ニュースレター 2018年3月号コラム

パッシブハウス・ジャパンでは月に一度ニュースレターを発行しております。

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パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

8周年記念大会を終えて。

パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

先日のPHJ8周年記念大会は、去る3月2日、例年通り東京で開催され、150名の方にお集まりいただきました。午前のセッションでは、パッシブハウス仕様の住宅がほぼ標準となりつつある、高橋建築(秩父)、大丸工業(丸亀)、倉敷木材(倉敷)の3社にご登壇頂き、日頃どのように営業を行い、エンドユーザーとコミュニケーションを取っているかを三者三様にご紹介頂きました。「お施主さんの予算が無くてパッシブハウス・クラスの家が提案出来ない」と悩む実務者がまだまだ多い中、それは単に自らの「価値観の伝え方」の問題であったり、はたまた自らがその性能の必要性を十分に感じていなかったりすることに起因するのではと思います。パッシブデザインの伝え方に正解はありませんが、三者三様の提案方法に、皆さんもヒントを見つけて頂けたのではないでしょうか。

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そして今年の基調講演は安田陽氏(京都大学大学院経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座 特任教授)による「再生可能エネルギーと送電網の便益」と題するお話でした。普段は主に建設業に従事するPHJのメンバーですので、やや取っつき難いテーマであったかもしれませんが、私達の取り組むパッシブデザインの先にある、地域間の再生可能エネルギーの融通に関する明るい未来についての、少しワクワクするお話を聞かせて頂きました。私達の次世代もしくは孫達の世代に、少しでも良い地球環境を残すためには、今私達が省エネや創エネに投資する事は至極当然の事に思える訳ですが、皆さんはどう思われますか?

安田氏が翻訳監修を手掛けた「デンマークのスマートグリッド(日本語版)」はこちらをご覧ください。
パッシブハウスのような建物に、再生可能エネルギーを搭載することで、消費者(コンシューマー)が電力事業者(プロデューサー)にもなりえるという事で、“プロシューマー“という表現も動画の中で紹介されています。

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そして今年のエコハウス・アワード2018では、PHJメンバーによる自信作が20作品ノミネートされました。最優秀賞に選ばれたのは、岩手県の木造住宅の断熱リノベーションです。北東北の厳しい気候条件において、パッシブハウス基準をクリアする年間暖房需要25kWh/m2aを達成し、これからのストック活用における大きな可能性を示したプロジェクトと言えます。また、第三回目となる今年のアワードでは、初めて非住宅物件のエントリーがあり、主催者としてとても嬉しく思いました。また、今回一つの傾向として感じたことは、南面のファサードデザインを得意とする方、不得意とする方の二極化でした。パッシブデザインを突き詰めていくと、通常の方位を意識しない設計と比べて、南面に開口部が集中する傾向があるため、南面のファサードデザインは以前よりも確実に難しくなっています。これは私自身も感じている事で、南面とそこに接する東西のファサードをどのように連続させ、一体感を出していくのか(それとも出さないのか?)、南面単体でどのような印象を作りだすのか、そんな事を日々考えながらデザインをしています。これを面白がって積極的に取り組まないと、ただ窓だらけの単調な南面ファサードになってしまいがちです。という事で今回は審査中に突如、「ファサードデザイン賞」なる新しい賞が生まれ、まさに南面ファサードに命を懸けた作品にこの賞が送られました(この続きはアワード総評(リンク)をご覧ください)。その他の受賞作品、またその他の沢山の素晴らしいノミネート作品は、PHJの特設ウェブサイトでご覧いただけます。

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翌3月3日は記念大会オプショナルツアーと称して、真鶴にてみかんぐみ設計の戸建て住宅を視察後、この度パッシブハウス・ジャパンより発売となった日本語版PHPPver9.3に実際に物件入力をしていく実践セミナーを開催いたしました。半日という限られた時間ではありましたが、35名の参加者の皆さんには意欲的に入力に取り組み、建もの燃費ナビのロジックが逆に良く分かったという感想も多く頂きました。今後も全国各地で日本語版PHPPの実践セミナーを開催して行く予定ですので、詳細はPHJのメールマガジンでご案内いたします。

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最後に、去る3月9日~10日でミュンヘンにて開催された第22回国際パッシブハウスカンファレンスですが、閉会時に次回の開催を中国の高碑店市(Gaobeidian)で行うというアナウンスがありました。従って2019年は初のEU圏外での開催となります。これで中国国内のパッシブハウス・プロジェクトに益々拍車がかかってしまいそうですが、日本は日本で、これまで通り地道に、そして着実に、歩んでいけたらと思っております。

パッシブハウス・ジャパン理事 松尾和也

PHJ記念大会を終えて。新時代の幕開け

パッシブハウス・ジャパン理事 松尾和也

 8回目の記念大会が終わりました。最初に3名の方の営業手法、説明手法をお伺いしていて本当に時代が変わったという印象を強く受けました。私が熱環境の世界に足を踏み入れたのは20歳頃なのでおおよそ今から23年も前のことでした。あの頃は断熱性能を語ろうとすると「何でそんな事言ってるんだ?」という変人扱いでしかないような業界模様でした。それが福本さんのようにたった3年ほどの実務経験の方がパッシブハウスのことをあのように堂々と語る。。。まさに隔世の感を感じずにはいられませんでした。
 これまでの住宅業界は「大手だから安心です」「高断熱です」「自然素材です」「格安住宅です」「建築家です」といったように一点だけ突出した長所があればそれで切り抜けられるようなぬるさがまだ残っていました。ところが、着工棟数が減少し、かつ一条工務店のような超高断熱の割にコストも押さえた大手が登場、工務店は大半が無垢材を使うようになり、格安系は飯田グループに太刀打ちできない。。。それに加えて、昔はQPEXしかなかったようなシミュレーションソフトも温熱だけに限らずFPに至るまで非常に優れたソフトが乱立してきました。さらに言うと、続々と出てくる30代後半から独立起業するニュータイプの工務店の台頭。。。グーグルを中心とした検索エンジン対策はもちろんのこと次から次へと出てくるSNS対応。。。このような状況で安定した受注をしていくためには、「高断熱で設計力があり、自然素材も使う。その上でネット戦略に非常に長けている」というように全体的に殆どの項目で平均点を超えており、かつある一点においては絶対的に他社には負けないという強みがあるということが必須であると痛感しています。さらには非常に早い時代の変化の波に対して常に勉強し、変化していくことも同様に必要です。ぬるま湯を望む人には非常に生きづらい時代ですが、変化を楽しめる人にとってはいい時代が来たとも言えそうです。


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