エコハウス大賞 新潟信濃町の家

ないものは作り、高性能な家を建てる。第一回目エコハウス・アワード大賞は「新潟信濃町の家」

栄えある第一回目のエコハウス・アワードの大賞は「新潟信濃町の家」に決定しました。受賞作品発表後、設計を担当した西方設計の西方里見さん、西方響子さんと、PHJ代表理事 森、PHJ理事 松尾と4人で公開対談を行いました。

パッシブハウスの生みの親、ファイスト博士にも通じる、ないものは作ってでも高性能な家を建てるという情熱は、大賞にふさわしいということを誰もが実感したのではないでしょうか。

ないものは作る。窓でさえも。

松尾 この度はエコハウス大賞、おめでとうございます。さっそく作品について話していきたいのですが、ぼくは常々、断熱と防犯は、お金をかけようと思えばいくらでもかけられる分野だと思っています。ですから、だいじなのはコストパフォーマンスであると。西方さんは、例えば、断熱性がすごく高いのに、日射取得率も高いという、相反する性能を両立させる窓を、コストを相当おさえながら実現している。これをヨーロッパからの輸入サッシに頼ったりすると壁一面で300万円ぐらいかかると思います。しかし、今回は80万円で実現させた。この辺りが本当にすごいなと思っていて。なおかつ見た目のデザインもすごくよい。こういったバランスですよね。

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西方里見 松尾さんがね、最初に出てきた時に「ニヤッ」としたんですよ。でも、大賞は最後で、なかなか呼ばれないから本当に心臓に悪い(笑)。あらためてありがとうございます。この「新潟信濃町の家」は、「オーガニックスタジオ新潟」と、われわれ「西方設計」とのコラボで何かおもしろいことができないかということで居酒屋で生まれたアイデアです。ホームページに「施工はオーガニックスタジオ新潟、設計は西方設計、このコラボの家がほしい人はこの指とまれ!」と冗談半分で書き込んだら、ありがたいことにその3週間後、建ててほしいという方から連絡がありました。

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西方設計の西方里見さん

 私がすばらしいなと思ったのは「ないものは作る」という西方設計さんの発想です。今回の物件に関しても、必要な窓を作ってしまおうなんて、何年かかるか分からない壮大なプロジェクト。失礼ながら「どうなっちゃうんだろう」なんて思いもありながら、ずっと気になっていたんですが、形になって、建物全体とも調和していて、もちろん省エネ性能は高い。

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西方響子 これまでのノウハウはうちにもあるんですが、今回は、初めてやることも多くて。図面も何度も書き直しました。

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西方設計の西方響子さん

 そうですよね。ドイツのパッシブハウスの生みの親、ドイツのウォルフガング・ファイスト博士は、当時パッシブハウスをやろうと思った時に適した窓がなくて、しょうがないから自分で考えて作ったそうです。日本の工務店さんでは「メーカーさんにこういうものを作ってもらおう」というのは出てきにくい発想なのかなと思います。でも「こういうものがほしいんだ!」っていうのをメーカーさんに伝えて、それで実際にできたものを見て、メーカーさんが心動かされることもあります。
 ないものは作っていく覚悟で、理想的な建物にしていくというのは、本当にすばらしい取り組みだといつも思っています。大賞にふさわしい作品です。

松尾 私もそう思います。床下エアコンの使い方は、これまでの経験から少しずつ改善されてきた結果ですよね。

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西方里見 エアコンで温風を人に当てるのではなく、床下を温めて、床の温度を24℃くらいにする。室温が21℃でも、床下の温度を2~3℃あげるということで、非常に気持ちのいい温輻射になります。逆に夏は何もしないで、床の表面温度は25℃くらい。2階にはファンで風を送ります。

 防火雨戸も、すごくいいですよね。私もまねしたいと思っています(笑)。

赤い雨戸が言及されている防火雨戸

写真の赤い雨戸が防火雨戸

西方里見 ここは準防火地域なので、2階の窓は延焼ラインに引っかかってしまう。鋼鈑を巻き込んだ防火雨戸にして仕様規定をクリアしています。これによって非常に安く費用をおさえ、デザインのアクセントにもなっています。

 それでは、最後に、これから高性能な家造りに挑戦しようとしている設計者に何かアドバイスをいただけますか?

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西方里見 もうすでに、意識が変わってきている設計者がたくさんいます。そういう人が一定以上になれば、常識が変わる。寒い家というのは変な家なんだということが、当たり前になるはずです。次から次へと若い世代が出てきているから、私も頑張っていかないと(笑)。

左からPHJ理事 松尾和也、西方設計 西方里見、西方設計 西方響子、PHJ代表理事 森みわ