ニュースレター 2018年2月号コラム

パッシブハウス・ジャパンでは月に一度ニュースレターを発行しております。

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パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

家の保温性能をジャッジせよ

パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

2月も中旬になり、PHJ事務局では3月2日(金)のPHJ8周年記念大会に向けての準備があわただしくなって参りましたが、寒さも本番、インフルエンザの猛威で学校は次々と学級閉鎖へ・・・。こんな時こそ家族の免疫力を維持してくれる高性能住宅の有り難さを実感しますが、我が家は例年よりも薪の消費量が少し多いかな、という気がしています。受験生が風邪をひかないようにと親が無意識に薪ストーブに燃料を放り込んでいるという事も要因としてはあるかもしれませんね(笑)。長年日本に住むあるヨーロッパ人が、屋根の上の雪が早く溶ける家は断熱性能が低い証拠、と言われるけれど、日本の家はそれが当てはまらない場合があると先日言ったので、どうして?と尋ねると、だって雪が溶けないのはそもそも暖房してないからだったりするでしょ、との事で、私達日本人には全く笑えないジョークでした。

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さて、これまで一般の(成人した)方からの問い合わせが主だったパッシブハウス・ジャパンですが、
昨年末から学生からの問い合わせがちらほらと入ってくるようになりました。学生の一人目の訪問者は都内の大学でドイツ語を専攻する大学生で、卒業論文でパッシブハウス誕生の経緯や、日本での展開状況や可能性について書きたいという事で相談に来られました。大学生に続き、その後埼玉県内の高校の先生からの問い合わせがありました。ドイツに短期留学した学生が、パッシブハウスに関する実験を行い、年末の立教大学での英語スピーチコンテストに応募するので助言してほしい、というものでした。その時はPHJからスタッフを一名派遣し、実際に理科室での実験の準備も少しお手伝いさせて頂きました。年が明けて今度は、都内の小学5年生が鎌倉の事務局までいらっしゃいました。おじい様が付き添いでいらっしゃいましたが、自分でちゃんと打合せに来た経緯や目的など、とても明確に話してくれて感心するばかりでした。 環境問題に取り組む企業が紹介されている、「未来をつくるこれからのエコ企業」という本でキーアーキテクツとパッシブハウスを知り、 パッシブハウスの性能に関する実験を学校の授業の一環で行う事を決意、実験は沢山の生徒や先生が見守る中、ライブで行われるため、実験を成功させるための事前相談でした。 大学生、高校生、小学生の全てに共通していたのは、パッシブハウスに着目したきっかけは、夏のエアコンの使用を押さえて電気の消費量を抑えたいという思いだった事でした。ですので彼らが思いついた実験は、窓ガラスの遮熱性能を測ろうという主旨だったのです。そこで冬の省エネもとても重要であり、今よりも快適で健康な生活を実現するために、断熱気密が縁の下の力持ちである事を知ってもらい、実験はどちらかというと、パッシブハウスの保温性能を体感する方向へ向かうように私達の方で誘導させてもらいました。
そして先日、小学生の実験の報告をお手紙で頂きましたので、下記に紹介させていただきます。パッシブな技術が私達の生活を省エネで魅力的なものにしてくれる事を子供達が肌で感じ、素直に感動してくれる姿は、ドイツの学校での環境教育への取り組みの成果に通じるものがあるように感じられ、日本の未来に少し希望を持った年末年始の出来事でした。私達大人も、負けてはいられませんね!

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最後にお知らせです。今年は冬季オリンピックが韓国開催となりましたが、今年8月のパッシブハウス・アジア・カンファレンスも韓国のソウル開催となりました。メインフォーラムは8月31日(金)、オプショナルツアーが8月30日(木)、9月1日(土)に企画されます。PHJでもツアーを組みたいと思いますので、準備が整い次第、メールマガジン等でご連絡差し上げます。まずは皆様のスケジュールの確保をお願いいたします!また、8月31日(金)のメインフォーラムにて、メーカーブース出展希望の企業様はPHJ事務局まで御連絡ください。

パッシブハウス・ジャパン理事 松尾和也

屋根の耐久性に対する意識が徐々に高まってきています。

パッシブハウス・ジャパン理事 松尾和也

最近仲間内で屋根の耐久性を気にする人が増えてきているのを強く感じます。ちょうど日経ホームビルダーの最新号が結露になっていたのも偶然では無いと思います。その中でも紹介されていましたが、ひとつの実験棟の中で通気部材が適正に使われている半分と、一切使用されていない半分のエリアがありました。実はあの実験棟は、私が紹介した工務店さんが建ててくださった実験棟でした。よって竣工後一ヶ月目ではじめて屋根の点検口を開いた瞬間に通気層が無い方の点検口から茶色い汁がドバっと出てきて担当の方が酷い目にあうところを岩前先生と一緒に目撃したのでした。
このようになる大きな原因として通気部材の適切な選定が重要なんですが、それに並んで重要なのが施工時に合板を雨に濡らしているかいないかということが分かっています。ブルーシートで前面養生しているような現場ではこういったトラブルは起こりにくいのですが、施工中に濡らしてしまっている現場だとかなりリスクが高くなるということは知っておいた方がいいでしょう。
屋根に関しては外壁とは異なり、外側のシートが透湿性がないゴムアス系ルーフィングがつかわれていること、さらに通気系の面材もないこと、内外温度差も激しいこと、雨を受けやすい角度である上、さらに屋根仕上げ材固定用のビス穴も多いこと、などから外壁よりもはるかに悪条件が重なっています。にも関わらず外壁よりも結露対策がずっと甘いという最悪の状況にあります。
結露を減らそうとすると、透湿ルーフィングを使った上でその上部に通気層を確保すればokです。ただ、それだけだと従来より防水性能は落ちてしまいます。これではあまり意味がありません。また単純に「通気層を確保する」と言いましても、木材で確保する。網状体を使うといういずれにしても、材料費、施工手間がかなり増えることになります。そのようなジレンマにおいて、今現状では大幅なコストアップなしでこれらの相反する問題をクリアできる工法がありません。(かなりのコストアップを許容するのであれば日経ホームビルダーのバックナンバーに推奨断面がいくつか掲載されています)
そこで、今現在私も開発メンバーとなってこれらの問題を総合的にクリアする工法を開発中です。なんとか今年中には発表できればと考えているところです。今しばらくお待ちいただければと思います。


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