ニュースレター 2021年11月号コラム

パッシブハウス・ジャパンでは月に一度のニュースレターを発行しております。

理事によるコラム他、セミナー開催や建もの燃費ナビ関連のお知らせ等を毎月お届けいたします。

 

高岡 文紀

~熱橋への小さなこだわり~

パッシブハウス・ジャパン理事
四国支部エリアリーダー 高岡文紀

 

コロナ禍によってなのかどうかわかりませんが、YouTubeを見て建物の性能に興味を持った方からのお問合せが増えてきてますね。でも、どこまで本気で求めているのかよくわからない方も多いのも事実です。
事務所に来社して頂き、家づくりのお話をさせて頂くと〝高いんでしょう?私たちの予算で立ちますか?″
ほぼ毎回新規の方から言われる言葉です。

デザインにこだわり
自然素材を使用し
高性能にこだわり
全館空調にこだわり

どう考えても費用は掛かりますね。まずはここを乗り越えないと次へと進まないのがアーキテクト工房Pureです。

性能に関してもG2程度で抑えるのであれば、私のエリアでは付加断熱など施工する必要もないのですが、事務所も自宅もパッシブハウスの室内で毎日過ごしているとこの快適性が当たりまえになってしまいます。棟数を追わないといけない会社ではない為に、性能を下げてまで家づくりをする理由がわからなくなりました。
高性能な建物を建てたこともない会社の方や住んだこともない方から、

〝そこまでの性能はいらないでしょう″

と言われて、G2程度に落ち着く方が多いのも残念ながら事実です。
以前、東京大学の前先生から頂いたサーモカメラの映像があります。

 

性能の無い昔の家を断熱改修を行い、G2グレドまで性能を上げた映像と私の住んでいるパッシブハウスの映像です。誰が見ても温度ムラが少ないのがわかります。この温度ムラを極力少なくすることができると、これからの寒くなる季節は特に外から入った瞬間、快適な温度にふわ~と包まれるこの瞬間がたまらなく良いのです(^^♪

この性能を出す為には付加断熱は必衰ではないでしょうか。どんなに性能の高い断熱材を柱間に入れても土台・柱・間柱・梁・桁などの木熱橋をなくすことはできません。この木熱橋と開口部廻りが表面温度にムラを作るのです。付加断熱を施工したとしても、基礎と土台廻りや開口部廻りは熱橋部の大きい所ですね。
そこでアーキテクト工房Pureが小さなこだわりとして基礎と土台廻りや開口部廻りの熱橋対策をご紹介いたします。

《土台水切り廻りの熱橋対策》
付加断熱材の厚みや種類、外壁仕上げ材の種類によっても納め方が違いますが、板張り外壁通気工法の土台水切り廻りの熱橋対策、付加断熱に繊維系断熱材を施工する場合は、土台水切り廻りに断熱受けと土台水切りの固定の為の木材を入れないといけない為に、土台全面を断熱材で覆うことが出来ず木熱橋が出来てしまいます。
そこで、その木熱橋を出来るだけ小さくしていく工夫がないかと職人さんの意見も聞きながら現在の施工を行っています。

厚み30㎜の間柱の下に21×40の胴縁を取付ます。基礎外張り断熱との隙間に防蟻フォームで隙間の無いように充填します。基礎の天場が外気に触れることもなく結露を起こすリスクも減ってきますし、2021年5月号のコラムでご紹介したように基礎と外張り断熱と合わせて白蟻対策を行っています。

《樹脂トリプルサッシ熱橋対策》
外壁を板張りで施工をする場合、窓廻りには3方木枠を取付ています。
その場合、国産の樹脂トリプルサッシを使った場合サッシのフィンがある為に透湿防水シートをどのように施工するか悩んだ結果、写真のようにフィンの外で透湿防水シートを施工することにしました。

そうした場合、フィンとサッシ外枠との隙間に3方木枠を回すこともできるのですが、サッシ表面までの隙間にEPSをカットして充填し、その上に木枠を取付けて行きます。

《外付ブラインド・アウターシェード下地補強部熱橋対策》
外付ブラインドやアウターシェードの取り付けを行う時は、外壁の仕上げ材によっても下地の補強方法は変わるかと思いますが、EPSを貼って塗り壁下地の場合の熱橋対策を考えた下地補強写真は外付ブラインドを取り付ける個所の補強です。

 

間柱をT時に組付けて壁に取り付けます。その上に塗布防水を塗りつけて水処理を行い、T時の隙間の所にEPSを貼り付けて木熱橋を減らす工夫を行ってます。アウターシェードの場合はEPSの厚みを補強材の厚み分薄くして、EPSの上から補強材を取付塗布防水を塗りつけて水処理を行い、ベースモルタル⇒ガラスネット⇒塗り壁仕上げ材⇒アウターシェード取付となります。

補強木材が雨で湿ることもなく木熱橋も減らせる様工夫をしています。

≪まとめ≫
高性能な建物にする為に付加断熱を施工し断熱を強化しているも断熱材が入っていない箇所は必ず存在します。
でも、この箇所を少しでも減らしてあげる工夫を行うことで表面温度のムラが少なくなり体感も変わるし結露のリスクも減ります。高性能になればなるほど熱橋部などの弱いところに悪さをするものは寄っていきます。
少しの工夫ですが長~く使い続ける為にはとても重要になるのではないでしょうか!!
少しでも参考になれば幸いです。