ニュースレター 2019年10月号コラム

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パッシブハウスを国が推進するということ

パッシブハウス・ジャパン理事  竹内  昌義

今、中国で開催された第23回パッシブハウス国際カンファレンスが終わって、北京空港でこの原稿を書いています。 少し早めに空港に来たのは、明日は台風19号が来るので羽田空港が閉鎖されると知っていて、少しでも早い方がいいと考えたからです。 この原稿の時点では、どんなことになるのか全くわかっていませんが、台風15号による被害は停電などを含めて本当にひどいものでした。この気候変動は、次々と災害を引き起こしています。早く対応しないと、世界が滅亡するかもしれないという認識は、ヨーロッパの環境先進国の人たちには共有されているように思います。森さんがFACEBOOKに書かれていましたが、ファイスト博士が日本に対して、「日本も早く中国を見習って、省エネルギーを徹底させないといけないよ」のというのは理に適ったことだと思うし、そのために何が出来るか考えるのが私たちの使命のような気がします。 展示は主に4点。PHPP、熱交換換気扇、窓、断熱材のことがほとんどです。 PHPPはデザインPHといって、スケッチアップからPHPPに建物の形状データや近隣による日射遮蔽の影響を飛ばせるアドオン・ツールの説明が行われていました。また、BIMS to PHPPなど、他のソフトからの連動も更に進んだことがわかりました。 PHPPの入門版が、建物燃費ナビですが、スケッチアップと連動するデザインPHは本格的な非住宅の計算や複合建築の計算に即、役に立ちそうです(すぐにでも欲しくなりました。) 熱交換換気扇はすでにヒートポンプ式エアコンと組み合わされ、換気扇のところで熱交換の後に空気を温めたり、冷やしたりできるものです。これ一台で全ての部屋の空調ができるという優れもので、必要換気風量(例えば0.5回/h)だけで建物を空調出来るパッシブハウスならではの考え方です。現在は、日本国内に3台くらいしか導入実績がありませんが、宮崎県の工務店さんでこれを標準仕様にしようとする動きもあり、もうじき日本でも手に入りやすくなる可能性があります。また、窓は今月の16日に大阪でセミナーをやってくれるフランツ・フロインドーファー氏の開発したスマートウインの窓が秀逸です。ヒートブリッジのψ値の評価に厳しいパッシブハウスにとって、この窓はそこが決定的に改善されており、日本でも手に入れたいもの。これも日本で製造・販売できるように現在ライセンス契約の準備が進められています。 中国ではパッシブハウスが国家プロジェクトとして進められており、今回のカンファレンスの懇親会には地方の有力者が来ていたりしました。中国で進められているプロジェクトの規模は超絶でかく、とても日本が太刀打ちできない規模ばかりです。そう言っては失礼かもしれませんが、2005年ごろ、中国での設計や技術は圧倒的に日本が進んでいて、中国は学ぶ側でした。日本の建築技術をそのまま彼らは学んで、盗んでいきました。ところが、今やその構図は逆転していると言っても過言ではありません。(もちろん、実際行ってみるとツッコミどころは満載です。温熱とは関係ないけど、下水道が弱かったり、段取りが悪くて途中で電気が落ちたり、、、)でも、些細な事を突っ込むよりも日本はその姿勢から学ぶべきだと思うのです。私たちも民間の組織だと諦めずに、行政も巻き込みながら、自分が作る家のレベルのアップをするべきだと肝に命じました。この異常気象誰もが自分ごととは思いにくいのですが、これが建築を作る時に自分の建てる建物と関係すると考えることで少し前進するような気がするのです。それが少しずつ大きな力になって動き出せば、パッシブハウスの持つ社会的な意義がより広がっていくように感じています。 今、思っていることが2つあって、色々言い訳をしたり、思いが風化したりする前に書き留めておきます。 ① パッシブハウスのプロトタイプを作ろうと思った。これにより、本格的なパッシブハウスに取り組みやすくなるといいと思っています。 ② 非住宅でパッシブハウスを提案してみようと思った。今回、外国で非住宅のパッシブハウスの案をたくさん見ました。どうやら、日本の小さな家でやるより簡単そうです。(誤解していたらすみません。断熱しなければならない表面積の割合が減り、大きな空調機を入れやすくなる。)社会的インパクトも強い。 とにかく、世界は変わりつつあります。一足飛びにパッシブハウスは難しいです。まずは、高断熱高気密、G1からG2へ。レベルをどんどん上げていきましょう。家はカーボンニュートラルに必ずなります。そうしないと、地球の温度が上がってしまい、引き返せなくなります。住宅のレベルと気候変動は密接に連動しています。地球温暖化が止まらないのは、大人が嘘をつい ているからだと、グレタ・トゥンベリは言っています。色々な技術があることを知ってしまったみ なさんはそれを進める責任があります。そろそろ搭乗時間です。どうかちゃんと飛びますように。

第23回国際パッシブハウス・カンファレンス in Gaobaidianのメイン会場前にて。