ニュースレター 2017年3月号コラム

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パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

今、北東北の省エネ住宅が熱い!!!

パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

もう3月になりました。今年は全国的に雪が少なかったでしょうか。
そして寒暖の差が激しい冬はまさにヒートショック状態?!

さて、先日は東北電力水沢営業所主催の企画に相乗りする形で、秋田のもるくす建築社の佐藤社長の自邸及び、西方設計の西方さんの自邸を見学させて頂きました。

もるくす建築社施工、佐藤邸

もるくす建築社施工、佐藤邸

最先端のアイディアを盛り込んでのデザイン

詳しくは今月発売の建築知識ビルダーズ2017 Spring no.28をご覧頂ければと思いますが、どちらの物件も特徴としては寒冷地にも関わらず、南面の大開口を実現するために、オリジナルのカーテンウォール・システムを採用し、夏季の日射遮蔽のために外付けブラインドを装備しているところでしょうか。お二人ともこれまでの実績による見地に加え、ドイツ語圏の省エネ建築を沢山視察され、最先端のアイディアを盛り込んでのデザイン提案となっています。

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これまで開口部の性能が悪い事を前提に、ローコストな躯体の魔法瓶化を貫いて来た人(窓なんていっそのこと無い方が良いという持論に行きついた人も含む)からは、そんなコストのかかるやり方なんて!という批判が飛んできそうです。

建築デザイナーが、省エネを妥協しない究極のエコハウスを!

確かに省エネ化にはコストの壁が付きもので、コストを理由に省エネを妥協してしまう実務者も多いですし、いまだにデザインと省エネ性能は相反するもの=両立しないものと捉えている実務者も多い、そんな日本の現状の中、建築デザイナーが省エネを妥協しない究極のエコハウスを世に送り出す事で、建築業界や、エンドユーザーに、強いメッセージが放たれる必要性を感じています(そして、みんながやれば、建築コストはどんどん下がります!)。

今回の2物件はその設計の過程で、省エネ性能に関して数値の裏付けが取れている上で、その空間体験は訪れた人達の五感に訴えるデザインとなっています。日々の日常を非日常的なものに変えてしまうこの極上空間は、実はすこぶるエコであるという驚くべき事実を、誰もが受け入れざるを得ないはず。

私が2009年から数年間続けてきたドイツ省エネ視察視察ツアーでは、意匠性の高い筋金入りのエコ建築を皆さんにご紹介してきましたが、やれ耐震性能や防火基準、日本の在来工法との相違などを理由に、日本で同じものが実現しない理由を力説してくださる参加者も沢山いらっしゃいました(笑)。

日本での素晴らしい事例も増えてきました

近年は今回の秋田の物件のように、日本国内に素晴らしい事例が増えており、これから省エネに真剣に取り組もうとしている実務者の方が海外視察同様かそれ以上のカルチャーショックを受けることが出来る様になりました。国内視察の方がリーズナブルなので、社長だけでなく社員さんも一緒に連れていけますよ。私個人としては、国内旅行の方が通訳が不要だし、食事は美味しいし温泉もあったりして、もう最高です!

近い将来、アジア圏から日本に視察団が押しかけてくることを夢見て、日本全国の皆様、日本の気候風土に適した美しいエコハウスを生み落としてください。

という事で、パッシブハウス・ジャパン主催、エコハウスアワード2017年のウェブ投票サイトが3月1日にオープンいたしました!
http://award.passivehouse-japan.org/2017/nominates/

そして今年はなんと、全エントリー作品の省エネ性能が、省エネx健康マップで比較出来る様になりました。ピンク色のドットがエントリー作品になりますので、デザイン性や省エネ性能、コストパフォーマンスを踏まえて、ご投票頂ければ幸いです。
http://bit.ly/2mz2usM

ちなみに「いいね」は各物件につき1回までですが、全17物件に全部「いいね」を押して頂いてもOKです。良いと思ったら迷わず「いいね」でお願いいたします!

パッシブハウス・ジャパン理事 松尾和也

住宅メーカーと工務店の差

パッシブハウス・ジャパン理事 松尾和也

私は22から24歳まで住宅メーカーで勤務していました。ですので、工務店との違いをよく知っているつもりです。そこでメーカーに務めたことがある方しかしらないメーカーとの大きな違いについて、改めて知っておいてほしいことを書いてみたいと思います。

一棟ごとに構造計算しない。型式認定でクリアする

これはプランニング時に「こういう設計をしてはならない」という構造マニュアルが存在します。各社100項目くらいありますが、それを一つでも破ると建てられません。そのかわりそれを守ると、構造計算しなくても確認申請に通ります。

一見楽なように見えて、100項目近い制限のもとで様々な敷地条件、要望に対応するのは超難解です。ですからどのプランもどこかをあきらめたようなプランにせざるを得ないので、何度もプラン変更するはめになりがちです。

その代わり、各社最低でも耐震等級2、4割くらいのメーカーは3が標準となっています。木造2階建てにおいては許容応力度計算をやっていない木造住宅は100%の確率で構造に問題を抱えているので構造の安全性に関しては桁違いの差が存在すると言えます。また、許容応力度計算をしさえすれば、安全性とプランの自由度の両方を同時に実現できるので大きなアドバンテージとなります。

防蟻処理のレベルの違い

一般的な工務店のシロアリ発生率が2~4%と言われるのに対し、メーカーは0.04%でしかありません。これは50~100倍の差があることを意味します。メーカーは防蟻メーカーと実験等を建て、数年単位で共同研究を行い、そこで得られた知見を元に標準仕様を決めています。

やっていることの差はそれほど大きなものではないのですが、そのちょっとした差が大きな差となって現れてきます。

研究所を持っている。そして研究所の主目的はアフターリスクの軽減にある

中小の工務店で研究所と言えるレベル、もしくは研究担当の社員がいる会社はほとんどありません。あったとしても前向きな研究に終始している会社が多いように思います。

それに対して住宅メーカーの研究所は異なります。彼らの主眼は将来アフターリスクが発生しないようにということが第一義にあるように思います。その結果、施主様の光熱費、健康、快適性を左右する断熱性能などは大した事ない割に、上述のように防蟻対策、雨漏対策そして震災時に欠陥が露骨にわかりやすい構造対策などに関しては執拗とも言えるくらいまじめに取り組んでいます。

工務店の強さは、「設計の自由度と価格の安さ」

こういった差から見えてくることはお施主様が工務店に求めていることは
「設計の自由度と価格の安さ」であることが多いように思います。

反面「構造、耐久性、アフターメンテ」などに関しては不安を抱えているように思います。

そう考えると、許容応力度計算による耐震等級3、確実な防蟻処理、及び耐久性の追求、雨漏りしにくい納まりを徹底することができれば、施主様から見た場合、ほぼ欠点のない選択肢となりえると言えます。(設計力、デザイン力と価格競争力もあればという前提付きですが・・・)

ということで、そのあたりはこれからの住宅会社における「前提条件」ではないかと考えています。