用しています。で、それら省エネ建材のきれいなカラーカタログ
をフォルダに閉じて持っています。
太陽光とエネファームはこの会社でなくてもなんちゃって省エネ会社はどこで
もやり始めています。しかし、この会社がえらいことは外皮性能にきちんと目
を向けたところです。この棟数をやる会社で4地域でここまでやっている会社
は非常に少ないと思います。
しかしです。健闘はそこまででした。まず、床断熱で気密が甘いため、C値は
どう頑張っても5くらいしか出ない。それに加えて庇が設計されていないので
夏は激暑が確定。さらにいうと、好き勝手にデザインされたプランニング及び
外観形状により、屋根の方位は西もあれば東もある。
この状況をつい最近高性能住宅に目覚めたこの方(以後Aさん)に説明するに
はどうしたらいいか?そこで私が思いついたのが次のコメントです。「Aさん
がされていることは料理に例えるなら、魚沼産のこしひかりに、最高級の神戸
牛といった、最高級の食材ばかりを集めた料理ではあります。しかしながら、
それを作っている料理人は料理の素人です。せっかく素材が良くてもこれでは
本当に美味しい料理にはなりません。逆に素材はスーパーに売っている安売り
品であっても一流の料理人が調理したものであれば、そちらのほうが美味しい
可能性すらあります」と、とっさに思いついたコメントでしたが、今の大多数
のなんちゃって省エネ住宅を作っている人に対して、パッシブデザイン及び全
体のコストコントロール等設計の腕前の重要性を一瞬で理解してもらうには適
切なコメントではないかと思っています。
実際3kwの太陽光を真西に向けた場合、発電量は約2割落ちます。というこ
とは2.4kw相当しか発電しないということになります。3kwでようやく
一般家庭が光熱費ゼロになるかどうかという中でこれは致命的です。余剰電力
を生み出してなんぼの日本の電気料金制度の中ではありえないことです。これ
は料理に例えるなら完全に素材を殺してしまっているといえます。また、料理
には予算というものがあります。あるメニューをつくるとき、限られた予算の
中で最も美味しい料理を提供するにはどの食材にどの程度予算を割り振るかが
大きなポイントになります。それを間違うと、「確かに肉は上手いけど、野菜
はなんかいまいちだな」みたいな料理になってしまいます。やはりバランスが
重要です。と当時に、そのメニューにおいて何に最も予算をかけるかというこ
ともバランスと同等かそれ以上に重要になってくるのも事実です。住宅設計で
はこれが窓にあたります。私は料理人ではありませんが、おそらく料理人をや
っていると設計事務所や工務店がそうであるように、あらゆる分野の食材屋さ
んが営業にくるのかと思います。それぞれの食材屋さんは「うちの食材はほん
とに良いし、安いですよ」と言われて「はいそうですね」と言って次々に採用
する料理人に一流の料理人はいないはずです。大半の建材においてはこんなこ
とは行われないと思いますが、太陽光やエネファームといった省エネ建材に関
してはこれがまかり通っています。お客様の限られた予算をどの食材にどれだ
け割り当てるのか?一流の料理人なら市場に行って自分で素材を確認し、価格
交渉を行っているはずです。それ以前に今日は何を買うべきなのかという全体
計画を持っているはずです。どんなに最高級な料理でも高級ワイン等を飲まな
ければ一食三万円が相場です。われわれはその500倍以上の単価のものしか
もずっと使い続けるものを扱っているわけです。
料理の世界でも腕の悪い職人さんはたくさんいるでしょう。しかし、そういう
店に誤って一度入ってしまっても、それに気づいたお客さんは次からはそこに
行かないだけでことは済みます。一度限り、数千円以内の損失に過ぎません。
しかし、住宅の場合、腕の悪い設計者にあたってしまうと、数千万円と数十年
の損失になってしまいます。
家を設計する方、もしくは販売に携わる方はこのあたりのことをもっともっと
強くこころに刻んでおく必要があると思います。
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3)【パッシブハウスジャパンからのお知らせ】
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1.【省エネ建築診断士養成講座@福岡】
2月末の大阪での省エネ建築診断士養成講座は満員につき現在キャンセル待
ちですが、その次の講座の予定が決定いたしました。
2013年5月23日(木)・24日(金)、会場はJR福岡駅前の八重洲博多ビル
ホールAです。定員は100名。スケジュールの詳細はPHJのHPをご覧く
ださい。 http://bit.ly/Y8fWNZ
パッシブハウス・ジャパン賛助会員の申し込み受付は2月15日より開始予定、
一般の申込み受付は3月18日を予定いたしております。
九州での初の開催となります。九州地方だけでなく、四国、中国地方の方
のご参加もお待ちいたしております。
2.【パッシブハウス・セミナー@松山】
2月16日(土)13時半より愛媛県松山市のひめぎんホールにてPHJ代表
理事森みわのパッシブハウス・セミナーが開催されます。一般の方は無料、
建築業関係者は参加費2000円となります。翌17日(日)には主催のアーキ
テクト工房Pureオフィスの体感見学会も開催されます。
お申込み等詳細については、アーキテクト工房PureのHPをご覧くだ
さい。http://www.ah-matsuyama.sakura.ne.jp/news/4577.html
3.【3月2日(土)木灯館見学会@奈良】
3月2日(土)10時より森代表理事が設計した奈良県橿原市にある木灯館に
て見学会を開催いたします。森が直接木灯館についてお話しさせていただ
きます。
お申し込みは不要、参加費も無料です。当日現地へお越しください。
木灯館へのアクセスはキーアーキテクツのHPをご覧ください。
http://bit.ly/V6gQy3
4.【参考図書のご案内】
大阪、福岡にて省エネ建築診断士セミナーを受講される方への予習テキス
トとして、竹内昌義・森みわ共著の「図解エコハウス」(エクスナレッジ出
版)をお勧めいたします。当日配布するテキストの中に含まれるデータや
図解などが著書の中でも多数引用されておりますので、テキストの代わり
になる一冊として捉える事が出来ます。なお、「図解エコハウス」のまとめ
買いをご希望の方は、割引料金が適応となりますので、直接出版社までお
問い合わせください。
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4)【賛助会員紹介】
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ご登録いただいた賛助会員の皆様をご紹介します。
設計と工務店会員様は地方別・五十音順になっております。
◎新規会員
一級建築士事務所 Pleasant Design(広島県広島市・設計)
ローヤル電機株式会社(東京都港区・メーカー)
株式会社三栄ハウジング(福井県福井市・工務店)
工藤建設株式会社(岩手県奥州市・工務店)
【工務店会員・設計事務所会員】
<北海道>
工務店
光輝建設株式会社(北海道網走市)
棟晶株式会社(北海道札幌市)
株式会社リビングワーク(北海道札幌市)
設計事務所
鈴木彩恵(北海道札幌市)
<東北>
設計事務所
株式会社アルファ設計室(新潟県上越市)
株式会社家工房一級建築士事務所(青森県八戸市)
金ヶ崎建築設計舎(岩手県胆沢郡)
真建築事務所(福島県いわき市)
住まい環境プランニング(岩手県岩手郡)
株式会社大庄(新潟県長岡市)
HIRO建築設計舎(岩手県盛岡市)
U建築計画(岩手県盛岡市)
<関東>
工務店
エコモ株式会社(群馬県高崎市)
株式会社OKUTA(埼玉県さいたま市)
技拓株式会社(神奈川県鎌倉市)
株式会社建築舎(東京都八王子市)
株式会社島田材木店(茨城県石岡市)
株式会社スルガ建設(神奈川県横浜市)
セイズ株式会社(東京都葛飾区)
高橋建築株式会社(埼玉県秩父郡)
株式会社藤島建設(埼玉県川口市)
船津地産株式会社(埼玉県川口市)
大和屋株式会社(埼玉県熊谷市)
株式会社夢・建築工房(埼玉県東松山市)
株式会社ラクジュ(神奈川県横浜市)
設計事務所
アーキテクトシップ(東京都三鷹市)
株式会社東設計(東京都目黒区)
アトリエ・ティー・ランド建築設計事務所(東京都江戸川区)
石井正人建築設計事務所(群馬県高崎市)
H2O design associates(東京都港区)
ACRインテリア(東京都町田市)
MA住空間設計室(東京都豊島区)
カサボン住環境設計株式会社(東京都文京区)
設計事務所イマ(東京都港区)
有限会社テクノライン(神奈川県平塚市)
星野建築(埼玉県上尾市)
堀合克巳設計事務所・ラクガキ工房(栃木県佐野市)
ほりうち設計室(埼玉県東松山市)
森建築設計(神奈川県川崎市)
守屋一級建築士事務所(神奈川県川崎市)
<中部>
工務店
株式会社市川保工務店(長野県北佐久郡)
株式会社カーサ(静岡県浜松市)
片瀬建設株式会社(静岡県焼津市)
グローバルハウス株式会社(山梨県中巨摩郡)
設計事務所
梅巧房設計事務所(岐阜県揖斐郡)
KANO空感設計(愛知県岡崎市)
株式会社建築工房わたなべ(静岡県富士市)
有限会社酒井設計室(愛知県西尾市)
一級建築士事務所 さの設計室(静岡県富士市)
株式会社誠設計事務所(長野県長野市)
溝口建築設計事務所(岐阜県飛騨市)
<近畿>
工務店
株式会社イー住まい(京都府京都市)
株式会社さつまホーム(大阪府豊中市)
株式会社中村建設(兵庫県明石市)
株式会社夏見工務店(滋賀県栗東市)
設計事務所
株式会社グリーンサークル(奈良県橿原市)
建築設計室雅(大阪府高槻市)
高橋空間工房(大阪府大阪市)
竹村公作・建築ラボ(兵庫県丹波市)
ダックス建築デザイン(大阪府箕面市)
なちゅらる・さーかす(大阪府大阪市)
街角企画株式会社(大阪府大阪市)
吉岡昌一建築設計事務所(滋賀県大津市)
<中国>
工務店
ひだかや株式会社(岡山県倉敷市)
株式会社ライフステージ(広島県福山市)
設計事務所
株式会社Keizo Architect Office(広島県広島市)
<四国>
工務店
株式会社アイシーホーム(徳島県徳島市)
有限会社アーキテクト工房Pure(愛媛県松山市)
株式会社大丸工業(香川県丸亀市)
設計事務所
cross建築設計事務所(高知県高知市)
株式会社プラン・リーブル(香川県高松市)
YuRi建築設計舎(愛媛県今治市)
<九州>
工務店
株式会社ホームラボ(福岡県久留米市)
株式会社樋渡建設(佐賀県伊万里市)
設計事務所
coa設計室(福岡県福岡市)
ホームインスペクション鹿児島:茅野昌男(鹿児島県鹿児島市)
株式会社SiZE(福岡県福岡市)
空 設計工房(福岡県福岡市)
ラッツ・アーキテクツ株式会社(大分県大分市)
【一般会員】
ハイアス・アンド・カンパニー株式会社
ダブルスネットワーク株式会社
株式会社シーピーユー
【メーカー会員】
マグ・イゾベール株式会社
日本スティーベル株式会社
Tonwerk Lausen AG
旭化成建材株式会社
株式会社テクノフォルムバウテックジャパン
D&M Rolladentechnik GmbH
Sto Japan 株式会社
ジェイベック株式会社
株式会社イケダコーポレーション
YKK AP株式会社
チャネルオリジナル株式会社
株式会社川上木材
ダウ化工株式会社
飯田ウッドワークシステム株式会社
【特別会員】
NPO法人木品協
Dotプロジェクト
IG Passivhaus Schweiz
(スイスパッシブハウス振興会)
NPO法人 日本VOC測定協会
NPO法人 外断熱推進会議
NPO法人 住宅検査協会
皆様のエリアでパッシブハウス設計及びパッシブハウス建設のお手伝いが
可能なエキスパートをご紹介いたします。パッシブハウスにご関心のある
方はメールにてお問い合わせください。
メールの宛先:info@passivehouse-japan.org
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【パッシブハウスジャパンニュースレター】
2013年2月13日発行(0047)
発 行:一般社団法人パッシブハウス・ジャパン
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ご意見・ご要望:
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