ニュースレター 2018年8月号コラム

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今回は新たに理事に就任した竹内氏の就任のご挨拶です。

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理事就任のご挨拶

パッシブハウス・ジャパン理事 竹内昌義

 

みなさま、こんにちは。この度、パッシブハウスジャパンの理事に就任しました竹内昌義です。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、私自身はまだ、パッシブハウスを完成させたことがないなかで(そろそろ竣工しますが)、このタイミングで理事にとお声がけいただいたかと色々考えを巡らせております。今回のメルマガでは、どうやってパッシブハウスと出会ったかと、どうして理事に推されたのか私なりの想像を書いて見たいと思います。

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一番最初は2009年に山形エコハウスを設計していた時に遡ります。設計が終わり、現場に入ったタイミングで森みわさんにお会いしました。実はどういった方かも詳しく知らず、私たち東北芸工大のチームで書いた「未来の住宅・カーボンニュートラルハウスの教科書」と同じような本をドイツから帰ってきて書いている人がいると、地元の葉山のヨットのサークルの後輩(のちに久木の家のクライアント)に紹介されたのがきっかけです。初めて聞くレベルの高い話にぜひチームに加わってもらえないかとご相談したのがきっかけです。設計は終わり、すでに現場に入っていたのですが、ガンガン設計変更を行いましたが、パッシブハウスに届かず、残念な思いをしました。その後、HOUSE-MやHOUSE-H、エコアパートなどをつくってきましたが、それらは年間暖房需要(負荷)30kWh/㎡あたりです。どうにもパッシブに縁がないと思っていましたが、現在、神奈川県真鶴市のクライアントが果敢に挑戦してくれています。(今月22日にオープンハウスを行います。)

 

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そういったことが私とパッシブハウスとの出会いです。年間暖房需要(負荷)30kWh/㎡でも十分快適ですし、ほぼエネルギーゼロの家になります。紫波町でのエコタウンを構成する家は年間暖房負荷48(4(し)8(わ)ですから)kWh/㎡でも凄い性能です。ただ、一度、茨城パッシブハウスに住まわれている島田材木店の島田社長と話した時のこと。「やっぱ、30kWh/㎡より15kWh/㎡は良いですよ。」と言われたことが気になってまして、いつかは挑戦したいなと思っていたところでした。だいたいこういう経緯でパッシブハウスと近い距離で、おつきあいさせていただいてました。

さて、私が今のタイミングで理事にお声がけ頂いたのには具体的には3つ理由があると思っています。

①もともとデザイナーであるということ

②非住宅分野への可能性

③集合体≒まちづくりの可能性

【デザイナーが高断熱高気密住宅をやるということ】

私は温熱環境を含めて、トータルな形の決定がデザインだと思っていますが、そうではない対立するものと思っているデザイナーが多くて困ります。でも、そういうデザイナーは温熱がわからないので、スタイルのないI工務店の住宅に負けてしまうだろうと思うんです。でも、最近、状況は変わってきました。モルクス社の佐藤さんのようにバリバリの高断熱高気密+オフグリッドの人もいれば、堀部安嗣さんのように以前からやっているスタイルに温熱の知識を武器にして、さらにパワーアップしている人もいます。そういうデザイナーがもっと増えるといいように思います。若いデザイナーにとっても、こういう動きとても大切だと思っています。

 

【非住宅分野への可能性】

今年のPHJエコハウスアワードには、紫波町の保育園をエントリーさせていただきました。紫波町の他の住宅と同じような性能の保育園ですが、バイオマス燃料を使用した地域のエネルギーステーションからの温水供給で暖房しています。床下に温風を吹き込み、床暖房の効果を狙いました。断熱性能は年間暖房需要(負荷)でほぼ48kWh/㎡となっています。今後、高断熱高気密は住宅以外にも確実に広がってきます。グループホームや介護施設のように24時間使う施設はもちろんのこと、熱中症問題で揺れる学校など。ただ、冷暖房を入れて済む話ではなく、建物の躯体の問題は避けて通れない大きな問題になってきます。一般のオフィスだって、ガラスのカーテンウォールのような熱に対して、無防備で良いはずがありません。住宅に関して、卓越した知見を持つパッシブハウスジャパンの皆様が活躍できる余地があると思います。

 

【集合体≒まちづくりの可能性】

私が関わったプロジェクトの中に、町としてのオガールタウンの事例があります。工務店が組合を作り、48kWh/㎡以下の住宅を作った結果、そこに高度な産業が集積したのと同じ効果が現れました。これからの人口減少の時代、何をどう作るかが問われています。公民連携などの手法を使い、自治体と工務店、設計者が町の中心部を作っていく、そういうモデルが求められています。駅前開発でタワーマンションと商業施設を作るといった町の墓標のような建物を作るのではなく、公共施設もエネルギーを使わない様にしながら、住宅の建て替えやリノベーションを進めていくことが求められています。オガールに新たに誕生したオガールネスト(7部屋のアパート)は、部屋ごとに温熱性能が違うものの、岩手で断熱性能が11kWh/㎡~38kWh/㎡に収まっています。光熱費補償を組み合わせて、家賃を設定すれば、十分にビジネスになるレベル、経年変化で毀損することのない不動産価値、これらは本当に新たな可能性を秘めていると思います。

 

以上が、今回私がパッシブハウスジャパンの理事に選ばれた理由、あるいは貢献できることだと考えています。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

竹内昌義