ニュースレター 2019年5月号コラム

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パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

パッシブハウス・ジャパン代表理事 森みわ

つくば里山住宅博がもうじきオープンです。

2017年の神戸の里山住宅博を訪れた方も多いかと思います。

そのつくば版が、里山住宅博 in TSUKUBA 2019で、神戸と同様、ランドスケープ構想は造園家の田瀬理夫(たせみちお)氏が担当しています。

https://satoyama-tsukuba.com/

家を建てようと思った方の多くは、ハウスメーカーの家が並ぶ住宅展示場に足を運んでしまいがちです。そこである意味囲い込まれ、洗脳されてそのまま家を購入される方も多いようです。しかしながら、PHJやキーアーキテクツに寄せられる問い合わせの中には、ハウスメーカーの展示場に足を運んでしまったが、特に省エネ性能に関して、意見が折り合わず、だんだん疑心暗鬼になっていったため、初めてネットで自ら情報収集を行い、パッシブハウスの考え方にたどり着いた、という方が少なくありません。そのような状況を踏まえると、温熱性能などを施主の希望に合わせて自由にカスタマイズできる一方、利益率をハウスメーカーに比べてそもそも低く設定していることもあり、モデルハウスを持つことが出来ない地元の工務店が複数社集まり、住宅博を開催し、木を使った家づくりの良さを知ってもらう。提案されている家は展示場仕様ではなく、将来的に一般の方が住まわれることが想定されている。またその町は緑豊かな街区計画がなされ、隣家との間に塀も無い。道路は住まい手や歩行者にやさしく、コミュニティが育まれやすい。といった性格を持つ住宅博の手法は、今後もっともっと全国で増えていくべきかと思います。つくば里山住宅博の敷地の22区画で、6月1日のオープンを目指して現在工事が進められています。将来的にはおよそ75区画に住宅が建ち、コミュニティが完成するとの事です。

 

今回私は、PHJの賛助会員である島田材木店の住宅の基本設計とエネルギーコンサルタントを務めた関係で、光栄にも伊礼智さん、堀部安嗣さんと共に、ヴァンガードハウスの設計者という立場をお引き受けすることに。ヴァンガードハウスは里山住宅博のフラッグシップモデルのような位置づけとのことです。住宅博ではヴァンガードハウスを含む、大半の住宅は、お施主さん不在、即ち建売住宅としての設計になりますが、島田材木店のパターンは通常とはかなり異なるものでした。島田材木店の場合、つくば市内にお住いの子育て世代のご夫婦が、里山住宅博の情報を真っ先に嗅ぎつけ、自ら情報収集をされ、自分達の家を建てて貰いたい工務店の門をたたき、里山住宅博への参加を打診したのでした。その時に持参された本が、私と竹内さん共著の「図解エコハウス」であったことから、島田さんから私に設計依頼が入ったという経緯なのです。要するに、島田材木店のモデルは、一応ヴァンガードハウスなのですが、最初からお施主さんが付いているという、かなり特殊な事情となっており、そういう意味では恐らく一番予算が厳しいモデルとなっております(笑)。そしてお施主さんのために里山住宅博にエントリーした島田さんは、気が付いたら住宅博の実行委員長の役目を務めており、他の工務店さんの事も気遣いながら、街区として建物の省エネ性能の目標をもっと高めたい、見える化したいと提案して下さったりしながら、自らの物件では、私を設計者に指名してしまったばっかりに、今まで使ったことも無いような仕上げ材と目下格闘しておられる訳です。敷地が南から45度振れているため、建物の年間暖房需要は20kWh/m2を切ったあたりとなっており、外皮スペックによる施工難易度はそれほどではないものの、今回は何時もと少し違う仕様の設備が入ったため、その納期に少し現場が振り回されてしまいました。国内では2台目となる、給気冷暖房ユニット、zehnderCHM200が導入されました。Focus200と同じドイツで開発された全熱交換素子を有する換気ユニットに、パナソニック製のヒートポンプが組み込まれ、中国で組み立てられたというインターナショナルな製品なのですが、風量を絞って運転できるため夏の除湿効率がエアコン式よりも高く、梅雨時を想定した再熱回路も有しています。これから実物件での実測値も収集して分析を行っていく予定ですが、ようやっとパッシブ・ファーストな家のためのミニマム・アクティブ(設備)がアフォーダブルなコストで世に出てきたことを嬉しく思います。これを受けて、国内のエアコンメーカーの中にも関心を持つところが現れ、着々と情報収集をされている様子です。高性能窓もそうでしたが、将来的には国産で良いものが競争力のある価格で、市場に出てくることを、皆が待ち望んでいる筈です。

 

7月4~5日には里山住宅博の見学会およびシンポジウムが、新建新聞社の主催で開催される予定ので、詳しくは同社のウェブサイト等での告知をお待ちください。また、それ以外のタイミングで現地を見学されたい実務者は、原則有料での見学となるそうです。いずれにせよ、参加工務店の多くはかなりタイトなスケジュールで工事をされているため、見学は7月以降をお勧めしますが。

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