パッシブハウスジャパンニュースレター 045号 2012年12月10日発行
▽持続可能で快適な暮らしの実現に向けて、知識と技術を探求いたします
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パッシブハウスジャパンニュースレター 045号 2012年12月10日発行
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みなさま、こんにちは。
一般社団法人パッシブハウス・ジャパン
http://www.passivehouse-japan.org
メールマガジン第45号です。
私たちは、
世界中のパッシブハウス推進団体とリアルタイムで情報を共有しながら
日本国内における健康で快適なこれからの省エネ住宅作りを推進しています。
本メールマガジンでは、海外の建築最新事情や、実践的な技術解説、
パッシブハウス・ジャパンが開催する各種セミナー・イベント情報を
お伝えいたします。
持続可能な社会の実現のために、エネルギーに依存しないゆとりある暮らしを
みなさんと共に考えていきたいと思います。
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□Contents□
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1)【Can you passive-house it? 代表理事 森みわ】
2)【エクセルギーから読み解く冬場本当に快適で現実的な体感温度
理事 松尾和也】
3)【パッシブハウスジャパンからのお知らせ】
4)【賛助会員紹介】
登録いただいた企業様を紹介します
5)【 REFRESH!! 】
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1)Can you passive-house it? (代表理事 森みわ)
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昨日は雪の積もる岩手県奥州市にて、奥州パッシブハウスの建設に取り組む工
藤建設(株)主催のセミナーに参加して参りました。再生可能エネルギーをふ
んだんに取り入れた、電気を極力使わないパッシブハウスが来春には完成しそ
うです。北海道ではかなり早い段階で注目が集まったパッシブハウスの考え方
ですが、ようやっと東北の人たちの手によって、パッシブハウスを目指す運動
が始まったように見受けられました。Can you passive-house it? とは12月7日
発売の私とみかんぐみの竹内昌義さんで書いた「図解エコハウス」という名の
本の英語名というかサブタイトルです。日本語訳は非常に難しいですが、ニュ
アンスとしては「パシブれる?」といった感じ。海外のお施主さんや建築家と
話をしていると最近必ず出てくるこの質問、「ところで君はそれをパッシブハ
ウス仕様に出来るの?」という事を尋ねているのです。冗談半分でもこれくら
い気軽に日本の皆さんが口にする言葉になる事を願い、こんな英語名が付きま
した。今回の奥州市での講演会でお会いした皆さんとお話をしながら、早くこ
んなやり取りを東北弁で聞きたいなと思いました。
話を元に戻しまして、私の講演の後の東北大学の准教授、浅沼宏先生のお話は
とても興味深いものでした。先生は普段から学生に分かりやすく伝えるために
電子レンジを1時間使用した時のエネルギー量を1kWhと仮定して、原発1基分
の出力やメガソーラーなど、私たちの日常生活からするとスケールアウトした
巨大なエネルギー量を把握する工夫をされていました。私が一番驚いたのは、
家庭の電力消費量(1日のうちの平均)を1とした場合の自動販売機1機の消
費電力がそれとほぼ同じであること、コンビニ1軒はその30倍、乗用車(時
速60kmで走行中)は60倍、最新型の新幹線(270km走行中)は22,000倍
であるとう事実でした(ちなみにジャンボジェットは100,000倍という
計算になります)。新幹線が1編成で2万2千世帯分の電力を消費しながら日本
全国を走っていると考えるとすさまじい次元です。最新型新幹線の3倍の電力
を消費しながら走るリニアモーターカーが原発ありきの交通手段であることも
納得です。そして、こんなにエコと称する家電が売られているにも関わらず、
一向に減らない家電の電力消費量、こんなにエコカーが売れているのにも関わ
らず、一向に減らないガソリン消費量の事実。深刻な問題です。
省エネ住宅も同じでしょうか・・・?
ならば一刻も早く電力料金もガス料金も上げていただきたく。
さて、今週の14日(金)は韓国のソウルにて、東アジア・パッシブハウス・フ
ォーラムに講演者として参加いたします。一年前にソウルを訪れた時よりも、
随分と韓国国内ではパッシブハウスの実例が増えている様子。また、中国のパ
ッシブハウス・プロジェクトには私の知り合いのドイツ人建築家も数人関わっ
ているため、そろそろレベルの高い実例が出てきそうです。
Can you passive-house it? 今度のフォーラムでは何回耳にするのでしょう
か・・。
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2)エクセルギーから読み解く冬場本当に快適で現実的な体感温度
(理事 松尾和也)
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建築熱環境の世界の天才、東京都市大学の宿谷先生の本に「エクセルギーと環
境の理論」という既存の熱環境の世界とは次元が違う感すら漂う本がある。中
でもこの本の中で秀逸なのが、私、森さんともどもよく講演にて使わせていた
だいているP79に掲載している図2.3.2「人体のエクセルギー消費と室内空気温
・周壁平均気温の関係」である。
このグラフの設定条件は外気温0度相対湿度40%、人は冬もののズボンにセ
ーター程度という一般的な冬の室内着の状態となっている。この状態で周壁平
均温と、室内空気温の関係をエクセルギーという観点から表現している。
この格好において、代謝熱量=放熱量となっているのが体内における代謝熱量
が体表面からの放熱量とちょうど釣り合うところで
(周壁平均温+室内空気温)/2=21~21.5度あたりとなっている。
もちろんこの線上に乗っているだけでもそれなりに快適な室内条件ではある。
しかし、この線上で最悪な条件の場合、周壁平均温12度、室内空気温30度とい
うのも含まれてしまう。一般的に考えると、この線上で最も快適だと思われる
のは両方とも21度というあたりではないかと思う。しかし、エクセルギーの観
点から見た場合、答えは異なる。
正確には周壁平均温25度、室内空気温18度あたりが最も快適であるということ
が分かる。これは冬場日が当たっている縁側を想像してもらえれば分かりやす
い室内環境であるといえる。
しかし、実際にこんな環境を家全体において維持することはやはり難しい。強
いていうなら私が好きではない床暖房を使うことになるが、全部屋設置できな
いのであれば意味がない。イニシャルコストが多めにかかってもいいのであれ
ば、温水式のパネルヒーターを家全体に設置するのがこれに近い状態を維持で
きる最も確実な方法となりうる。しかし、もう少し万人向けにこれに近い方法
を考えてみたいと思う。
その場合、エアコンを利用することになるが、エアコンで暖房する場合、かな
り断熱性が良い建物でも周壁平気温は室内空気温-0.5度くらいが上限となる。
Q値がトップランナーレベルである場合、―1度も難しいくらいである。もう少
しわかりやすく言うと、エアコンの設定温度が22度のとき、周壁平均温が21度
であるということになる。
グラフを見ることが出来る人にしか分からないかと思うが、エクセルギー消費
量が最小となポイントはエクセルギー消費の値が2.5W/m2となっている。この状
況はエアコンではどうやっても実現できない。ではエアコンで実現できるギリ
ギリのラインがどこかというとエクセルギー消費量が2.7W/m2あたりである。
これでも十分に理想的な範囲に入っている。
この2.7W/m2を実現するときの条件は室内空気温(エアコン設定温度)は22度、
周壁平均温21度という条件になる。これを実現するにはQ値はトップランナー基
準でもちょっとしんどいくらいになる。森さんが言うところのその地域の次世
代―1あたりがぎりぎりというところだろうかと思う。しかも単純にQ値が良け
ればいいというものではない。窓の高性能化が最もこの周壁平均温度に影響す
るのに対し、熱交換換気システムのような空気温度を上昇させる項目は少々効果が弱い。
私自身、この記事を書きながらエアコンの設定温度等に対して頭がかなりすっ
きりとまとまったように思っている。ただ実際にはこれよりも低い温度であっ
てもほとんどの御施主様は満足するはずである。本当に一切我慢のない快適な
ところを狙うとこのようになるというふうに考えていただければと思う。
なお、エクセルギー的に見た場合の体感温度は一般的な(周壁平均温+室内空
気温)/2は適さない。あくまで私見であるが、エクセルギーの等高線から読み
解いて、かなり単純化すると、より実情に近い体感温度は(周壁平均温×2+
室内空気温)/3というのが適切であると思っている。またこの値が21.5以上と
いうのがひとつの目安になるかもしれない。
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3)【パッシブハウスジャパンからのお知らせ】
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1.【次回の省エネ建築診断士@大阪】
次回の省エネ建築診断士養成講座は2013年2月28日・3月1日に大阪芸術学
舎にて開催いたします。定員は80名です。先週の時点では31名のお申込み
が確認されています。受講ご希望の方はお早目のお申し込みをお勧めいた
します。
講座の申し込み及び詳細は大阪芸術学舎のHPから。
https://ssl.smart-academy.net/gakusha/osaka/course/detail/1242017/
2.【パッシブハウス・ジャパン3周年記念大会について】
2013年1月25日(金)に開催されるパッシブハウス・ジャパン3周年記念大
会の内容が決まりました。
会場:アジュール竹芝(東京都港区海岸1-11-2)
12:30~ 受付開始
13:00~ 飯田哲也基調講演
14:00~ 断熱・気密フォーラム
15:00~ 窓フォーラム
16:00~ 換気設備フォーラム
17:00~ 立食懇親会
事例紹介:富士山パッシブハウス・松山パッシブハウス他
パッシブハウス・ジャパン活動報告
19:30 閉会
10:00よりパネリストの顔合わせおよびエリアリーダー会議を行います。
飯田哲也氏の講演については、国政レベルの招集をがあった場合はやむを
得ず中止または時間が変更になる可能性がございます。
参加費 省エネ建築診断士および建もの燃費ナビライセンス所有者 18,000円
PHJ賛助会員(各社3名まで) 8,000円
※いずれも懇親会費用を含みます。
※一般の方はPHJ賛助会員が同伴の場合のみご参加いただけます。
お問い合わせはパッシブハウスジャパン事務局まで
3.【松尾理事の講演会@大阪】
株式会社LIXIL主催で、松尾理事の講演会が1月22日に大阪で開催されます。
メールマガジンの購読者で、この講演会に参加希望の方はパッシブハウス・
ジャパン事務局までメールにてご連絡ください。詳細等お知らせいたします。
info@passivehouse-japan.org
4.【「図解エコハウス」発売】
パッシブハウスジャパン代表理事の森みわとみかんぐみの竹内昌義さんの
共著「図解エコハウス」が12月7日に株式会社エクスナレッジから発売と
なりました。快適で省エネな住まいについてわかりやすく書かれておりま
す。まとめ買いを希望なさる方はパッシブハウス・ジャパン事務局までご
相談ください。info@passivehouse-japan.org
5.【メールマガジン1購読につき80円を寄付します】
パッシブハウス・ジャパンでは毎年、年賀状を送る代わりにその経費(1枚
につき80円)×購読者数をユニセフに募金していましたが、2013年は
沖縄・球美の里・福島の子供支援プロジェクトに募金したいと思います。
http://kuminosato.net/
現在のメールマガジン購読者数は2567名です。もっともっとメールマガジ
ンの購読者数を増やして募金額を上げたいと思いますので、お知り合いの
方にも購読をお勧めください。メールマガジン申し込みは
info@passivehouse-japan.orgまでメールでも受け付けいたしております。
6.【年末年始の業務について】
パッシブハウス・ジャパンの事務局は年内は12月28日まで、年始は1月7日
より業務を開始いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
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4)【賛助会員紹介】
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ご登録いただいた賛助会員の皆様をご紹介します。
設計と工務店会員様は地方別・五十音順になっております。
◎新規会員
一級建築士事務所 さの設計室(静岡県富士市・設計)
【工務店会員・設計事務所会員】
<北海道>
工務店
光輝建設株式会社(北海道網走市)
棟晶株式会社(北海道札幌市)
株式会社リビングワーク(北海道札幌市)
設計事務所
鈴木彩恵(北海道札幌市)
<東北>
設計事務所
株式会社アルファ設計室(新潟県上越市)
株式会社家工房一級建築士事務所(青森県八戸市)
金ヶ崎建築設計舎(岩手県胆沢郡)
真建築事務所(福島県いわき市)
住まい環境プランニング(岩手県岩手郡)
株式会社大庄(新潟県長岡市)
HIRO建築設計舎(岩手県盛岡市)
U建築計画(岩手県盛岡市)
<関東>
工務店
エコモ株式会社(群馬県高崎市)
株式会社OKUTA(埼玉県さいたま市)
技拓株式会社(神奈川県鎌倉市)
株式会社建築舎(東京都八王子市)
株式会社島田材木店(茨城県石岡市) )
株式会社スルガ建設(神奈川県横浜市)
セイズ株式会社(東京都葛飾区)
高橋建築株式会社(埼玉県秩父郡)
株式会社藤島建設(埼玉県川口市)
船津地産株式会社(埼玉県川口市)
大和屋株式会社(埼玉県熊谷市)
株式会社夢・建築工房(埼玉県東松山市)
株式会社ラクジュ(神奈川県横浜市)
設計事務所
アーキテクトシップ(東京都三鷹市)
株式会社東設計(東京都目黒区)
アトリエ・ティー・ランド建築設計事務所(東京都江戸川区)
石井正人建築設計事務所(群馬県高崎市)
H2O design associates(東京都港区)
ACRインテリア(東京都町田市)
MA住空間設計室(東京都豊島区)
カサボン住環境設計株式会社(東京都文京区)
設計事務所イマ(東京都港区)
有限会社テクノライン(神奈川県平塚市)
星野建築(埼玉県上尾市)
堀合克巳設計事務所・ラクガキ工房(栃木県佐野市)
ほりうち設計室(埼玉県東松山市)
森建築設計(神奈川県川崎市)
守屋一級建築士事務所(神奈川県川崎市)
一級建築士事務所ヤマモトエミ住空間デザイン室
(千葉県八千代市)
<中部>
工務店
株式会社市川保工務店(長野県北佐久郡)
株式会社カーサ(静岡県浜松市)
片瀬建設株式会社(静岡県焼津市)
グローバルハウス株式会社(山梨県中巨摩郡)
設計事務所
梅巧房設計事務所(岐阜県揖斐郡)
KANO空感設計(愛知県岡崎市)
株式会社建築工房わたなべ(静岡県富士市)
有限会社酒井設計室(愛知県西尾市)
溝口建築設計事務所(岐阜県飛騨市)
<近畿>
工務店
株式会社イー住まい(京都府京都市)
株式会社さつまホーム(大阪府豊中市)
株式会社夏見工務店(滋賀県栗東市)
設計事務所
株式会社グリーンサークル(奈良県橿原市)
建築設計室雅(大阪府高槻市)
高橋空間工房(大阪府大阪市)
竹村公作・建築ラボ(兵庫県丹波市)
ダックス建築デザイン(大阪府箕面市)
なちゅらる・さーかす(大阪府大阪市)
街角企画株式会社(大阪府大阪市)
吉岡昌一建築設計事務所(滋賀県大津市)
<中国>
工務店
ひだかや株式会社(岡山県倉敷市)
株式会社ライフステージ(広島県福山市)
設計事務所
株式会社Keizo Architect Office(広島県広島市)
<四国>
工務店
株式会社アイシーホーム(徳島県徳島市)
有限会社アーキテクト工房Pure(愛媛県松山市)
株式会社大丸工業(香川県丸亀市)
設計事務所
cross建築設計事務所(高知県高知市)
株式会社プラン・リーブル(香川県高松市)
YuRi建築設計舎(愛媛県今治市)
<九州>
工務店
株式会社ホームラボ(福岡県久留米市)
株式会社樋渡建設(佐賀県伊万里市)
設計事務所
coa設計室(福岡県福岡市)
ホームインスペクション鹿児島:茅野昌男(鹿児島県鹿児島市)
株式会社SiZE(福岡県福岡市)
空 設計工房(福岡県福岡市)
ラッツ・アーキテクツ株式会社(大分県大分市)
【一般会員】
ハイアス・アンド・カンパニー株式会社
ダブルスネットワーク株式会社
株式会社シーピーユー
【メーカー会員】
マグ・イゾベール株式会社
日本スティーベル株式会社
Tonwerk Lausen AG
旭化成建材株式会社
株式会社テクノフォルムバウテックジャパン
D&M Rolladentechnik GmbH
Sto Japan 株式会社
ジェイベック株式会社
株式会社イケダコーポレーション
YKK AP株式会社
チャネルオリジナル株式会社
株式会社川上木材
ダウ化工株式会社
【特別会員】
NPO法人木品協
Dotプロジェクト
IG Passivhaus Schweiz
(スイスパッシブハウス振興会)
NPO法人 日本VOC測定協会
NPO法人 外断熱推進会議
NPO法人 住宅検査協会
皆様のエリアでパッシブハウス設計及びパッシブハウス建設のお手伝いが
可能なエキスパートをご紹介いたします。パッシブハウスにご関心のある
方はメールにてお問い合わせください。
メールの宛先:info@passivehouse-japan.org
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5)【 REFRESH!! 】
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今年もあと残り3週間となり、皆様お忙しくお過ごしだと思います。そんな中
メールマガジンを最後までお読みくださっている方々には大変感謝いたしてお
ります。
年末にはお歳暮、クリスマス、年始には年賀状など、忙しい年末にもかかわら
ず時間を取られてしまうことがたくさんあります。お歳暮選びはお済みですか?
好きな方にクリスマスのプレゼントは何にするか、年賀状のイラストは何にす
るか、そろそろお決まりでしょうか?
私は最近ちいさなプレゼントをもらう機会がなんどかありました。いつも手が
カサカサだと嘆いていると、「うちにたくさんあったから。」とハンドクリー
ムを、「夏にサンダルを履いていたのを見て、これをみたらあなたを思い出し
たから。」とサンダルのチャームがついたしおりを、「しつこく欲しいと主張
していたから」とご当地限定のマグカップを、「これまだ好きでしたか?」と
小さなくまもんのストラップを、それぞれなんの日とかでもなくいただく機会
に恵まれました。私はそれぞれの物自体もとてもうれしかったですが、何より
も「一瞬でも私のことを思い出してくれた。」ということが、本当にうれしか
ったのです。
最近はなんでも時間の節約、効率化ということで、ネットでプレゼントも買え
るし、年賀状は寝ている間に表も裏も印刷できることようですが、もう少し自
分の以外のことにあえて時間を費やすことも人生のうるおいとして必要ではな
いでしょうか。私が大学を卒業してすぐに、いわゆる巨匠といわれるご年配の
映画監督さんとお仕事をする機会がありました。私は卒業したてのペーペーだ
ったので、案内役や休憩のお茶出し担当でした。待ち時間が長く、その映画監
督と暇つぶしのおしゃべりの中で私が「何をしている時が一番楽しいですか?」
というような質問をしたと思います。するとその監督は「こういう無駄話が一
番楽しい。」と答えられたのです。なんで?と思った私はそのまま質問を返す
と「人生で大切なことって、得てして何気ない無駄と思えることの中にあった
りするんだよ。こういう会話の中で気づかせられたり、いろんな発見があるん
だからね。」とおっしゃいました。その頃は社会人になりたての私は毎日余裕
もなく、睡眠時間もなくしゃかりきでしたので、「そんなもんなんかなぁ」と
思いつつも、この監督のお言葉はいつまでも心に残っていました。
パッシブハウス・ジャパン事務局では毎月、その月に更新の賛助会員の方に更
新のご案内のお手紙を送ります。その時の宛名書きは必ず手書きにしています。
住所と宛名を書きながら「この会員さんはこの1年あまり交流がなかったな、
この1年はどのようなことされていたのだろう。」とか「この会員さんの会社の
近くで今度セミナーがあるからもう一度案内しよう」とか、その宛名書きの時
間はその会員の方のことを考えています。宛名シールにすれば時間の節約でほ
かの仕事に回せるようですが、私はこのあて名書きにはこだわりを持ってやっ
ています。皆様におかれましても師走の忙しい時期だと思いますが、1年の終わ
りと新しい1年の始まりにあたって、お世話になった人や大切な人のことを想う
なんでもないような時間をすこしでも持っていただければと思います。思い出
してもらえるだけで喜ぶ人はきっと私だけではないはずですので・・・。
今年1年ご購読ありがとうございました。また来年もこのニュースレターと最後
のこのさもない記事もどうぞよろしくお願いいたします。
—
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【パッシブハウスジャパンニュースレター】
2012年12月10日発行(0045)
発 行:一般社団法人パッシブハウス・ジャパン
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