ニュースレター 2016年8月号コラム

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パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

スケッチアップにDesignPHをアドオンして使ってみました

パッシブハウス・ジャパン代表森みわ

Googleとのタイアップで使いやすくなったスケッチアップにDesignPHをアドオンして、年間暖房負荷の計算をしてみました。非住宅や非木造なども手掛ける設計事務所なら導入してみてもよいかもしれません。

スケッチアップのアドオンツールとしてのDesignPH

先週東京で開催された、省エネ建築診断士セミナーの翌日、パッシブハウス研究所(以下PHI)より数年前に発表された、DesignPH(デザインピーエイチ)に関して、PHJ事務局で検証会を行いました。当初PHIはエクセルのマクロを使用する事を躊躇しており、CADとの連携を見送っていましたが、建もの燃費ナビの完成を受けて、スケッチアップのアドオンツールとしてのDesignPHの開発を本格的にスタートさせました。もしかすると、DesignPH開発の原動力の一つは、日本発、建もの燃費ナビだったのかもしれませんね!

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実際に使ってみました

さて、スケッチアップは皆さんご存知の無料3Dソフトです。Googleとタイアップしたのがきっかけで大幅に使いやすくなったスケッチアップですが、ここに有料のDesignPHをインストールする事で、建もの燃費ナビと同様、建物の外皮面積の集計を自動で行えるようになりました。DesignPHは、PHPPのバージョン8以降のライセンスを持っている人が対象で、DesignPHの画面上で年間暖房負荷の計算結果を確認することが出来ます。通常のスケッチアップのモデリングとは異なり、ここでは外皮をペラペラな面で作図し、DesignPH専用の窓ツールを使って窓を貼り付けています。画面上で赤く塗られている面が外皮として認識されている面で、バルコニー周り等のヒートブリッジの長さも集計する事が出来ます。

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非住宅や非木造なども手掛ける設計事務所なら◎

鎌倉事務局で、とある戸建て住宅物件の計算結果を比較したところ、手計算との誤差はほとんどありませんでした。学生でも感覚的に使える様になるスケッチアップですが、燃費ナビと大きく異なることは、正確な計算結果を出すためには別のCADソフトからDXFファイル等を読み込んでトレースしなくてはいけない事、外皮の属性や窓に関する詳細情報を入力するには、結局のところPHPPのロジックを理解していなくてはならない事でしょうか。

木造住宅に特化した工務店であれば、一つのソフトの習得で完結する建もの燃費ナビ、非住宅や非木造なども手掛ける設計事務所ならCAD+DesignPH+PHPPにチャレンジしてみても良いかもしれません。

また、パッシブデザインを極めるには、性能向上のために何度も設計を変更する場合がありますがDesignPHでは設計変更の過程での熱損失と日射熱取得の変遷がグラフで現れる機能がユニークです。例えば段階的な断熱改修を行う際、まず窓を変える、次に屋根の断熱、その次に床、といった段階を経た熱収支の履歴が視覚化されるため、施主と改修計画を立てる際にも役立ちそうです。なお、次回のバージョンアップでは日本国内の10か所の気象データが追加される予定です。

DesignPHのウェブサイトはこちら
http://www.designph.org/

スケッチアップの無料版ダウンロードはこちら
https://www.sketchup.com/ja

パッシブハウス・ジャパン理事 松尾和也

暑い夏。日射遮蔽は万全ですか?

パッシブハウス・ジャパン理事 松尾和也

夏本番がやってきました。そして失敗事例も耳に入りはじめました。日本の暑い夏も気持ちよく過ごせる住まいのため、必要なのは日射遮蔽です。

冬は快適だけど、夏が暑い…

あちこちで講演していると、何度も講演を聞きに来てくださる方がいらっしゃいます。久々にお会いすると「松尾さんが言うとおりに高断熱高気密化して住宅を建てました。冬の評判は完璧に近い評価をいただくようになりました。しかし・・・夏が暑いと言われてしまいます」という声を夏になると何件か聞くことがあります。

日射遮蔽を大切に

つい昨日もそのような声を聞いたので「その家の図面を見せていただけますか?」ということで「暑い」という声があがった住宅の図面を2件分見せていただきました。その結果は予想どおりで、世間一般の住宅に比べるとある程度の日射遮蔽はできていましたが、合格ラインまでは届かないレベルの日射遮蔽となっていました。

「大きい窓だけやればいいだろう。」とか「デザイン的、施工的にやりやすいところだけでいいだろう」もしくは「ηA値(イータエー値:夏季の平均日射取得率)が基準内であればいいだろう」といった甘い考えのもとに建てるとこのような結果を生むことになります。

きちんと対策していなければ、夏にストーブをたいているようなもの

居室の窓に関しては一つでも日射遮蔽で手を抜くとその部屋に住む人にとっては夏にその窓に直射日光が当たる時間帯はストーブが置かれているのと同じ状況です。大きいストーブか小さいストーブかは条件によりますが、元から暑くてたまらないところにストーブが来るわけですから最悪の状況です。他の部屋が全体として合格ラインになってもその部屋に住む人にとってはその部屋にいる時間が一番長いわけです。結果としてその人にとっては「暑い家」という評価になってしまいます。当然ですが、その部屋の人は暑さを我慢するか、強めに冷房を使うかのどちらかの選択をすることになってしまうわけです。

ヨシズや、アウターシェード、ハニカムブラインドで対策を

断熱義務化に向けて断熱性能だけを強める業者さんがかなり増えていると思います。その結果、このような結果になってしまっている例は少なくないと思われます。バルコニーに面している窓等であれば「ヨシズを立てかけましょう」というアドバイスをするだけでOKです。また2階でも引違い窓であれば足場を組むことなくアウターシェードを後付することができます。自分の知識が足らず失敗してしまったお客様宅には実験、体感の意味も込めて施工できる窓にはアウターシェードをプレゼントしてみることをお勧めします。しかもそれをやるなら暑いうちに限ります。昨日までと今日でかなり差がつくことをお施主様も自分も体感できるからです。1階であれば引き違い窓以外でも外から閉めることができますが、2階の引き違い窓以外の窓で失敗した窓に関しては内側にハニカム構造ブラインドを下ろすというのが出来うる中では最善のやり方だと思います。ということで、暑いうちに日射遮蔽に関する技術と経験をきっちり積んでおきましょう。