住宅向け省エネ義務化見送りへのパブコメ投稿のお願い

本日、一般社団法人パッシブハウス・ジャパンとして、

他の省エネ推進団体の皆様との共同声明文を国交省のパブコメに提出いたしました。

本日が提出〆切となりますので、まだ投稿されていない方は是非、下記内容を参考に投稿をお願いいたします。

投稿者名の後ろに♯共同声明と明記頂ければ、下記内容をそのままコピーしてご使用頂いて構いません。

少しでも多くの実務者が声を上げている状況を作って頂きますよう、皆様のご協力をお願いいたします。

国交省へのパブコメは下記サイトから(締め切りは本日1月5日となります):

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155180734&Mode=0

また、この共同声明文作成にあたり、ご尽力いただいた日本エネルギーパス協会の今泉様に感謝申し上げます。

 

以下共同声明文:

■事業者ばかりではなく、住宅取得者の意見を重視せよ

本件は一部事業者の後ろ向きな意見に議論が偏っている。変化を嫌う旧体制な事業者ではなく、住まい手である住宅取得者の意見を中心に議論すべきだ。「住宅の新築・購入時の省エネ性能の検討の意向」では94.5%が前向きであり、消費者保護の観点から予定通り義務化すべきだ。

気候変動対策を後退させてはならない!

地球温暖化に起因する異常気象による自然災害が年々増加しており、私たちの生活を脅かし始めている。その悪影響は深刻かつ多岐にわたり、世界共通の緊急課題となっている。現状の削減目標では、パリ協定最低目標の2℃未満はおろか、今世紀末には約3℃上昇する可能性が「IPCCGlobalWarmingof1.5℃」で報告されている。近々に削減量の積み増しが必要となる事は明らかだ。気候変動対策は、直近10年が最も重要なので、予定通り義務化すべきだ。

■閣議決定を事実上撤回する根拠は?

エネルギー基本計画及び地球温暖化対策計画には、「規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、2020年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準への適合を義務化する」とある。閣議決定にある「規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら」は、2020年までの適合義務化に向けた政策への枕詞であって、この文章をもって主文である「2020年基準適合義務化」を無期限で見送る権限があるとは到底解釈出来ない。ガバナンス的にも予定通り義務化すべきだ。

なお、閣議決定された省エネ基準適合義務化を事実上撤回するのであれば、閣議決定内容を覆すだけの根拠を示し、関係省合同にて丁寧な議論の積み重ねを強く求める。万が一見送る場合は、無期限延期ではなく義務化期限の再設定は必要不可欠である。その際には、気候変動対策の緊急性を鑑み、追加削減策を合わせて提示すべきだ。

■憲法25条違反を正せ

憲法25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とある。例えば2000年の建築基準法改正では階段手摺の設置が義務化された。厚生労働省人口動態統計では「階段及びステップからの転落及びその上での転倒」は、454人(1999)→424人(2017)となっている。一方、家の寒さが大きな要因となる「浴槽内での事故」は3,205人(1999)→5,941人(2017)と桁違いに多くかつ増加傾向が続いている。今回適合義務化を見送り、法整備しないのは憲法違反ではないか。類似例としてアスベスト使用規制がある。欧州諸国では80年代から規制に取り組んでいたが、日本は2004年から規制と実に20年以上遅れた。長期間規制権限を行使しなかった為、多くの国民の健康被害を生んだ苦い経験をもつ。国は同じ過ちを繰り返すな。居住者の健康のため、予定通り義務化すべきだ。

居住者の健康確保への具体策を!

本案では住宅の温熱環境と居住者の健康の関係性(間接的便益)などの住宅購入者への周知徹底策があいまいであり、「情報発信」による「理解」で対処するという抽象案では具体性に欠ける。現状の低い基準適合率の二の舞にならぬよう、BELS表示義務化など2020年以降の具体的な広報政策が必要だ。

小規模住宅でも追加的コストの費用対効果は高い

本案P6表4の大規模20年、中規模17年、小規模住宅35年の根拠資料、特に追加的コスト(小規模住宅87万円/戸等)とあるが、標準的な市場価格ではその半額以下で平成4年基準から平成28年基準に変更可能である。仮に追加的コスト全額住宅ローンで組んだとしてもローン支払い額よりも光熱費削減額のほうが大きくなるため、むしろ追加的コストを支払ってでも平成28年基準以上で建設したほうが住宅取得者の可処分所得は増加する。消費者保護の観点からも、予定通り義務化すべきだ。

景気への影響検討が逆

景気への影響を懸念されているが、仮に義務化見送りで30%基準未達とした場合、住宅投資額は単年度で650~1340億円減少する。長期的にも省エネ基準未達住宅の状態的な光熱費増加は長期的に消費意欲を減衰させる。義務化見送りこそ短期・長期共に景気を後退させるので、予定通り義務化すべきだ。

 ■最後に

2020年省エネ基準義務化という国の方針が示されてから、多くの事業者はまじめに省エネに取り組んできた。顧客にも2020年から義務化されると説明してきた。一部の変化を嫌う事業者の都合を優先し、かけた梯子を外してはならない。一生懸命努力している大多数のまじめな事業者を裏切ってはならない。まじめな人間が馬鹿を見るような社会に未来は無い。

 

共同声明賛同団体:

一般社団法人日本エネルギーパス協会

一般社団法人パッシブハウス・ジャパン

株式会社M’s構造設計(「構造塾」主催)

特定非営利活動法人 日本外断熱協会

日本ホームインスペクターズ協会

Dotプロジェクト